1001②
大学の最寄り駅を降りてから、一〇分ぐらい歩いてきた。
駅を降りて校舎に向かう生徒達の中に奏も紛れていた。
正門付近に来ると、生徒達があるところに顔を向けていた。
正門をくぐろうとした時、一人の少女が正門前で立っていた。
生徒達は皆、その人を一瞥してから門を潜っていく。
白髪の髪に一つに束ねた紅い瞳を持つ少女だった。
少し、見とれていると少女もこちらの視線に気づいたように視線を合わしてきた。
見続けるのは良くないと思い、すぐに視線をそらした。
「見つけた……」
次の瞬間、人がいなくなった。
それだけじゃない。
太陽は確かに上にあるのに、空の色が夕方のように薄暗い紫色に変化している。
だが、それも普通じゃない。
「え……一体何が」
「山代奏」
声をした方を振り返ると、そこにはあの日見た少女が立っていた。
あの時と同じように武士に似た和装を纏っていた。
「き、君はあの時の────」
ずっと探していた。
晴れの日も、曇りの日も、雨の日もずっと探していた。
だが、彼女にたどり着くどころか痕跡さえなかったのに、再び出会えた。
「早速だけど、死んで」
「は?」
少女は鞘から刀を抜きながら、歩み寄ってくる。
「待って! 話が見えない!」
「する必要はない」
「理不尽すぎる!」
「消えろ」
少女は何のためらいもなく、刀を振り下ろす。
体を大きく捻り、服をかすめる。
「熱っ!」
だが、服は少し焦げ、皮膚がほんのり赤くなっていた。
「避けるな。さっさと死ね」
奏は「ストップ」「待って」「話を」と静止の言葉を投げかけるが、ことごとく無視される。
ゆっくりと後退しながら、距離を取ろうとするが依然としてその距離は変わらなかった。
「あーもう!」と、苛立ちを顕わにし、リュックを少女に向けて投げつけた。
「そこまで生きたいのか……」
煮え滾る思いに、立場も状況も考えず声を上げる。
「ふざけんな! 死んでたまるか! こっちはあんたを知りたくてこの数か月、必死だったんだ」
「私を知る?」
少女は眉間に皺を寄せ、首を傾げる。
「あぁ、そうだ」
向けられている刀にも臆せず、堂々と近づく。
「目の前であんな馬鹿デカいのを一瞬で倒して、終いには説明もなしに消えたし。聞きたいことだらけなんだよ」




