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第十三話


奴隷たちの分の食料を袋に入れて地下への階段を下りる。

暗いから足を踏み外しそうで怖い。

照らす物がほしい。


地下牢に辿り着く。

俺が現われると怯えた雰囲気が伝わってくる。

ぐっ・・・。

耐えろ、俺。

なんとか心を持ち直す。

よし。行ける。

左にある牢屋に近づき、鉄格子の中を覗く。

そこには、小学生くらいの小さな女の子が、布団代わりのボロボロな布を羽織って地面におとなしく座っていた。

薄暗い牢屋の中、よく目立つ真っ白な髪。ボブカット。

その頭頂部に生える二つの獣耳。

耳の色も真っ白だが、少し黒色が混じっている。

そして耳の先端が丸い。

耳の形で種族を判別するなら虎だろうか。ホワイトタイガー。

俺が牢屋に近づいても反応が無いのは、目隠しをするように巻いてある包帯のせいだろう。


こんな小さな女の子が奴隷なのか。

鉄格子の扉を開けて中に入る。

音に反応したのか、獣耳がピクっと動き、小さな鼻をすんすんとさせる。

そして顔が俺の方に向いた。


「・・・ごはん?」


「あ、え、と・・・そうだ」


どう接していいか分からず、どもってしまった。

とり合えず威厳のある父親というか、主としての態度を心がける。


「・・・わかった」


まだ声変わりしていない、幼い声音。

女の子はつぶやくと、羽織っていたボロ布を脱ぎ捨て、急に立ち上がる。

ちょっと身構えてしまった。

布を羽織っていたのは、寒さを凌ぐ為だったようだ。

女の子は、ボロボロの薄い布でできた見るからに寒そうな服を着ていた。

袖なんて物は無く、小さな肩が晒されている、所謂タンクトップ。

下着はつけていたようだが、それ以外は何も履いてなく、体が小さいせいか服の丈が余り、逆にそれがスカートの役目を果たしている。

しかし、それもひざの辺りまでで終わり、細い素足が少し震えている。

寒さを我慢しているのだろうか。

女の子は立ち上がって俺の方を向いたまま、ぼーっとしている。

えっと、どうすればいいのか。

というか、俺が誰なのか分かっているのだろうか。

何もしない俺を疑問に思ったのか、女の子が話しかけてくる。


「・・・なぐらない?」


「・・・ん?」


どういうことだろう。

いつも殴ってくる奴が殴ってこない事に疑問を覚えたのだろうか。

一応、俺がゼジルだと理解しているのか。

というか、この子はあんまり俺に怯えた様子がない。


「・・・ごはん、もらえない」


「・・・は?」


しょんぼりする女の子。獣耳もへこたれた。

えっと、どういうことだろうか。

殴られないからご飯もらえない、という事だろうか。

どんな鬼畜野郎だそれは。

あぁ、俺か。

だが俺はもう中身が違う。


「いや、ご飯はやる」


「・・・ほんと?」


俺が言うと、獣耳がピコピコと動きだす。

喜んでいるんだろうか。なかなか凶悪な兵器だ。

しかし、また獣耳がへこたれた。


「・・・じゃあ、なぐる?」


「いや、殴らない」


「・・・ごはん」


「ご飯はやる」


「・・・なぐる?」


「殴らない」


「・・・ごはん」


獣耳がへこたれてはピコピコ、へこたれてはピコピコを繰り返す。

・・・これは教育が必要だ。

痺れを切らした俺は袋を放り捨て、女の子の前へと移動する。

俺が目の前に来たのを察知したのか、獣耳がピンと立った。


「殴られないとご飯をもらえないと思ってるのか?」


「・・・そう」


「そうか」


俺は手を振り上げる。

それに反応して、獣耳がピクと動き、女の子は何かに耐えるように俯く。


そして俺は振り上げた手を・・・。


※主人公はロリコンじゃないです。

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