王女誘拐 4
王様はすでに出来上がっている。
王冠を取って薄くなった頭と遠くからでも目立つふくよかなお腹。迷惑な酔っ払い親父もいいところである。
アリスはあからさまの不機嫌顔だが、マシロも酔っているのではないかと思う位の上機嫌で、酔っ払い親父のあの王様と笑っている。
席に着き、心を落ち着けるように水を一口飲む。
手紙はすでにポケットに入っている。いつでも準備はできている。
『マシロ、お待たせしました。いつでも準備出来ていますのでいつでもどうぞ。』
マシロの行動を注視する。
・・・たしかに彼女に直接語りかけたのだが、顔色を一切変えない。それどころかこちらを見向きもしない。
気づいていないのだろうか?そうなると作戦自体変わってくる。
いつまでも待っているわけにはいかない。
仕方ないが、ここはアリスに話して代わりに
ドゴーンッ!
大きな地響きとともに爆発音がした。
裏庭の方からで、どうやらマシロがやってくれたようだ。
そして、部屋に白煙が立ち込めはじめた。これは作戦にはないがどうやらアリスの魔法のようだ。
「爆発だぁ!」
「な、なんじゃ!?何が起こっておるのじゃ!?」
城内はパニックになり、王様もアタフタとその場を行ったり来たりしている。
宴どころではなくなり、踊り子たちも王様を残し我先にと部屋から出て行った。
王様の付き人はバルコニーに出て様子を見ている。
すでにアリスはこの場にいない。王女もいないということは共に行ったようだ。
マシロは、外を見ている。席からは立たずに動かない。
「あれ? 王様、マリー王女様がいません!」
「なんじゃと? マリーどこに行ったのじゃ!?」
慌てている王様に追い打ちをかける。
ポケットから手紙を取出し王様に近づく。
そこでようやくマシロは立ち上がった。
「王様、こんなものが落ちていました。」
手に持っていた手紙を王様に渡す。
外にいた付き人も足早に中に入ってくる。
王様に手紙を渡し、付き人達も後ろから覗き込む。
『王女は預かった
前魔王倒した時に手に入れた平和の象徴
それは魔大陸になくてはならないものだ
勇者に伝えろ 持って来いと
そうしなければ王女を見せしめにする
王女がいることで王反対派を抑えていたはずだ
だが、いなくなれば反乱が起きるであろう
戦う気はない 手元に返ってくればそれでよい
魔王』
「ここ、ここれは魔王からの手紙じゃとぉ!?
ど、どどうすればいいのじゃ・・・。
・・・あれ? おい、誰かおらぬのか?おーいッ!?」
マシロを連れてコレットさんの家に帰ってきた。
すでにそこにはアリスとマリー王女がいる。
コレットさんが、いろいろと忙しなく準備してくれている。
「いつまでも長居するわけにはいかないから行こう。
コレットさんお世話になりました。」
「いいえ。こちらこそ楽しかったわ。またいつでもいらっしゃい。」
「コレットさんありがとう。また来るね。」
「マシロちゃんも元気でね。アリスちゃんもがんばってね。」
「はい。 ありがとうございます。」
気を失っている王女を僕が背負い、アリスが転移のための準備を始める。
マシロはドリーとじゃれ合っていて、僕の足元にはマヤが寂しそうな鳴き声で身体をくっつける。




