魔王の力 1
もともとドラゴンというのは、知能が高く言葉を理解してコミュニケーションをとることが可能であった。
中でも優秀なドラゴンは、通信魔法のように相手の頭に直接話しかけることができるほど知能が高い。
ドラゴンというのは見た目が大きく怖く見えるが、雑食で草などもよく食べる。
魔族も人間も昔は、ドラゴンを『神』と崇めて牛や豚などをたくさんお供えしていた。
空を飛ぶことが出来て、皮膚は岩よりも固いと言われている。炎を出すことができるドラゴンもいて、固く鋭い牙と爪はとても貴重とされていてそれは結構な高値で取引されていた。
昔は人里から少し離れた山奥などでもひっそりと生息していた。。
人間と魔族が戦う少し前に人間はドラゴンを自分たちのモノにしようと、世界各地でドラゴン狩りを始めた。
魔族の中にはドラゴンと人間のハーフの様な竜人族もいたために、ドラゴンは魔大陸に逃げてきた。
竜人族は今でもドラゴンを崇めている。そのために、ドラゴンには危害は及ぶ心配がないからである。
だが、人間の進攻は止まらずどんどんとドラゴンの数は減っていった。
魔大陸にも進攻を続けさすがに魔族たちも痺れを切らし、小さな戦いが絶えず起こっていた。
そして止まぬドラゴン狩りに見かねた魔族たちはドラゴンを加勢するようになり、人間と魔族の戦いは急激に加速していった。
今も、魔大陸にはドラゴンがいるが当然のことながら人間を嫌っている。仲間を殺され魔大陸に追いやった原因であるから。
グァオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
目の前にいるのはドラゴン・・・の形をした骨。
だが動いている。これではまるで、アンデットモンスターのようではないか。
アンデットモンスターは人間の骨に無念や怨霊が憑依してできたもので魔族ではアンデットになることはないし、犬や動物ましてやドラゴンがなったというのは今までにない。
そうだったとしても、目の前で猛り狂っているのはアンデットモンスターのドラゴンであるのは間違いない。
岩のように固い皮膚はないが、牙と爪はある。
その荘厳さや貫録と言ったら、まさに威風堂々と言ったところである。
「な、なんでドラゴンが人間大陸に・・・・?」
「私の知っているドラゴンじゃない。 ピエロ、あれもドラゴンなの?」
「あれはたぶん、アンデットモンスター化したドラゴンです。
アンデットモンスターは通常は人間の骨しかならないはずなんですが、・・・やはり何かあるようです。」
人間しかならないはずのアンデットモンスター。
それなのに目の前にはドラゴンがアンデットモンスターになっている。
黒マントの言った、『足掻いてみろ』というのはこれのことなのか。
鳴き声がすると同時にまたしても空が闇に包まれた。
先ほどとはスラム街だけを覆う小さな闇だったのだが、今度は王都すべてを包み込むほどの夜が来た。
それはこのアンデットモンスターが現れるためであろう。
僕たちの何十倍の大きさだが、倒せない相手ではない。
『エル、ごめんなさい。 敵が多数現れたみたい。』
『ああ、アリスこっちにも現れた。 ドラゴンのアンデットモンスターだよ。』
『まさに同じ。 王都の周りを囲むように四体出現したの。 どうする?』
『何だって!? ちょっと待って。』
僕はアリスからの通信に驚き、魔法を使い空へ向かって跳んだ。
高々と上がった空中から王都を一望したところ、アリスの言うとおり王都の外壁の周りにはドラゴンアンデットモンスターが四体も出現していた。
このまま時間を割いていたら、市民に危険が及ぶのはわかりきっている。
だが、まったく関係ない人を戦いに巻き込みたくない。




