5-26 前門のボス
「《耐久》の加護に感謝しなさいよ。あれが無かったら、主様の背骨はぽっきりと折れてもおかしくなかったわよ」
シアラが外した鎧を手で弄びながらレイがどれだけ危ない状況だったかを語る。ジャイアントラミアを撃ち返したリザを抱えて地面へと落下したレイ。いや、爆発の後押しを受けたことにより、墜落したとさえ言えた。レイとリザが地面に激突した痕がまだ残っている。蜘蛛の巣のようにひび割れた地面が衝撃の凄まじさを物語っていた。
背中から落ちたのが、本当に幸運と言えた。鎧に込められた加護が発動したことで、衝撃が緩和。だけど、地面に落ちた反動でレイは高々と跳ね上がり、再度地面に体を打ちつけた。リザも似たような物だが、リザを庇ったレイの方が怪我は酷かった。
レティの治療により、二人とも怪我の状態は回復に向かっていた。すると、先に動けるようになったリザがレティを呼んだ。
「今行くから待ってて。ご主人さま、とりあえず、これを飲んでいて。外傷は大丈夫だけど、内臓が痛んでるかもしれないから、少量ずつ。でも全部飲み切ってね」
レティが差し出したのは緑色の回復薬。試験管に入っている液体をレイに渡すとレティはリザの方へと駆けだした。
シアラに背中を支えられたレイは試験管の蓋を開けて、回復薬を飲む。口元に当てられた緑色の粘液が舌を伝い、喉へと流れていく。次第に体の内側から活力が漲り、痛みが薄れていくのが分かった。
「それで、今はどういう状況なんだ」
シアラに尋ねるも、彼女は質問に答えるよりもまず、レイの肌艶を確認する。
「ちょっと待って……うん、肌も良くなったわね。それじゃ、今の状況を説明するわよ。まず、あのモンスター。ジャイアントラミアは御覧の通りよ」
シアラが白い手で後方を指差した。レイがそちらを振り向くと、瓦礫で埋め尽くされた階段が目に飛び込んできた。
「少なくとも、あれから三十分は経ってるけど、出てくる気配はないわよ。多分だけど、倒せたと思うわ。……不安ならステータスを見たら?」
「どうして、ステータスを見れば倒せたかどうかが分かるんだ」
「だって、どう考えても上級モンスターでしょ、アイツ。だったら、ワタシたちの誰かがレベルアップしてもおかしくないわ。特にレティやおちびがね」
シアラの指摘は十分あり得た。レイは目をつぶると、ステータス画面を呼び出し、全員のレベルを確認した。確かに、最後に確認した時よりもレティとエトネが上がっていた。おそらくジャイアントラミアを倒した経験値が五人に渡りレベルが上がったのだ。
「その様子だとやっぱりレベルが上がっていたようね。だとすれば、これで問題は一つ片付いたわ」
シアラが胸をなで下ろすと、次の説明に移った。
「リザも含めた十一人は全員無事よ。今は食事を碌にとれてなかった自警団に食事を振る舞っているわ。ほら、あそこ」
再びシアラが指さした方を見ると、リザがレティと協力して簡単な料理を自警団の二人に振る舞っていた。レイが見ていることに気づいたリザが手を振る。確かに、今のレイよりも、彼女の方が健康体だ。
「最後に。ここが何処かは、まあ、アレを見たから、分かってるでしょ」
シアラが困った風に、顎である方向を指した。そこにはレイにとって一番直視したくない現実が待ち構えていた。重圧な扉はあたかも腹に閉じ込めた生き物を外に出さない檻のように鎮座している。あれをレイが見るのは、これで三度目である。
「ああ。やっぱり、夢じゃないんだな。ここは―――」
「そうよ。ここはボスの広間。その手前よ。あの扉の向こう側には上層部のボスがワタシたちを待ち構えてるって訳よ。ようやく理解できたかしら」
シアラに肯定を示すように頷くと、ダリーシャスの声が響いた。
「やはり、上に繋がる階段や抜け道の類は無い。脱出手段は……おお、レイ。目が覚めたか!」
ダリーシャスはナリンザとエトネ、それにマリオンとエドワードを従えていた。彼は快活な笑みを浮かべてレイの元に駆け寄ると、横に座った。すると、リザとレティ、自警団の二人もレイの元に集まった。後から来た者達は、食事用の椀を手に持っている。
「お疲れ様です。どうぞ、こちらを」
「はい、ご主人さまも」
椀の中身は肉と野菜のスープだった。食欲をそそる匂いを嗅ぐと、途端に腹の音が鳴る。レイは礼を言うと、椀を受け取り、一口すする。野菜と肉のエキスが収縮されたスープはまるで細胞一つ一つを活性化させるように、体の隅々までエネルギーを運び込む。
あっという間に空になった椀を地面に置いた。
「リザ達は食べたの?」
「はい。すでに頂きました。……それで、ご主人様。状況は理解できたでしょうか」
リザの質問にレイは頷いた。そしてそのまま頭を下げた。リザは目を丸くして驚いた。
「ご、ご主人様。なぜ、頭を下げているのですか」
「いや。僕の軽率な判断がここまで事態をややこしくしたんだ。皆、すまない。責めるなら、責めてくれ」
ところが頭を下げたレイを責める者は居なかった。代表するようにダリーシャスが口を開いた。
「頭を上げろ、レイ。其方は最善の行動をとり続けた。現に、ほれ。ここに居る全員は皆無事だ。其方も、この幼子に告げただろう。挽回する機会は生きてこそある」
ダリーシャスの言葉は全員の意思を代弁していた。レイがあの場で鉱石を爆発させていなかったら―――結果論ではあるが―――逃げ場の無い状況下で、非戦闘員を四人も抱えた状態でジャイアントラミアと戦う羽目になった。そうなれば誰かが石化していただろうし、最悪は全滅していたかもしれない。
十一名全員が生きているのは考えうる結果の中では、上等な部類に入る。
「とはいえ、状況がより悪くなったのは事実ですが」
「おい、ナリンザ。折角、俺が場の空気をよくしたのに、落とすようなことを申すな。見てみろ、レイが可哀そうなぐらい、落ち込んでいるでは無いか」
ナリンザは、これは失礼と呟いたが、彼女の言う通りである。全員生き残っているが、最悪の状況でもあるのだ。
「まず、これまでのおさらいと現状の確認をしましょう。主様、羊皮紙の束と鉛筆を貸して頂戴」
落ち込んでいるレイの代わりにシアラが司会を務める。レイがリーダーではあるが、彼は目が覚めたばかりで、細かい状況が不明のため、聞き手に回る。自警団の二人は、こんな年若い少女が仕切るのかと抗議の声を上げかけるが、金色黒色の瞳を前に沈黙する。
シアラは受け取った羊皮紙にスラスラと絵を画いていく。覗き込んだレイには、それがこの迷宮の概略図だと分かった。
「三層目で主様と別れたワタシたちは一度地上に引き返して子供らを送り届け、そのまま三層までを最短で突破したの。四層は普通の迷宮だったわ。迷路のような通路が延々と続いてるんじゃなくて、広間と通路が繋がり、下へと降りていく階段を発見。ナリンザ様の魔法で、主様たちの方角は分かっていたからさっさと下りたのよ。ところが、五層目は拍子抜けするほど簡単で……でも厄介だった。ほとんど一本道に近い作りなのに、主様たちが居る方向に繋がる通路は無し。同じ階層に居るはずなのに合流できないのよ」
説明しながら、一層目、二層目、三層目と番号を振った長方形が、梯子のような物で繋がっていく。迷宮を横から見ているかのようにシアラは描く。まるで、アリの巣のようだ。レイはシアラから鉛筆を借りると、シアラが書いた五層目の横にもう一つ四角を作る。そちらには番号を五層目Bと振り、元から書いてあった五層目にAを付け足す。
「五層目B、つまり僕等がいたラミアの巣は上にも横にも行けない浮島のような場所だったんだな。そして、僕らは共に六層目に降りた」
「ええ。ナリンザ様が下からなら行けるかもしれないと仰ったので、それに掛けてみる事にしたのよ」
五層目Aと五層目Bから梯子が降り、六層目と書かれた四角に繋がった。そして、シアラは新しい羊皮紙を取り出すと、今度は四角を三つ、横一列に並べて、線で繋げた。
「多分、こんな感じなのよね。六層目は。五層目Aから降りて来たワタシたちが右の方の広間から。主様たちは左の方の広間から中央の広間に向かってそれぞれ移動。そして合流するも、あのラミアに襲われ、全員はこっちに逃げ込んだ」
鉛筆が、三つ並んだ四角の内、中央の四角の下に向かって線を伸ばし、新しい四角を作る。六層目は俯瞰で見ると、Tの形をした広間の並びだった。
「未探索だったこの広間に唯一繋がっていたのは下へと降りる真っ直ぐな階段。そしてそこ降りた此処は、上層部七階層目、ボスの広間の手前。いわゆるセーフティーゾーンという訳ね」
ここまでは良いかしら、とシアラは全員に問いかける。レイは大丈夫だと返すと、状況確認は再開した。
「前門はボスに塞がれ、後門は瓦礫によって塞がれてしまってるわ。下手に掘りだそうとすると、こちらからだと二次被害が起きるかもしれないから、掘るのは無しね。おちび、アンタたちが見たって言う抜け道はあったかしら」
レイが気絶している間に、ラミアの巣で何があったのかを聞いたシアラはエトネに抜け道の有無を探すように頼んでいた。おちびと呼ばれたエトネは不満そうな顔を浮かべつつ、聞かれた事を答える。
「ないよ。このひろまのかべ、ぜんぶさわってみたけど、すりぬけるかべはなかった。ね、おじちゃん」
「……幼子よ。おじちゃん発言は勘弁してくれないか。これでもまだ、二十代半ばで……って、ナリンザ、爆笑するのは構わんが、俺がおじさんなら、其方はおばさんだぞ!」
エトネのおじちゃん発言が壺に入ったナリンザは、声を上げて笑っていたが、ダリーシャスの指摘を受けて一転して笑いを止めた。そして、エトネに向かって尋ねた。
「……エトネちゃん。私の事を呼んで頂戴」
字面だけなら、優しげに語りかけているかもしれないが、魂が底冷えする程寒々しい声色だった。エトネは不思議そうに首を傾げて、
「おば―――」
「―――エトネちゃん」
びくん、と。エトネの尻尾が膨らんだ。まるで、森の中で突然猛獣に出くわしたかのように緊張している。エトネは慌てて、
「お……ねいちゃん」
と、震え声で訂正した。ナリンザはベールの下で笑みを浮かべると、「よくできました」と褒めていた。横でダリーシャスが「こいつ、子供を脅迫しやがったぞ」とドン引きしているが、ナリンザは無視する。
「はいはい。漫才は後回しにしてちょうだい。話を戻すと、抜け道が無く、退路も無い。だったら、進む道は一つしかない。前に進むのよ」
「でもさ、シアラお姉ちゃん。前に進むにしても、次はボスで、その先も下に続く階段しかないんでしょ。だったら、上に戻る手段がないんじゃないの」
レティの質問をリザが回答する。
「その点は心配ないはず。確か、ボスの広間を突破した次の広間には、上の階層に繋がる階段があると聞いています。そうですよね、ご主人様」
「その通りだよ。僕がネーデの迷宮を攻略した時も、次の広間に階段があったよ」
正確に言うと、レイがネーデの迷宮上層部を突破した時、彼はその手前のセーフティーゾーンに戻り、そこから上に戻った。彼が次の広間の階段を使ったのはファルナを救出する時だ。ボスを倒すと、次の中層部へのショートカットとして転移魔法陣が使えるようになる。レイはそれを利用し、次の広間に転移。そして上の階層に上ったあと、ボスの広間手前に降りたのだ。
この転移魔法陣と階段の仕組みはどの迷宮でも同じ仕様だと、『冒険の書』には書いてある。当然、未踏の迷宮であっても同じのはず。
「つまり、ボスを倒し、広間を抜けて上の階層に昇り、そこから地上を目指すのが最速の手段なわけよ」
シアラは簡単に言ってのける物の、問題点がいくつもあった。レイが指摘する前に、自警団のトムが泡を喰ったように口を挟んだ。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! お前ら正気かよ!」
トムは顔を紅潮させて興奮している様子だった。シアラが平然と、「正気も正気よ」と挑発めいた言い方をすると、余計に感情を悪化させる。
「ボスって言ったら、さっきのモンスターよりも強いのが居るのかもしんないんだろ!? それをお前らみたいな子供だけで倒すつもりかよ。まさか、それを俺達に手伝えっていうつもりか?」
「ワタシがそんな事を一言でも言ったかしら。ボスと戦うのはワタシたちだけよ。アンタらはここで、あそこの門がもう一度開くのを待ちなさい。中から呼んであげるから入って来なさい」
すると、今度はエドワードの兄が口を開いた。トムとは違い、臆病そうに、
「あのさ。ここで救助が来るのを待つのはだめなのかい」
と、言う。後ろ向きな意見だが、実はこの状況で一番安全な提案でもある。幸い、ここはセーフティーゾーン。モンスターが生まれない安全地帯だ。モンスターが降りてくる可能性のある階段は瓦礫で塞がり、ボスも分厚い扉に阻まれている。
ある意味聖域なのだ。レイも同意するように口を開いた。
「そうだよ。何も、大急ぎでボスを倒そうとしなくてもいいじゃないか。今が何時か知らないけど、明日にはアマツマラから人員が送られてくる。その間に迷宮の変成が起きて、あそこの階段も元に戻るかもしれないじゃないか」
ところが、リザとシアラ、それにダリーシャスは沈鬱な表情でレイの言葉を否定した。
「迷宮の変成に期待するのは難しいだろう。子供らの話が正しければ、次に変成が起きるのは二日か、あるいはそれ以上かかるやもしれん。少なくとも丸一日は確実に掛かる。かといって、アレを人力で片を付けるのも一日やそこらは掛かる」
「そして、ここからが一番の問題なのですが……食料が足りません」
シアラの後を引き継いで、リザが言う。レイは食べたばかりの椀を思わず見てしまった。
「元々、短期での活動を想定して、食料は最低限の量しか持ってきていません。それこそ、七人が量を切り詰めて一日持つ程度。ですが、今の私達は……四人増えてしまいました」
リザがちらり、とマリオンたちを見た。彼らの持っていた食料は既になく、先程飯を貰ったばかりのため、文句を言えないでいた。
「まだ、幾らか残っていますが、それでも持ってあと半日。厄介な事に、ここはセーフティーゾーン。食料となりうるモンスターが出現しません」
リザの言葉に子供達は顔をひきつらせた。やはり、モンスターを食べるという発想は本能的な忌避感を与える。だけど、このような状況だと、モンスターは重要な食料になる。それだけに、セーフティーゾーンに居る事が裏目に出てしまうのが悔しかった。
リザは説明を続ける。
「アマツマラから送られる者達が、明日着いたとして、手掛かりの無い私達を探して彷徨えばここまで来るのに半日。送られた人員が弱ければもっと時間が掛かるかもしれません。そこから、あの瓦礫を撤去するのに一日かかれば……考えたくもありません」
「水はワタシやナリンザ様の魔法で何とかできるかもしれないけど、やっぱり食料が無いのは子供たちにも厳しいわよ」
レイは口々に言われた情報を自分の中で整理し、纏めた内容を口にした。
「つまり、今なら、体が満足に動く今だけなら、ボスに挑むことが出来るんだね」
「そう言う事よ。……ついでに言えば、ワタシたちが居なくなれば食料がもっと持つことになるわ。何しろ、食べる人数が減るんですもの」
「笑えない冗談だよ」
レイはため息を吐いた。そして、彼を除く全員が少年の決断を待つ。レイは頭の中で幾つかの可能性を考慮する。この迷宮のモンスターのレベルや、系統。そして、リザ達が無謀といえる提案をした真意を含めて、決断する。
「分かった。ボスを倒して、ここを出よう」
反対するものは居なかった。
急ピッチで準備が進められる。武器の手入れ、道具の確認、精神の統一。レイのダガーに血を吸わせたシアラは少しでも精神力を回復させようと眠っている。寝るには相応しくないおうとつだらけの地面に文句は言いつつもすぐさま眠ったのは流石といえる。
レティは食料と水、固形燃料や鍋などの道具一式をマリオンたちに渡している。すでに鍋の中にはナリンザが出した水が溜まっている。最悪、水さえあれば数日は持つ。大切に飲む様にと口酸っぱく言っている。
リザとエトネは準備運動代わりに柔軟を二人でやっている。エトネに背中を押されたリザは、まるで新体操選手のような柔らかさを披露している。
そして、ダリーシャスとナリンザは自分の武器をやすりで研いでいた。
「……って、アンタらも来る気なんですか?」
レイが慌てて尋ねると、ダリーシャスは当たり前だろ、と返した。
「其方らに俺たちを加えれば、勝率も上がるかもしれん。違うか?」
ダリーシャスはともかくとして、ナリンザの手助けは助かる。だけど、彼らが死んでも《トライ&エラー》は発動しない。もし、レイが戦闘中に気絶した場合、彼らを救えない場合があるのだ。
レイがボスの間を挑もうと決めたのは、最初から《トライ&エラー》ありきだった。いつ来るか分からない救援を待って、餓死寸前まで消耗する前に、満足に動ける内にボスに挑み、倒せそうなら倒す。無理そうなら諦めて救援が来るのを待つ事にしようと決めていた。
「……僕が何を言っても、アンタは意見を変えないんでしょうね。……王子の癖に、どうしてそう、危険な事に首を突っ込みたがるんですか。死ぬのは怖くないんですか」
レイが疲れたように言うと、ダリーシャスはいつもの陽気な笑みと違った、乾いた笑みを浮かべた。どこか錆びついたロボットのような気味の悪さにレイはぎょっとしてしまう。
「俺にとって、生死に違いは無い。人は生きる時に生き、死ぬときには死ぬ。例え、大人でも子供でも。男でも女でも。聖人だろと悪人だろうと。……王子であってもそうなのだ。ゆえに恐怖はあり得ない。いずれ来るか、いま来るかの差だ」
「……ダリーシャス?」
ダリーシャスは乾いた笑みを浮かべたまま、何でもないと言う。そして、レイから逃げるように距離を取ると背を向けて座ってしまう。ナリンザが傍に付いているが、彼女もまたレイとは距離を取っていた。
いつにない悲しい表情を浮かべたダリーシャス。その背中は人を拒絶している。レイは何も言えず、自分の準備へと戻った。
そして。
ボスの広間へと続く分厚い門の前にレイは立つ。横には準備を終えたリザ、レティ、シアラ、エトネ、ダリーシャス、ナリンザが並んでいる。後ろにはマリオンたちが固唾をのんで見守っていた。
「さて。それじゃ行くとしますか」
レイが呼びかけると、全員が一歩前へと歩み出した。それに呼応するように迷宮の門が地響きをならして持ち上がる。ぽっかりと深く、暗い闇が七人を飲み込もうと口を開けている。
彼らは怯むことなく、その闇へと飛び込んだ。
読んで下さって、ありがとうございます。




