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港湾都市ブルーカフス

 一ヶ月後、一行は港湾都市ブルーカフスに着いた。

 念のため、ビジーとラッセルの到着から数日遅れでヴァーゴも都市に入った。

 歓楽都市エクサリドや商工都市ベールトルードでの騒動が伝わっていた場合、ヴァーゴと行動を共にするのはリスクがある。

 行動は別に、連絡はビジーの魔法で生成する伝書鳩で行うことになった。


 ブルーカフスは大陸の最南端に位置し、商船を利用した各地との貿易で栄えている大きな都市だった。

 街並みは白や青を基調とした爽やかな色合いで統一されており、降り注ぐ陽の光と海からの潮風が心地いい。

 大通りも人でにぎわっており、漁港もあることから海産物などもたくさん売られていた。

 全体的に解放感に満ちた都市だった。


 街に入ったヴァーゴは以前の経験から、まずは冒険者ギルドで情報収集をすることにした。

 ブルーカフスの冒険者ギルドは人でごった返していた。

 依頼書を貼り出している掲示板に向かうと、近辺の野盗やモンスター退治よりも商船の護衛や荷物の運搬の依頼が多数を占めていた。

 どうやらこの街では冒険者というより力自慢の人手が重宝されているらしい。

 なんでも屋である冒険者にとって、これはこれで正しい使われ方なのかもしれない。

 ギルドに併設された酒場で昼間から飲んでいる冒険者たちに声を掛けた。


「よお。俺は今日この街に来た冒険者なんだが──」

「お、兄ちゃんも遠洋祭で稼ぎに来たのかい?」

「えんようさい?」

「なんだ、知らねーのか」


 ヴァーゴは近くの店員に人数分のエールと酒のつまみを注文した。


「詳しく聞かせてくれ」

「わりぃな、ありがたく頂くぜ」


 男はジョッキの酒をグイっと飲み、


「遠洋祭は二年に一度のお祭りよ。この街が大陸各地と貿易してるのは知ってるだろ?」

「それは知っている」

「いろんな商品であふれてるわけだが、中でも人気なのが南の大陸から仕入れてくる商品さ」

「南の大陸?」

「ウワサじゃ片道半年以上の船旅らしい。この街きっての大商会、リーブロ商会の商船団が買い付けてくる商品が荷下ろしされて出回るのを祝うのが遠洋祭なのさ」


 ヴァーゴは“リーブロ”という名前の響きにピクリと眉を動かした。

 顔に横一文字の傷を持つ男、ヴァーゴの仇であるドクヘビの幹部の名前がリブラだった。

 偶然とも無関係とも思えない。


「商人なら商品の買い付け、俺たち冒険者なら大量の積み荷の荷下ろしでガッポリ儲けるってわけよ」

「そいつはすげえな。俺も運がいい。祭りはいつなんだ?」

「あと三ヶ月ちょっとだったか? それまでは日銭を稼いで祭りのかき入れ時を待つって寸法さ」


 ヴァーゴが注文した酒と料理が運ばれてきた。

 男は追加のメシを頬張り、気分よくヴァーゴにこの街のことを教えてくれた。

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