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王女誘拐  5

コンッコンッ


「夜分遅くすみません。コレットさんに用があってきました。」


「誰だろうこんな時間に。」


ガチャッ


扉の向こうにいたのは、王様の付き人の二人だった。

普通だったらこんな時間に、誰かの家を訪れるような人間などほとんどいない。

よっぽどの要件か急ぎのことがない限り。

そしてこの二人は、よっぽどの急ぎの要件であることは明らかである。

要件というのは、今まさに僕の背中で気を失っているマリー王女のことであるのはわかりきっている。


「あの、どちら様ですか?」


「コレットさん下がって。」


ここ最近いろいろあったせいか、マシロがたまに逞しく見える。

王女を背負った僕と、転移魔法を準備しているアリスは何もできない。

マシロが扉を開けたコレットさんを下がらせ僕たちの壁になってくれた。


「僕たちに何か用ですか?

・・・なんて聞くのもおかしいですね。」


「マリー様をどうするんだ?

貴様たちの目的は、平和の象徴ではなかったのか?」


王様の付き人として派手なセクシーな格好していたから油断していたが、この二人は頭も切れるし魔法も武術もできるようだ。

僕たちの目的である、マシロの空間転移魔法の鍵=平和の象徴。

王都にない事はわかったはずなのにわざわざ王女を連れて行く必要があるのか、と彼女たちは聞いているようだ。


「平和の象徴が必要だから人質を取ったまでです。」


「あの王なら、お前らが頼めばこんな事をしなくても兵士を使って探させるであろう。」

付き人の二人の言うとおり、今の王様なら僕たちの頼みなら聞いてくれそうである。

魔大陸にしかないものは人間大陸ではとても貴重だから、また何か貢げばすぐに機嫌がよくなるであろう。


「たしかに。でも王女は返しませんよ。」


「マリー様に危害を及ぼすものであれば排除するまでだ。」


彼女たちは僕たちに対して構えた。

いつでも攻撃できるような態勢になり、間合いを詰めようとする。


「そのマリー様を人質に取っているのだから、あなた達は動くべきではないと思いますよ。」


「クソッ・・・卑怯者が。」


彼女たちのその行動は、いささか不審に感じる。

王様に仕えているはずの二人が、王様をほったらかして王女奪還しに来ている。

それに二人は、王女が連れて行かれそうになっていて本当に焦っているように見える。


「・・・あれ、ここは?」


「マリー様ッ!!」


その時ちょうど王女が起きた。

アリスの方も大変そうだし、僕の方でちょっと時間を稼ぐために話をするか。


「マリー王女様、お目覚めですか?」


「ええ、旅のお方こちらはどこですか?」


「マリー様! 今助けますから安心してください!!」


「ええっ!? こ、この状況はなんなんですか!?」

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