Chapter7-2
ーー悪徳都市クライア門前
「ふぁあ……寝みぃ…。」
「おい、あくびすんな。こっちまでしたくなるじゃねえかよ。」
「だってよ………。」
シェートリンド王国唯一の暗黒街、クライア。そこの門兵は皆やる気がなかった。なぜなら何度も言うようだがクライアはこの国において犯罪が跋扈する掃き溜めであり、国からの一方的な干渉を受けることなく独自のルールが存在した。
だからといって、それだけで彼らが生きていけるわけがなく、少なからず冒険者ギルドや王都から派遣された白薔薇騎士団、竜蘭騎士団とのやりとりも存在する。
クライアは四つの区に分かれており、それぞれが独立した一つの国家と言えるまでの高い規範によって守られ、それぞれの区には協定が結ばれている。
娼婦の花街 エルブラント区
暗殺組織の膝元 イルデル区
公にできない裏金の金庫 トーリエ区
身寄りなきストリートギャング セロ区
当然といえば当然、四つの区にはそれを仕切る長がいてその区の最終決定権を持つと言う。
貴族中心の、隣国に比べればぬるま湯と言える親愛国家だが一切犯罪がないと言うわけがない。
というよりかはこのクライアは個人や法人などの範囲ではどうしようもない物達が少しずつ集まってできたようなもの。
起伏の少なめの丘の上に建てられたこの街は地下深くに遺跡があることで有名だ。
ちょうど30年ほど前の話だ。地下水道を建設しようと工事する際に地面が陥没しシンクホールが発生。
クライアの中央を巻き込み発生したシンクホールは水道を建設しようとした者たち含めて犠牲者を多く出したため事態を重くみた王政が調査団を派遣し、調査が行われた。
結果、クライアのある地表含んだ岩盤の下には大渓谷が存在し、最下層および中腹にかけておよそ今の時代にはそぐわぬ建築様式の建物、いや遺跡を確認したという。
あまりの規模であったために王政側の調査団は不足と判断、王国の持てる最高クラスの冒険者や白薔薇達を率いてクライアの代表を伴い再調査が行われた。
白薔薇達の持つ魔法武装で目立たず、こっそりと徘徊する魔物達に気づかれぬよう隅々まで調べたところ先盟歴時代、有名なかのバモレッド帝よりも100年ほど古いものであった。
神代の時代とも言える頃の遺跡、それの価値に気付かぬ馬鹿はいまい。
多くの冒険者や傭兵、勲章目当てにやってくる貴族の子供、彼らはまさしく好奇心の塊だった。そこに眠る主人を起こすまでは。
詳細は分かっていない。遭遇した悉くが死亡したから。ただ、地下空洞のみならず地上ですら聞こえる咆哮が轟いたという証言はあった。
こういった経緯があったからこそクライアは犯罪はこびる都市と言われながら栄えている理由でもある。浅い場所ならともかく深いエリアや最深部などのエリアは特別な許可がないと入ることすらできず、その許可証もギルドと他の権威者の推薦がないと発行することすら出来ない。
悪徳に満ちたとはいえ、この国唯一のダンジョンでありそれ故にうまいバランスで成り立っていた。
その街の門を守る衛兵に怠惰など許されないのだが、深夜の警備なのだからあくびの一つも出るものだろう。
「おい、交代の時間だぞ。あくび出るんなら寝てこい、それかエルブラントで花の一つでも捕まえて来たらどうだ?」
「お、いいな。お前さんも行こうぜ!」
「バッ、こいつ後でチクるぞ絶対!『しねえよ、阿保!』」
さっきまでの眠気は何処へやら軽い足取りで交代に来た衛兵達に後を任せる彼ら。
これから彼らは仮眠に入るのか、それとも花と一夜を共にするのか、それは今来た衛兵達には関わりのないことだ。羽目を外しすぎなければ。
そんな時だ。
こんな夜更けにやってきた人影。クライアの『内』から。
衛兵である彼らだって知っていることだがクライアの秩序において正当な理由がないのに暴力沙汰を起こすことを強く禁じている。
それは彼らを目にするともたれかかるように体を預けてきた。とっさに受け止めてやると泥だらけだが柔らかな肌の感触。青色の短めの髪の女性だと分かったが彼女はうわごとに何かをつぶやく。
『ギルドに、ギルドに伝えて……!泥は、クライアの地下遺跡に………!!』
ただそれだけを伝えて、気を失ってしまった。顔を見合わせ互いに頷き。
花街へ出かけていった同僚へ一人が向かい、もう一人は落ちた杖を拾いながら宿舎へ彼女を介抱すべく迅速に行動した。
その中でもう一度呟く。
『みんなが……ジッドが……危ない、の』
●●●
「スヤァ………ピーー……」
書きかけの羊皮紙にヨダレを垂らしながら可愛らしい、見た目通りの微笑ましさを醸し出しているギルドマスターの部屋の机の上で寝落ちした部屋の主ルディナ。深夜まで書類仕事をしていたが睡魔に勝てずそのまま落ちてしまった。
今、ヨダレを垂らしてしまった羊皮紙はもう使えないので書き直しが確定している。
窓から覗く三日月と月光が彼女を照らす。黒い狐耳と髪が月光に照らされて幻想的だ。三度目になるがヨダレを垂らして寝ていなければ、だが。
バターーン!!!
そんな時に勢いよくドアが開け放たれて大慌てで入ってくる人物が一人。ルディナの秘書であり手元に抱える報告書をボロボロ落としながら凄まじい顔でルディナの元へ駆け寄る。
「た、たいへん大変変大変態!!ギ、ギルドマスターーーーーー!!!って寝てる!?おい、起きろっ!!」
「ふにゃぁ?」
「ああ、もう!重要書類がヨダレでシワシワ、インクは滲んでるし、もう!顔洗ってきてください!!緊急の報告がありますっ!!」
「あとぉ……五分……?」
「五分じゃありません!!クライアからギルドへ緊急の連絡です!!満身創痍のアンナさんを保護したのことですぅ!!!」
クライア、ギルドへの緊急連絡、冒険者の負傷。この三つの言葉を聞き、寝ぼけた眼はいつものギルドマスターとしての顔へ戻っていく。それでも半分は寝ているようだ。
仕事をしているときはこう凛々しく振る舞えるのにそうでないときは見た目通りの獣人の幼女だ。公私の差が激しいというのか、長年秘書を務めているがこの状態のギルドマスターは可愛らしいが仕事モードに変わるのにかな〜り時間がかかる。
ようやくいつもの状態に戻ったギルドマスタールディナは不機嫌そうだった。
よくよく考えてみてほしい。今の時間帯は?
真夜中、というか深夜。寝落ちしたとはいえぐっすり寝ていたところを叩き起こされたのだ。
それを見た目幼女の獣人にして戦役の英雄が不機嫌そうな顔をする。
そんな顔も可愛いと声にして叫びたい衝動に駆られるが今は仕事を優先にしなければ。ギルドマスターもわかっているだろう。
「どういうこと?クライアから緊急連絡って?」
今この部屋には秘書とルディナの二人しかいないのでいつものように変な威厳を被った状態ではなく素の状態だ。
「つい半刻ほど前のことです。水晶を通じてクライアの警備隊からでした。一人の女性が運び込まれ治療を受けていると。冒険者カードを所持していたことからこの本部に連絡がいったようです。カードの情報からジッドさんらのメンバー、アンナさんと確定。先日、クライアの巨人騒ぎで調査に出てから行方がわかっていませんでしたが………どうやら地下に潜っていたようです。」
「それは知ってるわ。こっちも裏で調べていたんだから。」
「彼女は保護される寸前、うわごとのようにつぶやいていました。『ジッド達が危ない。』『泥は地下に……』『私を庇って……』など……。」
「………」
「それと、これも報告するべきでした。例の、ボガート追跡ですが……反応はクライアで停まっています。ほぼ確定でしょう、自体は一刻を争います。マスター指示を。」
「わかったわ。けど、今すぐ動くのは無理よ。何時だと思っているの?クライア地下遺跡は強力な魔物が集まる吹き溜まりよ?急な装備じゃ全滅は必須。動くとしても明日のあs」
「マスターっ!!」
バン、と秘書は机を両手で叩きつけその後の言葉を封じた。完全に越権行為だ。しかし、気持ちもわからなくない。
「っ。気持ちはわかるが落ち着け。時間は切迫しているのは事実だ。だが、出来ることと出来ないことを履き違えるな。いきなり急に動けと言われて動くヤツがいるか?いないだろう?だから明日の朝なんだ。日が昇り次の日が来るまで準備はできるはずだ。あいつらとて雑魚じゃない。そうだろ?」
それに、とルディナは付け加える。唇を噛み締める秘書。彼女も元冒険者だ。非常に優秀で引き抜くにも苦労した。仲間思いで情に厚い。
「私たちは『冒険者』なんだ。軍隊じゃない。白薔薇騎士でもなければ竜蘭騎士でもない。帝国の錬血騎士でも、神聖国の太陽騎士でもない。自分の命と得る夢を対価にして動くのが冒険者だ。」
そう言い切ると「申し訳ありません。」そう彼女はいい報告書をまとめて提出。
ドアを開けてその向こうに帰る彼女はなんと言えばいいのだろうか。
「冷たいようだけれど………、軍と冒険者は違うのよ。ましてや兵士でもないの。冒険者は冒険者でしかない。責任は冒険者各々が背負うもの。一時の感情に流されないで。任せたわたしにも責任があるから。」
パタン。ドアが閉まり部屋にはルディナ一人。
こうして起きてみると深夜のこの時間帯はなんと寒いことか。その寒さは季節なのかそれとも吹きすさぶ心の冷たさか。
今更寝ようにも目が覚めてしまいもう寝れる気がしない。
「冒険者は兵士じゃない、か。は、何を言っているのかしらね私は。15年前の戦役で駆り出されたのは殆ど冒険者だったじゃない。結局冒険者は傭兵のようなものじゃないか。」
自らの右手を見ながらルディナは一人愚痴る。思い出すのは15年前のパンドラ戦役のこと。
あの戦いは人類国家において少なくない被害をもたらした。シェートリンド王国ではおよそ2万人の死者・行方不明者が出たし、大元の神聖国でも一番兵を導入したせいか兵士含め十万人ほどの死者が出た。
しかし、魔王が滅びたことで魔族というそのものを瓦解寸前まで追い詰めたという成果はあったが。
いつ、勃発したのかはわからない。
何が原因で起きたのかも今となっては曖昧で分からない。魔族との戦争で人類圏に住む獣人は終結する15年前まで帝国や神聖国を中心に迫害されていた。
時の魔王、アレクサンドル王はたしか彼らを解放するために戦っていたはずだ。
魔族はパンドラの地に種族と部族ごとに暮らしていて国というものはなかった。建てなかったと言うべきか。それが魔族と人間たちの戦いだった。
そして、その中で吸血鬼と呼ばれる種族が数百年単位で魔族を率い、統率して戦争を起こしてきた。
吸血鬼は強力な魔族だ。
アレクサンドル王とは一度ルディスの刃を交えたことがある。重力を自在に操れるルディスを真正面から素手で白刃取りしてみせた。そして、投げ飛ばされ憐れみの目を向けられたものだ。
そんな王も剣聖アーサーと率いる部隊によって死亡したが。
神聖国は、魔族の撲滅よりもなにやら別の意思で動いているようなそぶりもあった気がする。
今は病で伏せているが現教皇ハバルッサ猊下の娘が突如いなくなったということと関わりがあるのだろうか?
まあ、それがなんであったかは知らないし、知る気もない。
「はぁ………。終わるかな?この、無意味な戦いに陽は昇る日は来るのかしら………?」
彼女は知らない自分のギルドに吸血鬼がいることを。
力の片鱗をいくつか見ていながら気づいていないのだ。
彼女とエストレア。もし、互いに知り尽くしたとき向けるのは刃か理解か。
振り返るルディナは空に浮かぶ月をただ見つめていた。
●●●
「全員いるな?追跡結果が今でた。例の巨人情報先、クライアでボガートの反応が止まった。
ーー急ぎ準備しろ。遠出になる。明日の朝出るぞ。」
その言葉を聞き、準備するために一度宿泊先である恰幅亭に戻ったエストレア。
彼女が戻ると朝食ではなくブランチでテーブルに座る顔なじみの姿、アグニルとドランの二人。
無論、席についてから彼らに報告済みだ。
「クライアに潜入か。あそこに奴がいたとはな。」
「悪徳都市というぐらいだから可能性としては有りだね。隠すなら森の中。悪徳都市だからこそ最大に活かせる。けど私としてはアンナとみんなが心配。エレンと一緒に行きたいけどこの前、却下されたのよね………。」
「私も話だけなら聞いたことはある。太古の時代の遺跡で、天然の迷宮だと。」
泥事件と関連があるのではと噂された巨人の影。その調査のためにアグニルとドランの二人を含めたパーティーメンバーのほとんどと何人かの竜殺し達はクライアに向けて出発した。
あれから何にも連絡も無く、不安ではあったがそう簡単にやられるような人たちではないと信じていた。いや、信じている。
「私達はクライアの地下遺跡には入ったことないのよねーー………。」
「そりゃオメー、大森林があるんだからわざわざ犯罪上等なあそこに足を運ぶ必要ねえだろ。ま、今は昔みたいに毎日抗争なんてのはねえけどな。」
クライアのそれぞれの区は協定は結んだものの、ちょっとしたことでいざこざが絶えなかった。
エルブラント区では娼婦じゃない女性を無理やり買って連れ去ったとかセロ区の食い扶持に困った若者がトーリエ区の闇金を強奪するとか。
ただ聞くところによれば昔といっても戦役以前の話だ。戦役が終わってそれぞれの国が安定していくにつれてクライアも落ち着きが戻ったらしい。
地下遺跡という金脈が戦役の影響で使い物にならずクライアの経済は回りに回らず回復しなかった。普通は戦争中は稼ぎ時ではあるが。戦争が終われば、余裕が出来る。冒険者達がまた己の技量を頼りに地下遺跡に潜り戦果を上げるのだ。
しかし、今は泥事件という生命への冒涜そのものに加担したと思われる人物がそこに潜んでいる上に調査に出向いた人のうち一人が息絶え絶えで戻ってきたのだ。
とにかく、今は明日に向けて準備をしなければならない。しかし、こう言う場合具体的にどうすればいいのか見当がつかない。
紅 諸葉でも名案は湧かず、エストレアとしても生まれは魔族の娘でおまけに最近まで貴族の娘として振舞ってきた。つまり、何も知らない。
この時、目の前に仲間がいて良かったと実感した。
「取り敢えず準備なわけだけれど……えっとお二人に意見貰いたいと思うのだが。」
エストレアが言うと二人は見事なサムズアップをしてこう言った。
「「任せなさい(任せろ)」」
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「うん!だいたいこんなものじゃないかしら!」
「まあ、これなら余程なことがない限り大丈夫だろ。」
現在、エストレアは冒険者御用達の仕立て屋にいる。
地下遺跡に潜入ということで動きやすさを重視した皮鎧をベースに落下等の衝撃を和らげるため皮との間にある植物からとった繊維を鎖帷子と合わせて織り込み防御力を確保。
針金を入れた革製のポーチは着脱可能で肩掛けを伸ばせばバッグとしても使える。
頭部を守るものとしてターバン風にし、中には同じように編み込んだ針金を入れてある。
武器を取り出すときや振り回す際に阻害しないように腕周りや肩には余分な布は取り払い、綺麗に整えてある。
武器は地下遺跡ということで取り回しの良いダガーとショートソード。
ただショートソードは使うことはないだろう。近接戦闘においてはナイフの方が早いから。
が、ここでつけている武器は試着用に置かれている刃引きされたもの。
武器に関してはこの後鍛冶屋か武器店舗に向かうしかない。
「なんか、砂漠渡りの商隊みたいな感じだな。」
「その通りよ?地下遺跡で落下が原因で死ぬなんて普通よ。落下軽減を目的に機動力確保、通気性、怪我における緊急処置しやすさを考えるとこれがベストなのよね。」
「ま、最初は動きづらいだろうが慣れるだろ。魔物と戦うかも知らねえけど鎧で潜るわけいかねえからな。」
確かに鎧は防御力に優れるものの、衝撃は防げないし殴られたり透過系の攻撃には滅法弱い。後、雷系の攻撃もだ。熱には強いかもしれないが内部は蒸し焼きになる。
基本、鎧は一部の身につけ後は革製というのが殆どだ。全身鎧を纏うなんて自分の知る限り騎士団のみだろう。
反面、皮鎧というものは便利だ。電気はあまり通さないし、熱には弱いかもしれないがそこまでじゃない。
手入れも容易でそこそこな防御力も確保できる。
「じゃ次は武器選びね。」
「前行ったところの武器屋?」
「そ。エレンがここにきたばかりの頃だったかな?そのときに寄った武器屋にしようか。」
代金を支払い、取り敢えず装衣は整えた。
次は武器である。
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「こーんにちは〜!!おやっさんいるーー?」
懐かしい。前来たのは上位竜戦の前だったか。
刀がないかと聞いたのも今は昔のように感じる。
「なんだよ、アグニルか。今日は何の用だ?」
「この子の武器選びよ。」
「あー、あの時の嬢ちゃんか。ってかもう自分の目で選べるだろ?なんでこんなにぞろぞろ来たんだよ。」
「地下遺跡探索に必要なものを教えて欲しいって言われたからよ。装衣は揃えた。後は小道具と武器なのよ。」
なるほどな、彼はそういうと店の奥の方へ消えていく。しばらくすると鞘に包まれた三つの武器を持ってきた。
「地下遺跡っていうとクライアのアレか。ならこれだな。ショートソードじゃ強度的に問題があるからブロードソード、ナイフは多様性のあるまあうちのダガーだ。それとこれも使ってみてくれ。」
ブロードソード。ワルーンソードともいうレイピアに比べて幅広な刀剣。
ダガーは説明は不要だろう。
もう一つは………
「何これ、ナイフ?不思議な形状ね?」
「試作品だ。仕込みナイフを作っててな?湾曲し、どんな形でも持てるようにしてある。利き手じゃない方の袖の中にでも隠しとけ。」
鋭く湾曲しトラの爪の形をした両刃でグリップエンドに人差し指の保持リングがある。
刀身はまるで猛獣の爪か、猛禽類の爪あるいは嘴のよう。
カランビットナイフのまんまである。
「なんかこの街じゃ良くねえことが起きてるらしいな?早く解決してくれよ?今流通が停滞してるからうちはあがったりだ。今回は代金は安くしてやるよ。金貨ニ枚と銀貨二枚でいいわ。」
「そういう割に高くつけるじゃないか。」
「バレたか。金貨一枚でいいぜ。」
そんなやりとりがあり、装衣と武器は揃えた。小道具に関しては明日支給品があるとのことで今回は見送りだ。
正直、地下遺跡など初めてなので任務とはいえ少し楽しみである。
こんな任務が絡んでなければ心から喜んでいただろう。探検なんて老若男女問わず心を魅了することの一つだと思う。
そんなことを言うと二人も同じように肯定してくれ、世界が違えど遺跡と聞くと心を離さぬのだと知った。
時刻は昼を迎え、少し小腹が空く。
買った武器は布に包んでもらい武器屋を後にした。
「じゃお腹が空いたことだし何か食べましょ。エレンは明日から出るんでしょ?なら明日に備えてお腹は満たしておかないとね!」
「………じゃあ、ホロウに行くか。少しぐらい贅沢してもいいな!」
「賛成!」
この街を離れるのだ。その前に大好きなチーズケーキを口にしておきたい。
「ちょっと、俺甘いの苦手なんだけどぉ!?」
ちょっと難産だった。この調子でやってると一章が百話超えそう………。




