第二十二話
一番奥にある牢屋の前まで来た。
中に居るあの黒猫少女は既に目を覚ましているようだ。
鉄格子の扉を開けて中に入る。
少女は俺から距離を取る為か、牢屋の奥の方に座って構えている。
「・・・・・・」
暗くてよく見えないが、怯えられているのは分かる。
いや、怯えられていると言うよりは、警戒されていると言ったほうがいいのか。
俺がそう思いたいだけかもしれないが。
と、思っていると。
「・・・あの」
少女が座ったまま恐る恐るといった感じで話しかけてきた。
声が緊張しているのが分かる。
まぁ当然か。
俺がゼジルだったら、話しかけられた瞬間に首輪の機能を発動していただろう。
獣人と目を合わせる事すら忌々しいと思っている奴だからな。
もちろん俺はそんな事はしない。
しゃがんで目線を同じ高さに合わせる。
「・・・なんだ?」
なるべく優しい声で話すのを心掛ける。
擬人化ミーと会話しているとイメージするくらいは許して欲しい。
そのほうが優しさが増す気がする。
俺の心の癒しにもなる。一石二鳥。
とり合えず、こちらからはもう危害を加えないというのを理解してもらおう。
いつ殴られるか分からない相手と話すというのは恐いだろう。
それにストレスも溜まるし、精神的に疲れる。お互いに。
「・・・・・・さっき、ランちゃんと何してたんですか?」
話すまでに少しの間があったのは何だろう。
というか、俺に対する警戒度が増した気がする。
気のせいだろうか。
「・・・魔法の訓練をしていただけだ」
訓練。そう訓練だ。
遊んでいた訳じゃない。
「魔法の訓練、ですか」
「・・・このボールから何か感じるか?」
例のボールを手に持って見せる。
ちなみに、俺は少しだが魔力を感じ取れるようになった。
ボールに全ての意識を集中させれば、微妙に魔力を感じ取れる。
ランが言っていたように、もやもやというか、何かがそこにある感じがする。
少しでも意識を逸らすと何も感じなくなってしまうが。
「・・・何も感じませんが」
少女も俺と同じのようだ。
適性みたいな物があるのだろうか。
「このボールからは魔力が発せられている。ランが言うには、もやもやした物があるらしいが」
「え?ランちゃんはもう魔法が使えるんですか?・・・あっ」
驚いた様子の少女。
素が出てしまったのか、言い終わった後に気付いて少し慌てている。
先は長そうだ。
「いや、魔力が感じ取れるだけだ。それでもすごいと思うがな」
ちなみにランは運動して疲れたのか、おやすみ中だ。
寝ているランが俺の服の裾を掴んで中々放してくれないから大変だった。
「・・・私にも魔法が使えるようになりますか?」




