9話! カブトムシは最強です?
「秋ちゃん準備できたです?」
「おおよっ!雫ん家行ってから、かおりん誘いに行くか?」
「そうするです、雫ちゃんはともかく薫子ちゃん怖がらないです?」
「大丈夫だろ、それに怖がるとしたら明日だろ」
「あ、それもそうです」
「んじゃ行こう!」
「いつもの山に行くってことよね?」
「そうです、なんでです?」
「別になんでもないわ、虫除けスプレー持っていこうと思っただけよ」
「そんなに虫いねぇって!」
「どこがよ!去年どれだけ蚊に刺されたと思ってるのよ!」
「確かに真っ赤だったです…」
「ちょっと待って、やっぱり完全装備に着替えてくるわ」
「かおり〜ん!行くぞぉ!」
「はぁい!」
「薫子ちゃん山行くけど大丈夫です?」
「大丈夫…って何が?」
「薫子、スカートなんて履いてきちゃだめよ!私みたいに完全装備に着替えていらっしゃい!」
「…雫ちゃん、蜂の駆除にでも行くの?」
「お待たせ、これで良いかな」
「オッケーオッケー!肌が出てなけりゃ大丈夫だよ!」
「ほら、虫除けも振っときなさい!顔に塗っても大丈夫なやつだから!」
「あ、ありがとう…」
「雫、かおりんが不安になってるじゃんか!大丈夫だよ、何にも危険じゃないから」
「う…うん。何しに行くの?」
「狩です!」
「狩り…」
「罠を仕掛けに行くんだよ、カブトムシの!」
「あぁ、カブトムシ!知ってるよ、ギザギザのツノが付いてるのだよね!?」
「…それは多分クワガタだな。まぁ、日が暮れる前に行こうぜ!」
「どこに仕掛けるです?いつもの場所です?」
「いつもの場所と、実はその近くに良いところ見つけたんだ!」
「さすが秋ちゃん!斥候として最強です!」
「斥候って…たかだかカブトムシの罠仕掛けるだけでしょ!」
「雫…カブトムシを甘くみてはいけないよ…最強のカブトムシを…」
「そうです…カブトムシの罠は、場所、餌の匂い、罠を置く時間などを計算した上で行動に移すです」
「そ、そうなの?」
「他の虫が先に餌を食べ切ってもダメだしな!今回は…」
「あ、秋ちゃん!何を用意してきたです!?」
「ふっふっふ、教えてあげよう杏隊員!一晩皮を剥いて放置した熟成バナナを、お父さんの高級焼酎をこそっと頂戴して三日間漬け込んだ上物の餌さっ!」
「おおおお!さすが秋隊長です!餌の材料も忍び込んで奪うとは…さすが最強忍者ですっ!」
「さっきは斥候って言ってなかったっけ…」
「気にしちゃダメよ薫子。この二人の話を真面目に聞く方がバカだから…」
「そうなんだ……」
「さぁ抗争だ!行くぞ野郎ども!」
「了解です!ボス!」
「今度はマフィアかなんかになったのかな…」
「薫子ちゃん、ここから山に入っていくです」
「大黒屋?」
「大黒屋の裏道が山に続くです!」
「そうなんだ…じゃぁ、あの山にカブトムシいるの?」
「そうだよ、意外だった?」
「うん…もっと山奥にいるものだと思ってた」
「この二人には野生の勘でもあるのよきっと」
「あはは、そうかもな!この場所知ってるの私たちだけだしな!」
「みんな奥の山に行くです!」
「ちょっと登るけど、かおりん大丈夫か?」
「た、多分大丈夫だと思うけど…」
「ここだけ急なんだよな…ほら、かおりん手掴んで」
「ありがとう秋ちゃん…ヨイショっと」
「もうすぐだから」
「雫ちゃん、大丈夫です?」
「あんた達に連れられて何回来てると思ってるのよ、1人で来ても迷わないわよっ!」
「本当かぁ…神隠しにあったりするかもよぉ」
「よ、余計なこと言わないでよっ!」
「あははは、怖がってる」
「雫ちゃんは相変わらず怖いのダメです?」
「怖くなんかないわよっ!それに何よ神隠しって!」
「あ、神隠しというのは行方不明になった人を、神や妖怪など、超自然的な存在に隠されたと考えたものです!でも神と言っても――」
「わかった杏、ありがとう」
「よしついた!まずはいつもの場所だ」
「この木に罠を仕掛けるの?」
「そうだよ、このネットに入れた餌をここに…できた!」
「これで寄ってくる虫達もバカね…」
「だからカブトムシは甘くないです!」
「わかったわよ…」
「それで!新たな場所とはどこです!?」
「よし、行くか!すぐそこだよ」
「まだ奥へ行くつもりなの…」
「もうかなり日が暮れてきたよ…」
「大丈夫、神隠しなんて出ないよっ」
「そうです、いるなら私たち何回も連れ去られてるです!」
「いやだわ!」
「ここだよ」
「……」
「すごい…」
「これは綺麗ね…」
「す、すごい!夕焼けに染まった街が一望です!」
「ふふん!良い場所だろっ!?」
「いつ見つけたです!?」
「この間、じいちゃんに教えてもらったんだぁ」
「素敵…」
「この一番大きな木がいいんだってさ」
「もっと見ていたいけど、早く仕掛けて帰るです!」
「ああ、そうだな!仕掛けて明日の朝6時に大黒屋集合な!」
「了解です!」
「早…」
「私まだ寝てるかも…」
「隊員は1人もかけてはならぬ!」
「さすが隊長ですっ!」
「おはよぉ!」
「元気よね、秋はいつも。それだけは尊敬するわ」
「みんなおはよぉ…」
「お、かおりんも来た!あとは杏だけだな」
「ごめーん!遅くなったです!」
「いいよいいよ、さぁ行こうぜ!」
「おおお!いっぱいいるです!」
「すごい…1…2…3…6匹もいるよっ!?」
「さすが隊長の罠は失敗なしです!」
「さぁ、本命の木に行こうぜ!」
「うわぁ…気持ち悪いってものじゃないわね…」
「確かに…こんなにいると逆に気持ち悪いな」
「カブトが6匹にクワが4匹!ついでにカナブンが6匹!他多数いるです!」
「でもやっぱカブトムシは最強にかっこいいな…」
「これ全部持って帰るつもりじゃないわよね」
「え、そのつもりだけど…」
「こんなに持って帰ってどうするのよ!おばちゃんに怒られるわよ!」
「お母さんもカブトムシ大好きだから大丈夫なんだよねぇ!」
「そうなの…」
「かおりんも持って帰る?」
「わ、私はいいかも…」
「そうなの?雫はいらないから…杏は?」
「わ、私は2匹だけ欲しいです!」
「オッケー!好きなの選んでいいよ」
「いいです!?ありがとうです!じゃぁ…こいつとこいつ…」
「おお、いいの選んだね!」
「ふっふっふ!さぁ、我が僕よ!太陽にその最強の勇姿を見せるです!あっ!」
ブゥゥゥン
「手、手が滑ったです!」
「あぁあ、飛んでっちゃったわね」
ガアァァ パクッ
「あ!やられた!」
「カ、カラス…?」
「弱肉強食ね…」
「わ、私の最強のカブトムシが…カラスに食べられたです…」




