第24話.防衛戦
ダンジョンの反乱によって凶暴化したモンスター達。
大量に迫りくる魚ゾンビを振り切って、シーシャの張る結界内へ向かう。
『キュ!』
『主様にはヒレ一本触れさせないぞ!』
ういろうのブレスによる牽制と、ケルピィのスピードのおかげで、無傷で安全地帯へ辿り着く。
宮殿入口で魚ゾンビを迎撃していたルリカさんが、すれ違いざまに新たな魔方陣を展開した。
『よし、避難したな? それじゃいくぞ、【大魔術】トールハンマー!』
魔方陣から放たれた雷が、濁り始めた水中を真っ白な光に染め上げ魚ゾンビ達を一掃していく。
もし結界の外に残っていたら、一瞬で黒焦げの塵になっていただろう。
辺りを取り囲んでいたモンスター達が一瞬で消えていくのは、圧倒される光景だ。
『わ!? なあに、今のピカピカ!?』
『ブモー?』
『プルウィア、魔法の類と確認』
結界の中でシーシャ、ツルギちゃん、プルウィアと合流する。
みんな外の様子が気になって入口まで来ていたらしい。
『!! ミズキだ!!』
『大丈夫だったか!?』
『うん、私たちは大丈夫だよ。でもイヤな気配が漂ってて落ち着かないよ……』
『プルウィアは異常な魔素を検知している』
反乱のヒリついた空気に、みんな緊張感を漂わせている。
『ルリカさん! 俺たちにも出来ることはありますか?』
『んん~、このまま雑魚しか来ないなら、余裕なんだけどなあ。何かあった時のために一応、警戒しといて!』
何もないことを願いたいけど、用心しておくに越したことはない。
『シーシャ、結界の維持は平気か?』
『うん、あのひとがモンスターを追い払ってくれるから』
『プルウィア、僅かだが魔素を回復。コストの少ないものなら、建築可能』
『コストの少ない建築か……例えば防御に使えそうなやつだと、どんなものがある?』
『ピキュ!』
俺たちが作戦会議をしていると、ふいにルリカさんが叫ぶのが聞こえた。
『デカいのが来るよ! あはは、やっぱボスは居るよねえ……』
みんな一斉に外を見る。
『な、なんだあれ!?』
『なんと巨大なイカ……いや、タコか?』
『ブモモ……』
巨大なタコ足が一つに融合したかのようなモンスターが、濁った水の中から湧き出てくるのが見える。
『たぶんクラーケンかな? 水中のモンスターってあんま戦ったことないんだけど、とりあえず先手必勝の雷!』
ルリカさんが魔法銃を両手で構える。銃の先に集まった魔力がバチバチと稲妻を纏う。
『【大魔術】インドラの矢! ……って、ありゃ?』
ルリカさんが放った攻撃は、クラーケンの足によって受け止められる。
ダメージを負った足は少しずつ再生しているように見える。
『ふうん、足に当ててもあんまり意味なさそうだね』
『なら、俺たちで足を邪魔します! プルウィア、出来そうか?』
『承知。建築を開始する』
『我もいけるぞ! 足の足止めという訳だな!』
作戦会議で防御策を提示してくれたプルウィアと、飛び入りのケルピィが前に出る。
『建築、カテゴリはバリケード。【オートデコイ】リトルプルヴィア』
プルヴィアが放った緑色の光から、小型サイズのプルウィアが複数生まれる。
小さなプルウィアたちが飛び出すと、クラーケンの足はプルウィア型デコイを叩き潰そうとする。
おお、上手く誘導できてる!
『我を捕らえられるものなら、捕らえてみるがいい!』
『まだまだ、建築可能』
ケルピィもデコイに混ざって、俊敏な動きでクラーケンの足を翻弄している。
暴れるクラーケンによってデコイが破壊されても、プルウィアが新たに生み出す。
『ナイス援護、これで本体にガンガン当てられる……なっ!』
クラーケンの足の注意が完全に逸れている中。
ルリカさんは、足の中心にある巨大な瘤のような場所に、雷弾を次々に撃ち込んでいく。
全ての足が絶対に反応できない角度とタイミングを見計らい正確に放たれた雷が、不気味な肉塊を穿つ。
『うんうん、再生出来るのは足だけみたいだね』
『主様ー! 我の活躍見ているか! どうだどうだ!』
『うわ、ケルピィ! よそ見しないでくれ!』
ケルピィがハラハラさせてくるけど、クラーケンの動きは明らかに鈍ってきている。
ルリカさんは大きく深呼吸すると、最後に一際大きな雷を放ってクラーケンを貫いた。
『おっけー、勝ち!』
『ケルピィちゃんプルちゃん、ルリカさんすっごーい!』
巨体があっさりと崩れ散っていくのを見て、みんな歓声を上げた。
『クラーケンはこの方法で勝てる、と。初めてのモンスターに勝つのはやっぱ楽しいね』
そんな勝利ムードをすぐに塗り替えるかのように、次の反乱が訪れた。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
年末が慌ただしく今週は更新が少ないかもしれません…!申し訳ありません。
年内完結が目標でしたが、無理ない範囲で更新いたします。




