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試行錯誤の異世界旅行記  作者: 取方右半
第11章 星の橋
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閑話:人龍戦役Ⅲ

 不思議な感覚だった。


 頭の天辺からつま先まで、生暖かい何かに包まれている。空気とも液体とも違う柔らかな物は、身動きが取れないように全身を押さえつけている。目を開けているのかすら分からないほどに暗い。まるで、影に飲み込まれたかのようだ。


 そんな風に思っていると、目の前が眩しくなった。


 眼が潰れそうな光に瞼を閉じると、それまで遮断されていた色々な情報が飛び込んできた。例えば、途切れ途切れに聞こえてくる悲鳴。何かの焼ける臭い。全身にぶつかってくるような振動。背中にべったりと張り付いた生暖かい液体。


 ようやく瞼を開けられるようになったウィンドヘイル家の少年は、視界に飛び込んだ光景に違和感を抱く。


「空が……遠い?」


 見上げた空が先程よりも遠く感じたのだ。トラゴエディアの崖は海面まで四百メーチルはある。地表よりも空に近いはずなのに、どういう訳か空が遠くに見えたのだ。


「陛下。帝国四大公爵、ウィンドヘイル公爵のご子息がお目覚めになられました」


 岩を削るような硬い声に起き上がれば、傍に居たのが父親や指南役の爺じゃない事に気づいた。節くれだった髪が茨のように伸びているのを気にしてない男は、二つの槍が絡みあって一本になったかのような不思議な槍を携えていた。


 男の姿に見覚えがあった。父に挨拶をした魔人種の王の傍に控えていた男だ。


 となれば、男が呼んだ陛下にも心当たりがあった。


 少し離れた場所で海の方を覗き込んでいた青年が振り返る。やはり、先程挨拶をしにきた『魔王』フィーニスだ。だが、その格好は先程と違っていた。


 首元から下を黒い鎧が覆っていた。いや、近づいてくるとはっきりするが、あれは金属で出来た鎧では無い。皮膚を剥いだ、むき出しの筋肉のようなグロテスクな塊を身にまとったフィーニスは、優し気な口調で声を掛けた。


「ああ、無事目が覚めましたか。ご気分は如何かな。どこか体調が優れないなら、すぐに申しつけて下さい。娘が考案した回復薬ポーションの効果は大したもので、アトス国の主要な製品でしてね。まあ、数百本に一つの割合で頭がパーになる効果があるらしく、中々リスクの高い回復薬ポーションになりますが」


「陛下……フィーニス・マールム陛下、でしたか」


「その通りです。……ご自分のお名前は覚えておいでですかな?」


 問いかけに口が勝手に応えていた。頭の中はぼうっと霧が掛かっており、思考が上手くまとまらない。ただ、見覚えの無い光景に首をひねるしか無かった。


「陛下。……ここは、どこでしょうか。見渡す限り荒地なのは分かりますが、反り返った崖が見当たりません。砦から遠く離れた海岸線の何処かなのでしょうか。それに、先程から聞こえる声は……悲鳴ですか」


「ふむ。クリストフォロス、どういう事だと思う、これは」


 知らない名前に知らない男が反応した。怜悧な相貌に手を当て、『魔王』と同じ金色の目を向ける青年がいつの間にか現れた。


 いや、もしかすると最初から居たのかもしれない。


 それすらも判断できないほど、混乱していた。遠くから聞こえる声と振動が、心の奥底にしまい込んだ感情に爪を立てていく。


「取りこんだ時に頭でも打ったのか。様子がおかしいぞ」


「推測ではありますが、宜しいでしょうか?」


「構わない、答えよ」


「では、失礼をして。恐らくですが、黒龍の光線が直撃した時に何かとてつもない物を見たのではないでしょうか。あまりにも凄惨な場面を目撃すると、人は心を守る為に記憶を書き換えてしまうと聞きます。先程確認しましたが、外傷の類はありませんでした」


「ふむ。となると、これは一過性の物かな? それとも、長引くのか」


「程度にもよりますが、これは一過性の物でしょう。しばらく落ち着かせれば、正気を取り戻すかと」


「ならば善し。わざわざ助けた貴族の子弟なんだ。できる事なら頭の方も満足な状態でお返しせねば、恩を売る事も出来ない」


 フィーニスが何を言っているのか理解できないが、横を見れば似たように地面に転がっている少年が数人いた。どれも真新しい鎧を土埃で汚し、中には赤い液体を頭からかぶっている者も居た。


 あれは血だろうか。


「あの、フィーニス陛下」


「ああ、申し訳ない。聞こえてくるのは悲鳴で相違ありません」


「悲鳴……誰の……いや、待ってください。砦は、トラゴエディアの砦は? 父上は、爺は何処に行ったのですか!」


 ようやく頭が回り出した。


 霧が晴れた途端、気になる事が泡のように浮かんでいく。


 フィーニスは頷くと、


「慌てなさいますな。順を追ってお話をしましょう。まず、()()()()()()()()()()()()()()()()()


「……はぁ?」


「いえ、正確に申すなら、砦は黒龍の光線を浴びて維持するための結界を破壊された上で、崖の根元を切り崩されて海の底に沈みました。ウィンドヘイル公爵と部下の方々、そして兵は皆巻き込まれていきました」


 思考が停止する。


 視線はゆっくりと、フィーニスが指し示す方向を見た。そこには大地が突然終わり、北方に続く海が広がっている。まるで、そこに天に向かって伸びる崖があり、人類を守る為に築かれた砦があったかのようにフィーニスは語っていた。


「……そんな……馬鹿な」


「信じられないのも無理はありません。ですが、事実です。先程から聞こえる悲鳴は海に飲み込まれ、辛うじて生き延びている兵の声です」


「―――ッ、なら、助けなくては!」


「残念ながら、そうも上手く行かないのですよ。ご覧になりますか?」


 頷くと、力の入らない体が勝手に持ち上がる。見れば、フィーニスの足元から伸びている影が立体となって手足を支えているのだ。先程感じた全身を包み込む力に似ていた。


 影によって崩れそうな地面の端へと連れて行かれ、海を覗き込めば息を呑むしかない。


 大量の土砂や兵器、物資が浮かぶ海面に混じり兵士が浮かんでいた。大多数は死んでいるのだろう。破片によって千切れたのか、熱によって溶けたのか、あるいは海面に叩きつけられた衝撃で死んだのか。物言わぬ躯となって浮かんでいる。大半の兵士は鎧を着こんでいたから、浮かぶ事すら出来ずに海底に沈んでしまったのだろう。


 だが、中には生きている者も居た。ある者は破片にしがみ付き、ある者は魔法や技能スキルを応用して辛うじて生きていた。


 そんな彼らの頭上を死が舞う。


 広げた翼を雄々しく羽ばたかせ、海面を舐める様に飛空するのは竜だ。


 竜は海面に浮かぶ芥子粒のような人間目がけてブレスを放つ。漏れ出た油に引火したのか、火が海面を走ると助けを請う兵士たちが生きながらに燃えていった。別の場所では、竜が海水ごと兵士を飲み込み、噛み砕いていく。


 眼下に広がっているのは地獄としか形容できない光景だった。


「御覧の通り、黒龍と一緒に拘束されていた側近の竜が間髪入れず襲来して、生き残りを潰しているので、救出なぞとても叶いません。砦は崖ごと崩されてしまい、中に居た十万の兵ほとんどが海の中に落ちてしまいました。崩れる最中、貴方達を拾い上げるので精一杯で……どうかされましたか」


 フィーニスの言葉に返事ができない。海面に浮かぶ無数の惨状が記憶を刺激した。


 思い出したのだ。


 遠くの空が輝いたと思った次の瞬間、直撃した光線の余波で父の半身がどろりと溶けたのを。それを見て、爺が背中から覆いかぶさり、次第に肉が焼ける臭いがした。背中をべったりと汚しているのは、果たしてどちらの溶けた肉体なのか。


 胃の中の物がせり上がる。嗚咽と共に吐き出された物が海に落ちる。その海面では地獄のような光景が繰り広げられていた。


「に、逃げましょう」


「いま、何と?」


「逃げましょう、フィーニス陛下! あれは、あんな怪物に勝てるはずが無い! このままじゃ生き延びた者達まで全員死んでしまいます!」


 少し前の自分なら想像もできない程弱気な発言だった。だが、敬愛する父と傍で見守っていた爺の死。屈強なる十万の軍勢。万全の態勢だった砦。少年に勇気を与えていた全ての要素が文字通り足元から崩れ去ってしまった。


 その上、すぐ目の前では生き残った人間を殺そうと竜が飛んでいる。生存者の多くは荒狂う海面に浮かぼうと必死になっているため、何もできずに駆逐されていた。


 だが、中には命懸けで反撃に打って出ようとする兵士も居た。気力を振り絞り放たれる戦技や魔法は、しかし、竜の固い守りに阻まれ傷を与えられず、彼らの命は海の藻屑となっていった。


 そんな光景を目の当たりにして、平常心を保つ方が無理と言えた。


 ところが、恐怖に慄く少年に対して、フィーニスは穏やかに笑って見せた。


「撤退、ですか。残念ながら、それは難しいですよ」


「何故ですか! 今ならまだ、黒龍も到着していません! 逃げるなら、今しかありません!」


「確かに黒龍は到着していませんが……おっと、見つかりましたね。少々、騒ぎすぎましたね」


 他人ごとのような言葉に背筋が凍る。


 海面で生存者を殺戮していた死と恐怖の塊が、顔を上に向けていた。縦に裂けた黄色の瞳がこちらを捉えている。


 翼を広げ竜が岸壁に並行して飛翔する。体は恐怖のあまり動けず、竜が同じ高さにまで到達するまで身じろぎする事も出来ない。


「ギュアアアアアアアアァアアアアアアァ!!」


 竜は六龍と違い知性は存在しない。そのため人語を操れないが、口から出た咆哮に殺意がこもっているのだけは通じた。


「ふむ。報告通りだな。黒龍の側近として長い時間を共にしたせいで、姿形が大分変化しているな」


 黒龍の配下となった竜は、それまでの竜とは相違点があった。一つは精霊としての楔が抜かれた事。これによって、彼らは人間を殺せるようになった。もう一つが肉体の成長だ。いや、成長なんて生易しい言葉では言い表せない。


 体躯が一回りも二回りも巨大化し、翼はより素早く、遠くまで飛べるように形が変わり、全身を覆う鱗は禍々しくも強靭さを増している。この変貌は黒龍の傍に居れば居るほど、大きな影響を受ける。


 北の大地で《神聖騎士団》を相手に二カ月戦い抜いた側近の竜ともなれば、変貌は留まるところを知らない。竜の鼻先から角が生まれ、纏った紫電が辺りへ流れていく。口から覗かせる牙は鋭く、人の胴体がカスのようにこびりついていた。


「あ……ああ……あああ!!」


 恐怖は言語中枢を麻痺させる。もう、何かを喋る事も出来ず、ただ死を迎えるしかない。そんな諦めに似た胸中を見透かしたようにフィーニスは口を開いた。


「ご安心を」


 竜の口が開き、中から全てを灰に変えるようなブレスが放たれる寸前、フィーニスの上げた指先から伸びた影が竜を貫いた。


「ワタシ……ああ、喋りづらいな。ボクを含めて此処に居る奴らは、あの程度に負けることはありません。だから、安心してください」


 影に貫かれた竜は動きを止めると、次の瞬間、体の内側から四方八方に伸びた黒い棘に貫かれてしまった。あっという間に絶命した竜が海面へと落ちていくのを呆然と見つめていた。


「やつ……ら」


「ええ、奴ら、つまりボクの配下である五将軍。それに彼らはあの程度の竜を相手に負けません」


 フィーニスが視線を左右へと向けた。つられて同じ方向を見れば、そこに奇妙な光景があった。


 遠く左の方では、同じように崖上にまで上ってきた竜が鼻先から尻尾までを輪切りにされていた。肉塊となった竜を足場に何者かが大きく飛んでこちらに向かってくる。


 その反対側では、更に上空を抑えようとした竜が地面から伸びた鎖に絡みつかれ、引き千切られていった。明らかに魔法の仕業だが、あまりにも異常な威力だった。


 そして気が付けば、フィーニスを挟みこむ様に二人が立っていた。


 片方はやせた体に見なれない民族衣装を羽織った青年だった。緑色の髪から飛び出た長耳が彼の種族を物語っている。腰に佩いている武器は剣のようだが記憶にない形だ。


 だが、確信を持って断言できる。


 彼は剣士だ。


 それも全ての剣士が命と人生と時間を投げ打ってでも届かない領域に達してしまった剣士だ。自分など足元にも到底及ばない。彼の前で剣士と名乗るのが恥ずかしくなってきそうだ。


 おそらく、父が言っていた人物なのだろう。


 能面のような感情を削ぎ落した青年の口が開いた。


「面倒だ。さっさと終いにして帰りたい」


「てめぇは相変わらず物臭な奴だな」


 呆れたように言ったのは、反対側に立つ男だ。剣士が竜を足場に跳んだのに対して、男はいつの間にか現れたとしか形容できない程、静かにそこに立っていた。


 不思議な形の帽子を頭に乗せて、奇妙な出で立ちをした男は続けた。


「だが、面倒という意見には同意だ。さっさと終わりにしたいぞ」


「……貴様、オルタナか。貴様もこの戦場に居たのか」


「気づいていなかったのか。弟子に頼まれて敷設から関わっていたんだぞ。というか、てめぇの所の術者と一緒に結界魔法を構築したんだ。話を聞いていないのか」


「そうか、ご苦労な事だ。俺は半分うたた寝をしてたから、話を聞いても聞き流していたかもしれないな」


「……本当に相変わらずな奴だな」


「それで、オルタナ。こいつは誰なんだ」


 剣士が指差したのは自分では無く、自分を支えるフィーニスだ。


「失礼な方だな。自分から名乗りもせずに、こいつだなんて。どこの秘境から出てきた原住民ですか?」


 フィーニスの挑発に剣士は眠たそうな瞳を返すだけだった。それだけなのに、萌黄色の瞳を覗き込んだ瞬間、竜を前にした時以上の死への恐怖が少年の全身を駆け巡った。


「こいつ……いや、彼はフィーニス・マールム。アトス国を支配する『魔王』だ」


「ああ……どっかで聞いた名前だな。面識があるのか」


「弟子の義理の父になる」


「……聞いておいて何だが、数秒後には忘れそうな情報だな」


「申し訳ないが、話に割り込ませてもらうよ『魔術師』オルタナ。こちらの剣士は、どこの何方ですか?」


「フィーニス。こっちはエルフの『守護者』サファだ。テメェも名前ぐらいは聞いた事があるんだろ」


 一国の王を相手にしたとは思えない態度だが、フィーニスは気にしたそぶりをしない。ただ、金色の瞳を細めた。


「なるほど。……はてさて、どうしたものか。『龍王』のみならず『魔術師』に『守護者』まで加わるとは。13神がボクに戦えと命じているのかな」


 ぼそりと呟いた内容は脇で支えられている自分にしか聞こえなかったのだろう。ただ、フィーニスから異様な雰囲気が発せられたのが印象的だった。


 その雰囲気も数秒で霧散した。


「まあ、それは次の楽しみにしますか。それよりもお二方。そろそろ奴が来ますよ」


「ああ、分かってる」「テメェに言われるまでも無い」


 自分にはさっぱりの発言だったが、二人は理解しているのだろう。北の方角を睨みつけると、影に支えられた体が浮き上がった。


「申し訳ないが、少しばかり下がって貰います。あれの突進を止めるのに前に居られては邪魔なので」


「あれとは……まさか!」


 ようやく思考が彼らに追いついた。彼らが睨む北の空から、こちらに向かって真っすぐ飛翔する物体があった。最初は単なる黒点だったが、秒を刻むごとに黒い面積が広がっていく。


 まだ遠くにあると言うのに、もたらされる死と恐怖の圧は異常な物だ。


 間違いない。


 間違えようも無い。


 あれは、あれこそ『龍王』黒龍である。


 圧倒的な、死その物が迫り少年の理性は限界を迎えていた。涙は留めなく溢れていき、体は力を失っていく。もし、多少でも体が動くなら海面に飛び込んだ方がまだ生きられるのではないだろうかと思ってしまう。


「あの巨体なのに、あの速度とは凄まじいな。見えるか、通り過ぎた海面が風圧でへこんでやがる」


「聞くところによれば、黒龍が通過するだけで街並みが崩れてしまうそうですよ」


「……何だったかな。昔、タクマがそんな生物の話をしたような。覚えてないか、オルタナ。空のカイジュウ……忘れちまったな」


 ところが、少年の前に立つ三人は迫りくる黒龍を前にしても危機感を抱いていない。


 それどころか、一人は剣を抜き放ち、一人は影を槍の形に作り、一人は身構えているのだ。


 まさか、まさか、まさか!


 そこから先を少年は口に出すどころか、思う事すら出来なかった。それほどまでにあり得ない事であり、思う事すら不可能だった。


 そして、黒龍の顔がはっきりと視認できる距離に達した瞬間、三人は、いや三体の怪物は動いた。


『守護者』サファが日本刀を大上段から真っ直ぐ振り下ろすと、その切っ先から斬撃が放たれた。巨大な竜すら一刀で両断する斬撃が地獄のような海面の上を飛んでいく。


『魔王』フィーニスが生み出したのは影を固めた槍だ。槍は放たれると、黒い線を空に描いていく。竜を五体同時に貫通させた槍が、黒龍に迫る。


『魔術師』オルタナは大陸の間にある海を魔法で操る。海面が盛り上がると、まるで巨人の腕のように伸びていく。竜を握りつぶせる腕が黒龍を掴んだ。


 どれもが並の竜は愚か、黒龍の側近でも即死してしまう一撃。それが三つも同時に放たれた。


 だが、黒龍は速度を落とさず回避をしようともしない。全てを浴びたのだ。


 回避しない事が自らの強さの証明だと言わんばかりに。


 水しぶきが上がり、衝撃が世界を震わせる。思わず目をつぶった少年は、恐る恐る瞼を開いた。


 そこには五体満足で宙に浮かぶ黒龍の姿があった。


 怪物達の攻撃を受けて傷を負った様子は無い。だが、黒龍の突進は怪物達の攻撃によって止められてしまった。


「引き分け、か。流石に、あの程度じゃ傷も付かんか」


「ああ、やはりこうなったか。面倒だから、貴様等に丸投げしてもいいか? 俺は帰って寝る」


「あははは。この人、『冒険王』の物語に出てくる時よりも酷い人ですね」


 自分たちの攻撃を浴びて、それでも平然としている黒龍を前に、怪物達もまた平然としていた。


 今頃になって気づく。


 ここはもう、常人が足を踏み入れてはいけない魔境となっていた事を。


 海面が地獄なのでは無い。


 これから、ここが地獄になるのだ。


読んで下さって、ありがとうございます。

次回は24日頃に更新予定です。

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