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紅の姫は紅煌たる覇道を血で染める  作者: ネコ中佐
第1章 目覚めの王国
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Chapter7-6


エストレアがクライアに辿り着いたのは日が落ちる前、夕暮れというにはまだ空が青い時間であった。

厳重に閉ざされたクライアの門、そこの前で一時停止し門を見上げる。

門が閉じているのは屍者を出さない為。下水に通ずる通路も塞がれているはずだ。


「ダメだ、何処も封鎖されてる」


ぐるっと見て回ったが何処も閉まっていて入れそうもない。ラムレイに命じて飛び越えることもできるがあらぬ誤解を招きたくもない。


さて、どうしようか。


……

………

…………


ふとエストレアは以前のウルマトで上位竜と戦ったときを思い出した。

あの時はたしか市民は街の外へ逃げていたはずだ。ならば可能性として街の危険性から外へ逃がす場所、非常門があるはず。

この世界では街に災害等があった場合、街を放棄する可能性を考慮し非常キャンプを設けられる場所を確保するのが常識である。何せ市民さえ無事なら復興は可能なのだ。そういった意味ではウルマトの女将の言う通り。


ーー『領主様も、うちらもさっきも言ったけど感謝してるんだよ。あんたらが踏ん張って竜を倒してくれたから街だけで済んだんだよ。ものは無くなるんさ、けど、人がいれば取り返せる。商売はそういうものなのさ。』ーー


もし、あの時間に合わなかったら。きっと街を放棄していただろう。あの避難所はちょっとした街だったからだ。


「ここだな」


指はクライアの街から北東へ。そこは湖ではないがちょっとした池(オアシス)がありかつ見通しが良い。

そうと決まれば話は早い。

懐から折り畳まれたクライア周辺の地図を取り出す。

指でクライアを指差して避難場所を確保できる場所を追う。


閉鎖するだけでは絶対に解決しない。蠱毒のごとく屍者達に食い尽くされるのが目に見えてる。

外からの応援、この場合自分だが流れの傭兵などがいるはずなので合流するとなればそこだろう。


「ラムレイ、いくぞ!」


ラムレイは勇ましく鳴きその場所目指して走り出した。



●●●




「こんなことになっているだなんて……っ!」


襲いくる屍者達に火球をぶつけ火だるまにする。倒した屍者はドロォと泥のように溶けそのまま動かなくなる。しかし、倒しても倒しても物陰から正面から背後から屍者が出てくる。

地上に出て兵舎を目指していたがその後の記憶がない。白いベッドの上で目を覚ましたということは保護されたのだろうが日が変わる前に街がここまで変わるとは思っても見なかった。


ーーキャアアアアアアアアアアアアア!!


悲鳴を聞きその方向へ体を向けると娼婦だろうか、逃げ遅れた女性が裸足のまま屍者三体に襲われかけていた。

逃げた先で角から新たに現れ別の方向へ走り出そうとしたがーー

不幸にも躓き倒れてしまう。

冒険者ではない、体を資本に商売をする彼女は擦り切れた傷に涙を浮かべほんの一瞬蹲ってしまう。それが屍者を呼び寄せているというのに。


「や、やだっ!来ないでっ!!」


「っ!火球(ファイアーボール)!!!」


当然助けない訳がない。杖を振り火球をぶつけ錐揉みに吹き飛ばす。


「そらっ!こっちよ!!」


大きな声で屍者を釣る。案の定大声につられて転んだ娼婦には目を向けずアンナの方へヨタヨタと歩き出した。


「逃げなさい!」


よし、と心の中で上手くいったとガッツポーズする。この隙に逃げてくれればいい。彼女が走った方角は兵舎に隣接する訓練場のはず。必ず誰かしらいる筈だ。


「付き合ってもらうわよ、病み上がりだけど。あんたらの相手はしたくないんだけど、やらないと皆が困るしジッドに顔見せられないしね!」


杖を突き出し、理解しない相手に対し告げる。一振り杖を回し火の玉がまるで彼女を囲むように回り出し近づいてきた屍者に発射される。

背後から噛み付こうとする屍者に対し短く詠唱を唱えると背後の屍者数体は動かなくなる。見れば足元が凍りつきそれは徐々に上へ上へと登っていく。

最終的に全体が凍りつき杖の石突で地面をトンと突くとバリンっ、と砕け散った。


「っう………、氷界聖域(ブリゼイド・サンクチュアリ)は今の私だと魔力キツイわね。けど、弱音は言ってられないわ……」


足元には見えずらいが氷の渦のようなものが彼女を包むように展開されその範囲は彼女が火球など攻撃を加える度、拡大していく。最終的には彼女を中心に半径10メートルの氷の結界が完成した。

この氷の領域に踏み入れたものは徐々に凍りつき完全に凍りついた時粉々になって砕け散る運命をたどる。



ーーー


ーー

ー


「成る程、魔法適性(エレメンタル)・二属性(ダブレッド)ですか。珍しい、背反する属性の同時行使とは。ところで………不可の魔法使いたる貴方が何故ここに?」


複数の属性、魔法に適性を持つ者は数あれど一度に行使できる魔法は一つだけ。それは威力の高い、高魔法になればなるほど同時行使は難しくなる。

その中でも噛み合わない正反対の属性の魔法を同時行使という普通の魔法使いならやらないことをやってのけた彼女を屋根の上から見つめるジュダ。そんな彼は背後から感知した、いるはずのない人物へ話しかけた。


「んーー?僕がなんでここにいるのかって?いやぁ、大したことじゃないさ。ただ予知眼の結果を知りに来たーー『嘘ですな、マリウス殿』てへっ☆」


「相変わらずですね。貴方がここまで人間界にこだわるのはただ一つだけ。いるかもわからぬ御子様の存在のみ。同じ三賢人のジゼル・キャスパリーグ様、ニミュエ・エリー様はすでに諦めたとの言うのに……千里さえ超えて宇宙の果てまで見える貴方の予知、それはどこまで見えているのでしょうか?」


「それを言うなら君も同じだと思うけどなぁ。聞いたよ?帝国で皇弟の下で結構派手にやってるらしいじゃないか。なんだっけ、クローニングした改造兵士?バンバン量産してるらしいね。『双仔』のベリオットとベリルに対抗するためかな?流石は悪魔(ネビュラ)だ。あ、僕の眼はそこまでは高性能じゃないよ?ホントだよ?」


ーーそれと君さぁ、とマリウスは言葉を続ける。


「僕の目は誤魔化せないよ?君ヴォルバートのこと嫌いでしょ?かといってそれを大きな口で言えるような立ち位置じゃないから黙ってる。違う?」


「はは、肩身の狭い思いをしているのは事実ですね。実際、悪魔(ネビュラ)はヴォルバート閣下に忠誠を抱いているものはほぼ皆無。だって、アレクサンドル王以前から続いた一統系の血を無視して暫定玉座に座ったんですよ、悪魔の出で。幼馴染かつ知見に長けるから登用されているに過ぎないんですよ、私は。でもね……」


「六闘将の一員としての義務というか責務は全うしていると自信をもって言えます。キュリア………は貴方と同じ夢魔ですからね、悪魔である私には与り知らぬことですし?ベリルとベリオットは……あれはダメです。遊び相手を探すために虐殺ゲームなんて催している。マリウス殿?聞いてます?」


すでに聞いているのかいないのか。背中を向けて何処かを見ている我が陣営の大魔法使いマリウスをジュダは金色の目を細めながら短めの杖を取り出す。


「ふう、私はここで退散しましょう。もう少しいたかったのですが……貴方がここにいる以上無意味でしょうな」


やはり聞いてない。いや、何かに目を奪われてそれ以外の情報が入っていないのか。

ダークスーツのポケットから遠眼鏡を取り出し、彼が見つめる先を見る。

何かがいる。流石に………いや、あれは………。


「来たね。王女殿下」


漆黒の大型の馬に乗り、こちら側に向かって疾走する人影。アレクサンドル王と同じ紅い髪をポニーテールにして揺らし。汎用性溢れる皮鎧の上に黄色の外套を着た女性。

そして、今マリウスが呟いた言葉と同時に此方と目が合ったような錯覚。否、確実に目があった。


「っ!?いや、まさか………」


王女。六闘将の一人でゴリ押し上等(頭が筋肉の)、筋肉正義(残念女)こと『聖盾』ボルテ・アルキオネとてわかる言葉、の筈だ。

つまり、あの少女が…御子なのだろう。ジュダはいるかもわからぬといったが、アレクサンドル王の伴侶であり……戦役の発端(・・・・・)となった人物ナターシャ妃は戦役が終わるあの日身重の体でパンドラの大地を出た。追っ手があるにも関わらず、だ。

そんな状態で、しかもいつ産まれてもおかしくない体で逃げきれるとは到底思えなかったからだ。

むしろ無念のうちに倒れたはずだ。


「そうだよ、ジュダ君。彼女こそーーー我らが求めた御子さ」


ツー、と汗が一つ垂れる。

どうやって生きてきたのかは不明だがアレクサンドル王以前から連綿と続く血は耐えていなかった、らしい。

マリウスという魔法使いは嘘は言わない。遠回しに理解及ばぬ言葉を投げかけることはあるが、嘘はつかない。

つまり、あれが名を騙る偽物ではないかという疑問は最初からないであろう。

遠眼鏡をポロリと手から離れる。カシャンと乾いた音。


それにしても、あの紅い髪。まさしくアレクサンドル王から受け継いだに違いない。翡翠の瞳も妃であるナターシャ妃から継いだものだろう。絹のごとき肌が焔包まれる街に照らされて幻想的だ。


「っ……………!」


ギリッ。歯軋り一つ。

何故、何故今になって。そんな気持ちが彼の心を占めている。その正体を知る前に、ジュダは影に溶け込むように消えそこにはマリウスが残されたまま。


「素直じゃないなあ………。さて」


ーー目的はここの地下だよ。序でにアレの解除もしてくれると僕としては助言するに手間が省けるからして欲しいな。


手元から暖かな光の玉を形成し中央のシンクホールに続く道しるべを示してやる。彼女と目が合う。

疑心に満ちた目をしている。それこそ正しい形、何でもかんでも鵜呑みにする王はいらない。


ーー期待しているよ、王女殿下。


マリウス・シオンは片眼鏡を外し、不敵に笑う。それは祝福か呪いかは彼のみぞ知るーー。


●●●





すんなり中に入ることが出来た。

非常キャンプはかなり遠い場所でクライアの唯一の出入り口は丁度冒険者が入るところだったので彼に続くように入った。

衛兵は忙しいのか、此方に見向きもしない。

問題ごとだがそこはしっかりして欲しかった。が、此方も急ぎ、勝手に入ってしまったのでおあいことしよう。


「酷いな………」


あちこちから火と煙が上がっており、さながらウルマトでの上位竜との戦いを思い出させる。

それが竜種という超常の存在だからこそ受け入れることのできる現実だが……これの原因はやはりーー


「いた……!」


死体を貪る泥のような液体を纏う屍者。

何で構成されているのかは知らないがドロドロにふやけた体組織、見え隠れする肋、血液の代わりなのか泥のような粘性ある液体。


「蹴り飛ばせ、ラムレイ!」


そう叫ぶとラムレイは加速してその強靭な前足で頭部を吹き飛ばした。

その体に当てられた他の屍者は大きく吹き飛び針のように突き出た折れた柱に突き刺さるか燃える家屋に叩き込まれ黒焦げになる。

そのまま突き進もうとすると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。


『火球っ!!』


続いて爆発、崩れる音。


「あの声、アンナ………か?いくぞ、ラムレイ!!」


傷を負って衛兵に保護されたことを知っているエストレアは即座にラムレイに指示を出し先ほどの爆発の方向に向かって走り出した。

だが、それだけでは終わらないらしい。

そこへ向かう途中だった。


「……っ!?あれは………!」


進路上の先、まだ燃えていない家屋の屋根の上に立つ、片眼鏡をかけ宝石を付けた杖を持つ魔法使い。

マリウス・シオン。何故彼がここにいるのか。そして、彼の隣に立つあの男は誰なのか。

少し目を合わせたが、彼は驚愕と噛み潰したような負念の表情をしながら消えていったがマリウスはまだそこにいた。

彼はにこやかに微笑み手元に光を集め此方に向かって投げてきた。

ゆっくりと降下し、まるで道しるべのようにエストレアの前を近すぎず遠すぎずに漂いながら進んでいく。


(何のつもりだ……?)


正直、まだマリウス・シオンという男をエストレアは信用していない。

けれど他にないのも事実。出生の真実もまだほんの少ししか知らない。魔王アレクサンドルの残されし一粒種。マリウスは私に何を望んでいるのか。

魔王としての座に就くことか、それともその先、戦乱を起こすことか。

だが魔王の娘である以上公にされればこの世界に戦乱とはいかなくても……いやなる。

未だ戦役の傷跡がこの世界に残されている。人々の心にも、情勢も。


しかし、マリウスの言うことはきになるが今は些事だ。

光球を頼りに進むと魔法を行使する、見覚えのある女性の姿。屍者に囲まれているが火球と……氷の結界のような見たことのない魔法を同時に行使している。


「アンナっ!!」


「エレンッ!?」



横合いからドラフトするようにラムレイが駆け、多くの屍者を巻き込み踏み潰す。


「うわっ!?寒、寒い!?」


「あ、あ、ごめんっ!!」


直後にラムレイと共に氷の結界に触れてしまい四肢が凍りつきそうなくらいの寒さに襲われた。

吹き飛び、結界内に入った屍者があっという間に凍りつき砕け散っているのだ。

即座に理解したアンナは結界を解除。寒さもなくなった。

ラムレイから降り、アンナと対峙するエストレア。

エストレアはアンナの顔を見る。疲労の抜けていない、青ざめた顔に包帯の巻かれた身体。

よくこんな体で……と思う。


「アンナ………。急いだここに来たんだ、どうしてこんなことに?」


エストレアはアンナからこのような事態になったことを聞くと保護されてから記憶はなく、具体的には分からない、けれどジッドから逃がされ地上から出る際に泥と一緒に登ってきていたらしいということを聞いた。


「お願い、エレン!ジッドを、みんなを助けて!!地下に泥だけじゃない!とんでもない化け物がいるの!!わたしだけ逃がされて………うぅっ!」


アンナはエストレアに乞うた。だんだん泣き崩れる彼女をエストレアは支え励ますことなくその背中を撫でた。


「私は……付いていきたい。ジッドが危ない、でも今の私じゃ足手まといだから…エレンお願い」


確かにこの体では再度地下に戻ったとて力は振るえぬだろう。エストレアは彼女に問うた。なら、貴方はどうすると。


「避難キャンプに向かうわ。正直、もう限界なの…」


「分かった。必ず彼らを救出してみせる。例え遅かったとしても彼らは必ず取り戻してみせる」


エストレアは立ち上がる彼女を見、ラムレイを呼ぶ。

主人の呼びかけに応えエストレアの側へ。勢いよく飛び乗り手綱を握るともう一度彼女を見た。

涙の泣きはらした顔でも、その瞳は確かにエストレアに託したことを示していた。


「はぁっ!!」


再び光球の導きに従い走り出した。アンナはエストレアの後ろ姿をただ見つめていた。


ーー頼んだわよ、エレン。


『彼女を安全な場所までは露払いをしておくよ。君は、君の使命を全うするといい』


エストレアの脳裏に念話(テレパシー)越しにマリウスが話しかけてきた。

なら、彼女のことは彼に任せよう。

大通りに向かい走る一頭と一人。そして、彼女は見た。この街の中心部。光球が示した場所。

地下に続く吹き抜け、巨大なシンクホール。


ごくっ、と唾を飲む。地下から吹きすさぶ魔力が風のようにエストレアに当たる。

濃密な、悪意の魔力が。


「いくぞ、ラムレイ頼む」


大きく嘶きエストレアとラムレイはシンクホールへとその身を躍らせた。



ーーー


ーー


ー



獣の唸り声が聞こえる。


「ぐっ………」


指一つ動かせない。


ズシン、ズシンと巨体が歩みを進めてくる。自分たちが動かなくなるのはつい先ほどだ。

まず最初に根をあげたのはオルストだった。

矢が尽き、魔力で矢を生成し戦ってはいたのだが魔力が尽きたためにその隙を突かれ壁へ投げ飛ばされ気絶してしまった。

矢の援護がなくなった上、前衛を務めるガペットと俺だけになっちまった。


どれだけの時間が過ぎたのか、数分?数時間?数日?そんなこと考える暇はなく、あのバケモノの攻撃をかわしながらここから出る手段を考えていた。アンナと違い空間を飛び越える手段がないためどうしても闇雲に探すしかなかった。

それも石柱の横薙ぎをモロにくらいガペットともども床に倒れ伏した。


奴の腕が俺の頭を掴む。一気に持ち上げられ浮遊感と共に頭にくる痛み。


「ぐっ………、がっ……!!?」


バタバタともがくがビクともしない。

そして迫る地面。


「がっはぁ………!?」


叩きつけられたのだと知り口の中で血の味が満ちる。加えて、骨が軋み、砕ける音も。

ボロ雑巾同然となった自分を持ち上げバケモノの顔近くまで近づけられる。

醜悪な、気持ち悪い顔に分裂し双頭に変化して見てるこっちが気が狂いそうになる。

やがて、黒い頭が口を開きーーー


喰らおうとそれを近づけた時。


「ハアアアアアああああああああああああっ!!!!!」


「グオオオオオオーーーーーーッッ!!?」


真上から聞こえてきた気迫が込められた声。

噴き上がる血、宙を舞う腕。そして、いつまでも来ない痛みではなくガシッと受け止められる感覚と柔らかな、女性特有の感触が。


「良かった、間に合ったか。大丈夫………ではないな」


「え、エレン……なのか?……っ!!」


ここにはいないはずの、自分たちのパーティーの新人が何故ここにいるのか問いただしたかった。

だが、問う前に身体に走る痛みに口にすることはなかった。

ジッドを岩の陰にもたれかかるように静かに下ろすと彼女の後ろ姿が見える。

同時にいつのまにか隣にはガペットとオルストが同じように一箇所にいた。

自分たちの前に守るように立つ、前までは新人だと思っていた彼女が今はとても頼もしく見える。


ジッドは確かに見た。

彼女の、背中が語る物を。

神聖国の象徴の一つ、聖女のような慈愛ある光と荒々しく、夜の闇のような禍々しくない心地よい闇の二つが混ざる、威光(カリスマ)を。


「遅れてすまない。でも、ここからは私がやる。後は任せてくれ」


彼女の手にはいつか見た黒い靄のような剣と手斧が握られ、後ろ姿だが不敵に笑っているように見えた。


彼女は哀れな獣と対峙する。




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