Case 3 : 数字が欲しい! その末路は……
一度も数字を見ない日……というのはおそらくないでしょう。
時計、スマホ、パソコン、書類、時刻表、支払時……。
身の回りは数字だらけです。
僕たちは数字とともに生活しているといえましょう。
創作の中でも目に見える数字がたくさんあります。
ポイント、プレビュー数、いいね、☆、コメント、ランキング。
そのどれもが創作者にとってはモチベーションになるでしょう。
0が1に、1が2に、2が4に、と増えていく数字を見ると嬉しくなるものです。
しかしこの本来、励みになるハズの指標に取り憑かれてしまうと、数字はおそろしい悪魔となって襲いかかってきます。
これは数年前、実際にあったお話です。
ある作者(仮にAとします)がいました。
Aは小説家になろうさんとはちがう別の小説投稿サイトに作品を掲載していました。
そこでは作品のジャンル別に日間ランキング、月間ランキング、累計ランキングなどの順位がつけられ、またその順位は誰もが確認できる状態にありました。
どのようにして順位が決まるのかは明らかにされていませんが、プレビュー数、コメントやポイントやスタンプの数、投げ銭の多寡などを総合して内部的に数値化しているのだと思います。
さて、ある日のこと。
Aの作品が日間ランキング一桁という上位に食い込んでいました。
当該ジャンルでは数千点以上の作品が掲載されている中でのこの順位ですから、Aにとってはさぞ嬉しかったことでしょう。
もう少し頑張れば一位になれる!
大々的に扱ってもらえる!
しかしそのランキングは『日間』です。
勝負はこの一日にかかっています。
Aはなんとしても一位を取ろうと、SNSで何十回も宣伝しました。
分単位で入れ替わる順位。
のし上がるためにはプレビューだけでは足りません。
コメントやポイントが必要です。
AはSNSで宣伝とともに次のような投稿をしました。
「一位まであと少しなんです! 10,000ポイント入れてください!」
具体的な文言は覚えていませんが、概ね上記のような内容でした。
数分後、Aの作品はサイトから消えました。
ランキングにも不自然な隙間ができました。
その投稿サイトの規約ではサイトの内外を問わず、『評価を依頼や要求すること』は違反行為でした。
Aは規約違反行為を犯したのです。
ランキングの虜になったAに課せられたのは、当該作品の一か月間の公開停止処分でした。
ちょうど一か月後。
Aは公開停止処分が解禁となるその日の夜、未だに処分が続いていることに立腹。
SNSを通して運営に詰め寄ります。
本来ならば今日、解禁となるハズだ!
にもかかわらず夜になっても公開停止のままになっている!
これはどういうことだ!
運営はシステム上の仕様だと説明しましたがAは納得せず、ごねにごねたAに屈する形でシステム担当者の特別なはからいで処分解除となりました。
※おそらくですがペナルティ期間の数え方が、運営とAで異なったのだと思います。
さらに残念なことにAは改悛の情を見せるどころか開きなおり、後日に次のような投稿をしています。
「この投稿サイトはランキングを口にしただけでペナルティを与えてくるぞ。おまけに自分たちで決めておきながらペナルティの期限を平気で破ってくるから気をつけろ」
言うまでもなくこの投稿内容は全くの事実無根。
ペナルティを受けたのはランキングについて言及したからではなく、評価を依頼・要求したことに起因します。
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目に見える数字を励みにするのはけっこうでしょう。
明確な目標があれば、それを達成するために頑張れるものです。
しかしこだわりすぎてしまうと、理想に届かない現実の数字に疲弊するばかりです。
Aはそれが行き過ぎた結果、ついにはルール違反まで犯してしまいました。
そればかりか反省せずに開き直り、"悪いことをしたら謝る"という当然の姿勢すら失ってしまったのです。
今回は数字に支配されると悲惨な末路をたどる……というお話でした。
(続く)




