ギュベニュー家の人々
ケセラサ王国でも、高位貴族の女は、朝は弱いのがふつうらしい。朝食をもとめて食堂に姿を現わしたら、びっくりされた。
ながーいテーブルの端と端に座らされそうになる。まだ結婚してないからね。私の方が上座なのだ。
「ワルサ様のお顔がよく見えないのは、寂しゅうございますわ」
子供特権を使おう。ワルサさんの従者はおもしろくなさそうだけど、ワルサさんに角を挟んで右手に座ってもらう。
「よく休めましたか?」
「はい、おかげさまで。爽やかな朝を迎えることができました」
今日はたまたま、ワルサさんとは時間が合ったけど、朝は、各自のペースで食事をしにくるスタイル。自室に運んでもらうことも可能。
ランチもそんな感じ。ワルサさんは、執務室とか、畑とか川とか森とか、仕事先まで運んでもらうことが多いそうだ。
夕食だけは、家族が揃ってとる。はずなのだが、昨晩、長男のギーブ君はお留守だった。
「あいつは、まったく」
あ、ワルサさんがお父さんしてる。
ワルサさんは何度も謝ってくれたけど。成人してるとはいえ、あの年頃の男の子が、いきなり「新しいお母さん」つれてこられたらね? 出迎えてくれただけで、上出来だと思う。
次男のユキム君と、三男のホステ君は、私のことを新しいお友達と解釈したみたい。まだ、ワルサさんから正式にプロポーズされてないから、これから一緒に住むんだよ、としか言えなかったんだ。
まわりの大人たちは当然、流れを読んでるし、状況的にも、もう、そうせざるを得ないんだけど、貴族社会は形式も大事。わかりきってることでも、口に出せないこともある。
まあ、ワルサさんにはワルサさんの考えがあって、最後のあがきなのかもしれないけど、私の中では決定事項だからね。
この小さな男の子たちが、私に拒否反応を示さなかったことに、すごくほっとしてる。
彼らは共に三歳。そう、双子なのだ。くりっくりの真っ黒い目。ワルサさんと同じ灰銀色の髪がふわふわして、まだ、尖りの甘い耳がぴくぴく動くんだよ? めっちゃくちゃ、かわいい!
ただ、ケセラサ人の子供は、私以上に睡眠を必要とするらしく、昼も夜もよく寝てる。一日、十五時間以上! 立派に育ってね。




