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宝花の軌跡 〜目指せ、最強スローライフ〜  作者: 逢坂ひより
病に倒れて異世界転生!?
19/22

和服姿の同居人

 



 ラルフのお陰もあってか、私はどうにか一撃でスライムを倒せるようになっていた。


 亜種であるレッドスライム等は通常のスライムより体力が高く、一撃で倒すのはまだ難しかったけど、それでも冷静に倒せる様になったから大きな進歩だと思う。



「それでは、こちらがクエスト達成の報酬になります。薬草20個採取で大銅貨2枚。ノーマルスライム10匹討伐で大銅貨10枚。ノーマルスライムの魔石10個と、スライムゼリーが10個で銀貨6枚です。ありがとうございました」



 私はその結果、報酬として大銅貨12枚と、銀貨6枚を手にすることが出来た。



 初めて自分で稼いだお金に、嬉しくて少しドキドキする。



 私はしっかりとそのお金を麻袋に入れ、ウエストポーチにしまった。



「良かったな、無事にクエスト達成出来て」



「うん。ラルフが色々教えてくれたおかげだよ。ラルフこそ、Eランクに昇格おめでとう」



「ああ、ありがとう。まさか2日で昇格できるとは思ってなかったから有難いよ。俺、この街の出身じゃなくてさ。色々旅してる間にここに辿り着いて、手持ちの金も無かったし適当に登録してみたんだけど、意外と稼げるんだな」



「そういえば……ラルフ、この街の出身じゃないんだったね」



 私は、スライムを討伐していた時のラルフのセリフを思い出す。確かに、俺の国では……と言っていた。



「まあな。この国より、全然田舎だよ。それにしても、この街の宿屋って高いよな〜。毎日銀貨1枚も払ってちゃ、貯まる金も貯まんねぇよな」



 ラルフが、深いため息をつく。



「え、宿屋に泊まってるの!?」



「何だよ、当たり前だろ?まだこの街に着いたばっかりだしな。どっか住めるところでも探した方が良いんだろうけど、行くあてもないしな」



「……行く当てがないんだったら、しばらく私の家に住んでもいいよ?」



 何の気なしにそう言うと、ラルフが物凄く驚いた顔で私を見る。



「な……おま……、何言ってんだよ!!年頃の女が軽々しく家に男呼ぼうとしてんじゃねえよ!!しかも一緒に住むっておま……ありがとう……」



 途中まで怒ってたはずのラルフが、おとなしくなって行く。驚いたり怒ったりしおらしくなったり、忙しそうだ。



「ラルフが嫌じゃなければ、私はいいよ。今日助けてもらったお礼もしたいし、私の家、貰い物で凄く広いからさ。一部屋丸々空いてるから、そこ使ってよ」


「……なるほど、部屋空いてんのか。そうか、な、なら良かった。宿代も安くはないし、家貸してもらえるなら助かるよ。ありがとう」



「荷物とか、どうする?何かあるなら、運ぶの手伝うよ。今日から泊まっても良いし」



「……いや、うん。荷物は今持ってるものしか無いから、大丈夫。このままでも行けるけど、本当にいいのか?」



 何となく焦った様な感じで、ラルフが困惑した表情をしてる。



「え……だめなの?」



「いや……俺に聞くなよ……」



 ラルフと目があって、数秒の沈黙。


 耐えられなくなって、二人で同時に吹き出してしまった。



「ま、本人がいいって言うなら良いよな。じゃあ行こうぜ。お世話になりま〜す」



「は〜い。あ、着替えとか、あんまり持ってないんじゃない?すごい安い洋服屋さん知ってるけど、新しいの買って行く?」



「……ああ、それもそうだな。何着か買って行くか」



 私たちは、そのままバーバラさんのお店へ向かった。


 バーバラさんには、おや、もう彼氏が出来たのかい?なんて言われたので、全力で否定しておいた。



 そして、家に着く。慣れないことを沢山したせいか、何だかドッと疲れが襲ってきた。



「お前の家、本当に広いんだな。しかも庭付きって……」



「……うん。私も最初は凄く驚いたよ。あ、そう言えば!紹介したい子達がいたんだった!」



 私が急いでその扉を開けると、小さな二つの塊が凄い勢いで飛び込んできた。その衝撃に耐えられず、思わず尻餅をついてしまう。



「いてて……カミル、マリー!!ただいま〜!!良い子でお留守番してた??」



「きゅ!!きゅい!」



 カミルが鼻を鳴らしながら、顔面をグリグリと押し付けてくる。寂しかった寂しかった寂しかった〜!と言う声が聞こえてきそうなくらい、きゅいきゅい鳴いている。マリーも同じくずっとしがみついてきていて、それを見てラルフが固まっていた。



「……なに。これ」



「えっとね、愛玩魔獣のモチラピィだよ」



「いや……うん。それはわかるんだけど。そもそもモチラピィってこんなに懐くんだっけ?」



「……え?人馴れした個体は、凄く懐くんだよ。ほら、カミル!マリー!今日から一緒に住むことになった、ラルフだよ。挨拶しておいで〜!」



 私のその声に反応して、まずはカミルがラルフの近くに寄って行く。マリーも匂いを嗅ぎながら、恐る恐る近づいているみたいだった。



 やっぱり、知らない人に対してだと少し緊張するのかな?



 ……と、思っていたのもつかの間。



 じーっとラルフの顔を見ていたカミルは突然ラルフに飛びつき、スリスリ攻撃を開始した。それを見たマリーも同じように飛び込み、スリスリしている。



「うわああ!!びっくりした!!……モチラピィって、本当にモチみたいな触り心地なんだな。初めて触ったけど、中々病みつきになりそうだ」



「ふふっ、そうでしょ?うちの子達の可愛さに勝てる子はいないと思うな〜!あ、そうだ。あの奥の方でまったりくつろいでるのが、ベリーキャルトのエーデルとルスワールだよ」



「ベリーキャルトか。どうりでいい香りがするなと思ったんだ。って言うかこれ、全部ラルシアのペットか?」


 ラルフが驚いた顔をしている。



「ん〜。ペット、なのかな……?実は私、ブリーダースキル持ってるんだよね。だからそれで、冒険者ギルドから貰ったの」


 私がそう言うと、ラルフは納得したように頷いた。



「よし、じゃあラルフの部屋、案内するね。この左側の部屋を使ってもらおうかなって思うんだけど、どうかな?」



 私は魔獣部屋を出て、ラルフに部屋を案内する。



「結構日当たりもいいし、ベッドとか収納棚とか置いてもそれなりにスペースもあるし、悪くはないと思うんだけど……」



「悪くないって言うか、良すぎて言葉が出ないと言うか……」



「なら良かった。ずっと空けておくのも勿体無いし、自由に使っていいからね。キッチンもお風呂もトイレも、全部自分の家みたいに使ってね。私の部屋は二階にあるから、何かあったら上がってきていいからね」



「……おう、ありがとう。でもこんないい家に住ませて貰って何もしないのは気がひけるから、少し生活費でも入れるよ。してもらいっぱなしってのは、性に合わねえ」



 私は、慌ててそれを否定する。



「そんな!!お金なんてもらえないよ!!」



「そんなこと言ったってよ。俺だって、してもらいっぱなしじゃ納得いかねぇからさ」



「う〜ん。あ!!そうだ!!じゃあ、私が冒険者ギルドで仕事をする時は、たまにでいいから付き添ってくれないかな……?私弱いし、魔獣を倒すのにもなんだか抵抗があって……。だから、一人だと上手くいく気がしないんだよね」



 今日のスライム討伐。全体的に見て、不可ばかりの結果に終わった気がするんだ。


 腰抜かしちゃったり、とかね。スライムだったからまだ良かったけど、これが他の魔獣だったらって考えると背筋が冷える。



「おう……それくらいなら、構わねえけど。って言うか、そんなんで良いのかよ」



 ラルフが怪訝そうな顔を浮かべる。



「そんなんで良いんだよ。……あと、ラルフが生まれた国のこと、少しで良いから聞かせてくれると嬉しいな」



「……俺の生まれた国?」



「うん。その服、とても素敵だなって。それで少し興味が湧いたんだ。どんなところなんだろうって」



 ラルフは、なるほど……と言って、頷いた。



「それくらいなら、別に構わねぇぜ」



 彼は少し戸惑いながらも、快くOKしてくれた。



 私の思いつきで始まってしまった生活だけど、やっぱりこんな広いおうちに一人は寂しいから。ラルフが来てくれて良かったな、と心から思う。



 まあ、カミルとマリーやエーデルとルスワールもいるから、完全に一人って言うわけではなかったんだけどね?



 その日は、ラルフとゆっくり話しながら過ごした。



 この街まで来た経緯は教えてくれなかったけど、前住んでいた国のことや、ラルフの年齢のこと。本人は歳が近いって言ってたけど、ラルフは19歳だった。


 十分歳上じゃん!!と言ったら、ラルフは笑っていたけど。



 この世界に来てから、まだたったの3日。だけどもう既に、沢山の知り合いが出来た。



 まだまだ不安も沢山あるけど、私は私なりに、ゆっくりやって行こう。



 そう、思うことが出来た。





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