幕間1.シーシャのおるすばん
私はシーシャ!
お友達のツルギちゃんと一緒にゆらゆら漂ってたら、たくさんのモンスターに襲われた。
逃げるのに必死になってた私たちを、尻尾がない不思議な生き物が助けてくれた!
その生き物は「人間」っていって、なんと水の外の世界から来たらしい!
名前はミズキっていうんだって。
ミズキは私に水の外の世界のことを教えてくれた。
そして、これからも色んなことを一緒にしてくれるって約束してくれた。
次はどんな素敵なことが待ってるんだろう?? 楽しみだな~!!
『おるすばん~、おるすばん~♪』
今はミズキに教えてもらった「おるすばん」っていう大事なお仕事をしてるよ。
誰かが留守の時に、家を守る大事な役割なんだって。
「家」も「留守」もミズキに教えてもらったからバッチリ知ってるよ!
そのミズキは、「手続き」っていう事をしなくちゃいけないらしくて、水の外の世界に戻ってるんだ。
しばらく一緒にいれないのは残念だけど、必要なことなら仕方ないよね。
私は、おるすばんをがんばるぞ!
『ツルギちゃん、どう? 私のおるすばん』
『モーン』
ミズキが言うには、おるすばん中は、ゆっくり過ごして良いらしい。
うーん、何をしようかな?
水の外の世界が見れる板は、ミズキに預けてあるからドウガは見れない。
私が拾った板は元の持ち主がいるから、私専用のを用意してくれるんだって。
うれしいな。
そうだ、私にもミズキがうれしいって思うことができないかな?
『あ!』
ミズキは寝る時にぶあつい布が欲しいって言ってたよね。
なら、布みたいなふわふわしたものを探そう!
『ツルギちゃん、ふわふわがどこにあるかわかる?』
『ブモン!』
ツルギちゃんは、探したい物がどこにあるかわかる力を持ってるんだ。
ミズキが「探知スキル!?」って驚いてたっけ。
『ブモモーン!』
『よーし、あっちだね!』
ツルギちゃんが案内してくれる所にゴー!
全力を出して泳ぐと、鱗に当たる水の流れがすごく気持ちいい。
『ふわふわ~、どこかなっ』
『ブモモン』
目の前を泳いでいたツルギちゃんがスピードを緩めた。
進もうとしていた方向に、大きな岩場がそびえ立っている。
『ん? 行き止まり?』
『ブモ』
ツルギちゃんが違うって身体を揺すってる。目的地はここみたい。
岩ばっかりだよ? ふわふわ、どこにあるんだろう?
『ブモーー』
ツルギちゃんが岩のひとつを尻尾でぺちぺちしてる。
『わ……!? これ、岩じゃなくて貝?』
『モン』
岩に見えてたのは、同じ色をしたおっきな貝だった。
私より大きなその貝を、岩から引き剥がそうと全力で引っ張ってみる。
『うおおおおおお……!! うひゃあ!?』
すごく固かったから一生懸命力を入れていると、急に貝がスポンと取れた。
貝に抱き着いたまま水中をくるくると回って……目が回る~……!
『ブモブモー!』
『うう~……はっ! 取れたよツルギちゃん! これがふわふわ?』
貝の中を覗き込んでみると、そこには確かに白くてふわふわしたものが詰まっていた。
しかも、その貝は外側が岩みたいにカチカチなのに、中はちょっとふわっとしてる!
ためしに貝の中に潜り込んでみる。頭だけが外に出てて、なんだか貝に食べられてるみたいで面白い。
おお、すごくふかふか! ワカメの寝具もすごくよかったけど、これもすっごく落ち着く!
『やったー! 寝具ゲットだよツルギちゃん』
『ブモーォ』
『この大きさなら、私とツルギちゃん、ミズキとういろうちゃんもみんな入れるね』
『ブモ……』
ツルギちゃんが何とも言えない顔をしている。どうしたんだろう?
え? もう一個あった方がいいかもって? どうして?
ミズキのぶん? 少し狭いから?
『大丈夫、ぴったりくっついて入ったら絶対足りるよ』
『ブモモモ……』
うん。結界の中に入れて持ち運べば、持って帰れそう!
『家に帰ろっか、ツルギちゃん』
『ブモン』
ツルギちゃんは何かに同情しているような悟ったみたいな顔をしている。
こんな表情、珍しいなあ。
そして、来た道を泳いで、私たちは家に帰ってきた。
ミズキも早く帰ってこないかな?
収穫を見せるのが楽しみだなあ。
『ブモー』
『……あ! あれミズキじゃない? おーい、ミズキ――!!』
遠い遠い水面から小さな影が降りてくる。
その姿が見えたら急にすっごく嬉しくなって、私は全速力で迎えに行った。
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【素材情報】
登録名:ネブクロガイ
希少度:B~C(大きいものほど希少)
採取:可
ダンジョン外への持ち出し:可
備考:水中で育つ。貝ではなく植物の一種。殻の中に綿に似た繊維の種子が詰まっている。
乾かして寝袋として使用した探索者がいたとされ、この名がついた。
大きく成長したものは2メートルを超える。
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