黒マント再び 6
「ね、ねえ! アンデットモンスターよっ!」
「わかっています。もともとはマイさん達と同じ人間だったんですから、人間大陸にいても不思議ではないです。」
『エル、またその空なのね。』
通信魔法で頭に直接アリスが話しかける。
『そうみたい。こちらはアンデットモンスターが現れた以外何もないから安心して。』
『わかった。あと、空がそうなるのは何らかの魔法なの。発動者が死ぬか気を失うか、発動をやめるかしないと消えない。
だから黒幕がいることになるの。気を付けて。』
『ありがとう。アリスも何かあったらすぐに言って。』
『わかった。』
アリスから聞いた話によれば、この夜の空は誰かの魔法のようだ。
その魔法を使ったものを見つけなければならないようだ。
大方予想はつく。
黒マントだろう。
僕を襲撃した時にあいつが消えたら空も明るくなった。そうなると、マシロの誘拐のときもそうだろう。
だがもしそうなら、僕たちの行動が筒抜けである。
普通は人間大陸の王都に魔王が来るなんて予想もできない。だから王都の市民はいつもと変わらに日常を過ごしていた。
それに魔王城にも簡単には入れることになる。
「魔王、私は攻撃する。 あの者達は昔は人間だったかもしれないが、今はもうすでにモンスターだ。」
「わかった。 マシロも抑えて攻撃してください。 僕は周りを警戒します。」
マイさんとマシロは、アンデットモンスターを次々に倒していく。
周りには誰もおらず、ここには僕たち三人とアンデットモンスターしか見当たらない。
見る限り片付いたところで二人の手が止まって静かになった。
「サすが王都の隊長ダナ。大魔王トヤらもやはリ甘く見ルベきでハないな」
その声にすぐさま空を見た。
空は夜のように暗い黒色。星も月もなく薄気味悪くて、まるで黒色のカーテンのようだ。
そのカーテンが、黒色だったために黒マントが目立たなかった。
空中に浮く黒マントは空から僕たちを見下ろすようにいる。
「またお前か。何の用だ。」
「魔王軍魔法兵長ガイなけレバと思ッタが簡単にハイかなイようだ。」
「目的は魔王の座か?」
「ソレもソウダが、『平和ノ象徴』が気ニなッテな。先にこチラデ見ツケて取引とイウノモいいナ。」
「・・・出来るものならな。」
「セイぜい足掻イてみろ。」
戦う意思はないようですぐにその場からいなくなった。
そして、闇に包まれていた空が一気に明るくなった。心地よい太陽の日差しが街にスラム街に温かく包んだ。
『足掻いてみろ』というのは黒マントはどういった意味で言ったのだろうか。
魔王の座のことか?だとしたらあの場で何らかのアクションを起こしてくるはずだ。
それを起こさないということは何かほかにあるのだろうか。
『アリス、こっちは終わった。そちらは何もないですか?』
『ああ、お疲れ様。こちらもなにもないよ。』
『わかった。じゃあ僕たちは戻るね。』
アリスの方も特に何もないようだ。
「城に残っているアリスの方も何もないようです。
僕たちもいつまでもここにいても仕方がないので、早いところ城に戻りましょう。」
「そうね。部下に任せて私たちは城に戻りましょう。」
何事も起きない。
黒マントの言葉を気にし過ぎだろうか?
だが、悪い予感というのは大抵当たってしまう。
グァオオオオオオオオオオオオオオオッ!!




