第十八話
「よし。こんなものかな」
「・・・ん。リラーフさん、ありがと」
「どういたしまして」
姿の見えない二人の声が聞こえてくる。
ランちゃんの包帯の交換が終わったみたいだ。
・・・そうだ。
今ならランちゃんの姿が見られるかもしれない。
お願いしてみよう。
「あのー!リラーフさーん!」
「はーい」
反響してリラーフさんの返事が聞こえてきた。
いつもランちゃんと話す時みたいに、声を少し大きくして話す。
「お願いがあるんです!」
「はーい?」
ランちゃんが居る牢屋からリラーフさんが出てくるのが見える。
あ!待って!リラーフさんが鉄格子の扉を閉めちゃう!
「待ってください!私、ランちゃんと会ってみたいんです!」
私の声が響き渡る。
扉を閉めようとしていたリラーフさんの動きが止まった。
「なるほど。そういえば、サミアちゃんはランちゃんを見たことが無かったね」
再び牢屋の中に入っていくリラーフさん。
「そういうことだけど、ランちゃん。どうかな?」
「・・・ん。わたしも、サミアと、あってみたい」
「よし。わかった。ゼジルくんには、内緒だよ?」
「・・・ん」
「ありがとうございます!リラーフさん!」
やった。
リラーフさんはやっぱり優しい。
あの人とは大違いだ。
「それじゃあ、ランちゃん。僕の手につかまって。転ばないようにね」
「・・・ん」
ランちゃんの手を引きながら牢屋から出てくるリラーフさんが見える。
リラーフさんの頭上には、優しく光る玉が浮いている。
包帯を交換する時から牢屋の方が明るかったのは、あれのおかげだったみたい。
ランちゃんが転ばないように、後ろ歩きで手を引いてあげながら、明るくなった通路を歩いてくるリラーフさんとランちゃん。光る玉もそれに続いている。
そして、ついに私の居る牢屋の前までやってきた二人。
ランちゃんの姿はリラーフさんの背中で隠れていて、まだ見えない。
「はい。ここで止まって」
「・・・ん」
リラーフさんはランちゃんの片方の手を握ったまま、ランちゃんの隣に移動した。
すると、真っ白な髪の小さな女の子が現われた。
ランちゃんだ。
「ランちゃん・・・」
「・・・サミア」
ランちゃんが、片方の手を伸ばしてくる。
私は鉄格子の間から手を伸ばし、それを握る。
リラーフさんは微笑ましそうに見守っている。
「・・・ランちゃん、初めましてだね」
「・・・ん。はじめまして」
自然と笑みがこぼれる。
ランちゃんも笑顔だ。
包帯をしていても分かる。
「ランちゃんって虎人族だったんだね」
「・・・ん。サミアは?」
「私は猫人族だよ」
それからしばらくの間、リラーフさんも交えて三人でお話をした。
ランちゃんの目をリラーフさんの魔法で治せないのか聞いてみたけど、リラーフさんが治せるのは軽い怪我だけらしい。治せるんだったら、もうやってるよね。
重い怪我は、その部分の細かいところまで理解してないといけないってリラーフさんは言ってた。
よく分からなかったけど、もし私が回復魔法を使えるなら、ランちゃんの目を治してあげたいな・・・。




