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試行錯誤の異世界旅行記  作者: 取方右半
第8章 動き出す世界
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8-34 黄龍討伐Ⅲ

 マクスウェルが照らす灯りの下に現れたのは、白い靄のような不安定な存在だった。輪郭がぼやけてはいるが、多くが人の形をしており、中にはモンスターまでいる。服装や、種族はまちまちで、民草のような格好をした者も居れば、戦場から来たと言わんばかりの戦装束の者も居る。


 彼らに共通しているのは、皆表情が虚ろで、敵意や殺意を感じない事だ。マクスウェルらに向けられているのは、どちらかというと、羨望や渇望といった、妬みに近い感情である。


 まるで、生きている事が羨ましく、妬ましく、恨めしいとばかりに彼らは武器や拳を構えている。灯りに照らされているだけでも、数十体は見え、その奥にはさらに多く潜んでいる様だ。


 その謎の存在を前にしておきながら、マクスウェルの意識は別の存在に集中する


 サファから意識を逸らす事が出来なかった。


 どこか鬱屈とした背中からは憤怒の炎が燃え上がり、冷然としていた声に業火に近い感情が含まれている。


「これは……何だと聞いている」


 彼と相対する存在は、他の靄のような存在と同じで、虚ろな表情を浮かべたまま弓を手にしている。来ている衣服は古めかしい民族衣装風で、しかし、特筆すべきなのは彼の者の頭髪から飛び出している長耳だろう。


 全体的な色合いが白だから分からなかったが、恐らくはエルフ。


 同胞の姿形をした存在を前に瞠目するサファに、マクスウェルは言葉を選びつつ答えた。


「……五十年ほど前から、アルビノ砂漠に不可思議な現象が起き始めた。夜になると、砂漠に白い靄が現れる。それは人の形をしており、敵意を示さない、幽世かくりよの住人であると。地元の者は、彼らを御霊に上がれなかった大地の記憶と呼んでおる。……ああ、なんと惨い」


 口に出しながら、マクスウェルの脳細胞は稲妻に似た天啓を得る。魂を吸い取る黄龍。幽体の如き存在。かつてこの地で起きた、エルフと人の戦争。そして、古めかしい姿をしたエルフの戦士。それらを繋ぎ合わせれば、答えは明白だった。


 つまり、ここに居る者は―――。


「―――千年前、黄龍に殺され、魂を吸い取られ、そしていまだに縛られたままの幽体……だ」


 神速一閃。


 マクスウェルの下した悲しき答えを断ち切るように、居合いが放たれると、サファの眼前に居たエルフの姿は掻き消えた。胴体から横に薙がれた青年は、どこか安堵したような表情を浮かべて煙のように散った。


「……そうか。そうなのか。同胞も、敵も、無関係な者も。こいつは千年に渡って、捕えて離さないでいたのか。俺は、それを知らずに。のうのうと無駄な時間を過ごしていた訳か……無様だな、俺は」


 再び、神速の抜刀が放たれると、マクスウェルらを取り囲む幽体が風に吹かれたように消えた。だが、その背後から幽体は押し合うように姿を見せた。今の彼らは夜のアルビノ砂漠を漂うだけの存在では無い。一撃は弱くとも、数を束ねれば飛竜を撃ち落す程度には脅威だ。


 何より、黄龍に縛られ続けている哀れな魂なのだ。


「皆、武器を構えろ。此処に居るのは千年という膨大な時間を、囚われ続けた被害者たちだ。儂らにとって、黄龍を倒す障害である以前に、解放するべき存在である。彼らに安らぎを与えろ。彼らに神々の恩寵あらんことを」


「「「彼らに神々の恩寵があらんことを」」」


 祈りの言葉を皮切りに《神聖騎士団》の面々が駆けだした。ある者は愛用の槍を振り回し幽体を蹴散らし、ある者は盾で薙ぎ払う。奇妙な事に、冒険者の相貌は苦渋と悲嘆に暮れているというのに、幽体となった者達は安堵したように笑みを浮かべていた。


 サファを先頭に、彼らは死者に安らぎを与えつつ、黄龍の心臓へと駆ける。







 飛竜の死体に幾つもの矢が突き刺さる。レイ達を襲うのもまた、白い輪郭のぼやけた存在だった。氷の滑走路に姿を現した幽体の数は、十人を超していた。


 弓に矢を番える動きは緩慢なれど、それが十数人も並べばちょっとした脅威である。氷の滑走路を並んで進む彼らには歩くというよりも、空中を僅かに浮遊して滑って移動していた。


 その足元の蒼い氷が焼けた鉄のような輝きになると、あっという間に溶けてしまう。紅蓮の炎が氷を突き破って幽体たちを飲み込んだ。


 一瞬で掻き消える彼らだが、両端に居た幽体たちは辛くも生き延びた。いや、死んでいるのに生き延びたというのはおかしな話だが。


 炎から逃れた死者たちに向けて、それぞれ二つの影が迫る。金色の髪をたなびかせるリザと、風のように走るエトネが、飛竜の影から飛び出し残敵を打ち払う。


 一瞬、少女らは戸惑いを見せつつも、剣と拳を振り抜いた。まるで煙を相手取るかのように、幽体たちは姿を保てなくなり消えた。


 紅蓮の火柱は雨に飲まれて小さくなる中、レイとシアラが揃って飛竜から離れ、リザ達の方に近づいた。


「おつかれ。それで、どうだった、リザ、エトネ」


「レイ様の推測通り、やはりアルビノ砂漠に出没する幽体かと。手応えは希薄で、触れれば掻き消えますが、矢や、手にした剣には気を付けた方がよいかと。あれらからは殺気を感じます」


「攻撃力はあるけど、防御力は零に等しいと。普通の武器が通じるのは、正直助かるね。エトネは、何か気が付いた事はあるかな」


 レイが尋ねると、エトネは伏し目がちに、自分の掌を見つめていた。俯いたまま、少女は気落ちした様子で、


「ふれたときにね、すごく。すごくいやなかんじがしたの。こころがざわざわして、ぎゅーってくるしくなって、それで、それで……かなしくなった。おとおさんや、おかあさんがしんだときに、なんとなくにてる」


「そうなのかい。リザ、君はどうなんだ」


「……エトネに同意です。剣を通して、彼らの言語化できない思念が、伝わってくるような感覚がありました」


 秀麗な顔を苦しそうに歪めるリザ。あまり弱音を吐かない彼女にしては珍しく、気落ちした様子だ。どうやら幽体を直接撃破すると、彼らの感情が流れ込むのかもしれない。


 彼女らの頬が青白いのは、雨のせいでも氷の滑走路から立ち上る冷気のせいでもないのだろう。


「僕が炎で吹き飛ばした時は感じなかったけど、遠距離だと違うのかな」


「あるいは主様が鈍感なだけなのか」


「あははは。面白いこと言うね、シアラ。……帰ったら、嫌いな野菜を山盛りで食わすからな。拒否できないように命令してやる」


「なんて惨い事を! 鈍感な上に冷血漢なんて!」


 しんみりとした場の空気を払拭しようと小芝居を挟む二人に、リザとエトネは多少なりとも笑みを浮かべた。元気を取り戻してくれるならこれに越した事はない。


「あの幽体の相手は遠距離で戦える僕とシアラで対応するよ。二人は申し訳ないけど、すり抜けて来た奴らの相手を」


「承知しております」


「うん、わかったよ」


 二人が覚悟を決めつつ頷くと、レイ達は装備の点検や物資の補充を行ってから氷の滑走路を飛び降りた。


 進む方角は黄龍の尾。その途中にあるはずの、謎の発行体を探しつつ、移動を開始した。


 黄龍の背は想像していたよりも、ずっと弾性に富んでいた。泥と雪を混ぜて固めたような肉壁に足を取られそうになる。しかし、それ以上に不気味なのはこの肉が、生きている事だ。


 足裏から黄龍の血潮が、呼気が、鼓動が伝わって来る。


 生きた生物の上を歩くという、中々得難い経験に戸惑いを覚える。


 またポラリスの熱線を浴びた事で、肉が焼け爛れ、雨によって冷やされてはいるが悪臭を撒き散らしているのが気勢を削ぐ。そして、止まない雨に体力を、数分おきに発生する黄龍の魂吸いによって生命力を奪われつつある。


 気力、体力、生命力の三つを奪われながら坂道を進むのは非常に困難だ。


 そして何より、彼らに休む暇を与えないとばかりに幽体は行く手を阻む。


 ある時は弓を手にした兵士の一団が襲い掛かり、ある時は剣を携えたエルフの戦士らが現れ、ある時はモンスターが行く手を阻んだ。


『なるほど。黄龍の奴、吸い込んだ魂を二種類に分けて運用しておるのだな』


 五度目の襲撃を撃退したレイ達に対して、コウエンが分析した結果を口にしたのは黄龍が動き出してから四十分ほどが経過した頃だ。


 老齢の剣士を切り倒したリザが顔に掛かる前髪を掻き上げながら、


「二種類とはどういう意味でしょうか、コウエン様」


『こやつの巨体を維持するためには膨大な量の魔力や魂が必要となる。魂吸いで奪った多くの魂は、そちらに回す一方で、こやつはそれとは別に、自らの体に取り着く外敵を追い払うための、護り手として魂を残しておる。気が付いておったか、レイ』


「気が付くって、何をだよ」


『戯け者。貴様の目は節穴か。貴様が死に戻りで持ち越せるのは、記憶のみだろう。ならば、常に油断なく、周りの光景を記憶しておくべきじゃ』


 コウエンの辛辣だがもっともな叱責にレイは口を噤む。代わりに宝石のついた杖を手に、周囲への警戒を怠らないシアラが呟いた。


「もしかして、同じ人が居たってことかしら」


 どういう事だとレイ達が振り返ると、シアラは記憶を振り返る様に、


「四度目の襲撃の際に現れた幽体の中に、それぞれ二度目と三度目に現れた幽体が混じっていたの。もっとも、幽体の顔って、みんなのっぺりして、特徴が薄いでしょ。でも着ていた衣服や武器とかが同じだったし……違うかしら」


『否、其方の見立ては正しい。妾は見るのではなく、魂を感じる事で、あれらが同一だと分かった。おそらく、黄龍を守る警備として使われる魂は、消えることなく何度も、何度も繰り返し使い回されておるのだろう』


「そんな! それじゃ、たおしてもかいほうされないの!」


『恐らくな。そして、一つ合点がいった。エルフの『英雄』イーフェが黄龍を相手に敗北したのは、この終わりなき軍隊によって敗北したのだろう』


 尽きる事の無い不死者の軍勢を相手に、延々と戦い続ける。直接きり結べば、彼らの想念が流れ込み、精神的に疲弊して行き、この場に立っているだけで魂吸いで生命力を失っていく。


 そこから逃げ出せば故国は滅びるという極限状態の中、たった一人で戦い抜いたイーフェは何を思って戦ったのか。


 彼女の気持ちを推し量る事すら、レイ達には出来なかった。


 すると、エトネが胸に手を当てた。


 急な行動に違和感を覚えていると、萌黄色の瞳とぶつかった。


「おにいちゃん! ハヅミがはなしたいっていってる」


「ハヅミが! 無事なのか!」


 てっきり、黄龍の欠伸で吸い取られたのではないかと不安視していたが、どうやら杞憂に終わったようだ。エトネは一度目をつぶると、ゆっくりと瞼を押し上げた。


 そして、周囲を見渡した虹彩は青く縁どられている。


 纏う雰囲気からも幼さは抜け落ち、逸脱した存在の気配が漂う。ハヅミが意識だけを表層に押し上げているのだ。


「ああ、最悪の景色。まさか千年経ってから、またこの不毛な光景を目の当たりにするなんてね」


 エトネの口から別の者の声がする。水の最上位精霊であるミヅハノメの末端であり中枢でもあるハヅミが忌々しそうに呟いた。


「ハヅミ。まずは無事で何よりだ。しばらく表に出てこられなかったのは」


「黄龍の魂吸いよ。あれは精霊には特に影響が強くてね。正直、ちょっと危なかったわ」


「それじゃ、黄龍の上だと余計に危ないんじゃ」


 焦るレイに対して、ハヅミは手で制した。


「いまは大丈夫。この子の心の、一番奥深くで隠れる術を身に着けたわ。もっともそのせいで、指輪の魔力が満ちても、力を貸す事は出来ないけどね」


 大事な場面で力を貸せない事を自嘲気味に語るハヅミ。彼女は消失の危険を冒してまで、何かを伝えに来たのだとレイは理解した。先を促すように黙っていると、彼女は語り出す。


「赤龍の、コウエンの推測は概ね間違っていないわ。ただ、それだけであの子が。イーフェが死ぬわけないでしょ。あの子には精霊剣バルムンクと、私達精霊が味方していたんですもの」


「それじゃあ、一体、どうしてイーフェというエルフは死んだのよ」


 シアラの問いかけにハヅミは少し苦しそうにしつつ答えた。


「あの子が死んだのは、黄龍の罠に嵌ったからよ。いえ、正確に言えば、黄龍をこうした、何者かの仕掛けた罠に嵌められたとでもいうべきかしら」


 やはり、千年前に黄龍が暴走したのは誰かの意思があったのは間違いないようだ。しかし、それは現状、そこまで重要では無い。イーフェが嵌められたという罠の方が気になる。


「あの子は、この巨体を見て、まず足を止めるために精霊剣の熱線で体を削ったの。精神力を籠めれば、地形すら変える精霊剣の力は、黄龍の皮膚を削った。でも、何度か繰り返してそれが無駄だと分かったの。与える傷以上に、回復する方が早かった。だから、あの子は直接体内に侵入して心臓を狙おうとしたの。精霊たちが足止めしつつ、一人で潜ったイーフェは、そこで二日間、出てこれなかったの」


「……中に飛び込んだことで、罠に掛かったのですか」


「ええ。黄龍の魂を吸い取る力。その源は、心臓だったの。近づくにつれ吸い取られる量も、勢いも上昇していったわ」


「ちょっと待って! それじゃあ」


「心臓を直接狙おうとすれば、逆に命を吸い尽くされてしまう。それが黄龍の持つ絶対防御だったの」


 ハヅミの説明にレイは頭を抱えそうになる。


 この巨体を見れば、誰もが外側からの攻撃を諦める。例え、表面を焼くことが出来ても、出鱈目な再生速度を目の当たりにすれば、それが無駄だと諦めてしまう。現にポラリスの爆発にも耐え、修復しているのだ。


 外から攻撃しても届かないとなれば、後は直接体内に侵入するしかない。そう考えて飛び込んだ者は、心臓に近づくにつれて動けなくなり、最後には養分となってしまうという悪魔じみた二段構え。


『英雄』イーフェとて、その守りを突破することは出来なかった。


「イーフェの持つ特殊ユニーク技能スキルは《パッシング・フォワード》。効果は生命力を回復させる。……必死の思いで、心臓の近くまで辿り着いたあの子を待っていたのは、一瞬で瀕死になるほどの魂吸い。二秒もあれば人を絶命させ魂までもぎ取る暴威を前に、あの子は一秒で生命力を回復させてしまう。でも、次の瞬間には生命力はもぎ取られてしまう。立ち上がる事とも出来ないまま、動けなくなったイーフェは、黄龍にはさぞ、御馳走に見えたのでしょうね。食べても食べても、食いつくせない御馳走に」


 死ぬこともできず、ただ生命力を吸い取られていく恐怖と苦痛。そしてそれを糧に余計に成長した黄龍が国を滅ぼそうとすることへの焦燥。イーフェがどれ程の過酷な体験をしたのか。ハヅミの口からひしひしと伝わって来る。


「いつまでたっても帰って来ないあの子を助けるために、精霊たちが我が身を省みずに飛び込み、多くが散った。どうにか辿り着けた数体があの子を助け出して外に連れ出した時は、肉体よりも心が崩壊寸前だった」


「……それで、イーフェはどうしたんだ」


「あの子が体内から救出された事で、黄龍は御馳走を取り上げられた子供のように、周りの魔力を吸い上げた。それは花の都を守る鉄の森を枯らすほどの勢い。だから、イーフェは黄龍を倒す為に、最後の力を振り絞って立ち上がったの」


「でも、内側からじゃ心臓は狙えないんだろ。だとしたら、どうやって」


「決まってるでしょ。外側からよ。あの子は、自らの体に剣を突き刺した。傷を負う事で、技能スキルを加速させ、手に入れた分を全て精霊剣に託した。そして、たった一人で、黄龍の背を駆けあがったの。精霊は黄龍に近づけないから、私達を置き去りにして。……それが、あの子を見た最後よ」


 後は、御覧の通りよとハヅミは締めくくった。皆、一様に重苦しい空気に押しつぶされそうになる。一人の女性が故郷を守る為に、壮絶な戦いを挑み、それでも勝てなかったという事実が重くのしかかる。


「……不味いな。心臓を直接狙えないなら、中に侵入しているサファさんたちが危ない。ハヅミ、君達精霊はこの事をサファさんに話してないのか」


「話してないわ。話せるもんですか。サファにとってイーフェは敬愛する師。それを失っただけで、あの子はああなったのよ。己を責め、師の遺志を引き継ぎ、一族を守るための刃となった。黄龍との戦いでイーフェがどんな目に遭わされたのか知れば、あの子は我を忘れ、世界が滅びると知りつつも黄龍を復活させたかもしれないわ」


「それじゃ、サファさんも知らないのか。このままじゃ、中に突入した人たちが全滅してしまうぞ。どうにか中と連絡が取れればいいんだが。何か手段は無いのか、シアラ」


 問いかけにシアラは無念そうに首を横に振った。


「魔法による通信が切られ、魔水晶を向こうが持っていない以上、打つ手は無いわ」


 レイは忌々しいとばかりに黄龍の背を蹴る。それが大したダメージにならないというのが余計に腹立たしかった。


 すると、エトネの体を借りているハヅミが、


「そろそろ、限界のようね。……私の知っていることは以上よ。……こんな事、頼めた義理じゃないけど……お願い。……黄龍に囚われた者達を……どうか救って……頂戴。千年もの時間、……御霊に上がる事すら出来ず、……彷徨う……魂に……祝……福を」


 そう告げると、萌黄色の瞳を縁取る青い輪郭は消えた。神秘的な雰囲気も消え、エトネが表に出来た。


「ハヅミは大丈夫そうかな」


「うん。でも、すごくふかいところで、ないてるよ。ねえ、おにいちゃん。どうにかできないかな」


 真摯に頼み込むエトネにレイは弱ったなと呟いた。


「心臓を直接狙えないとなった以上、黄龍を倒すには外側しかない。問題は……外側に居るのが僕らしかいないって事だよな」


 レイの中で、これまでに幾度も味わった絶望の苦い味が広がっていく。


 強大な、比喩でもなく山と同等の存在である黄龍の、分厚く、そして尋常では無い回復速度を有した皮膚を貫き心臓を穿つ。そんな方法を考えなくてはいけないのだ。


読んでくださって、ありがとうございます。

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