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誘拐された大魔王  5

 ドゴーンッ


「な、何!?」


「前のほうで爆発があったようです。」


「あの方向は洞窟がある方向だ・・・」


「・・・急ぎましょう。」


まだ、何かあったとは決まったわけではない。

 たまたま、あの方向で爆発があっただけかもしれない。

でも、胸騒ぎが止まらない。彼女は何かに巻き込まれているのだろうか。

僕が、下手に手をまわしたりしたからかもしれない。

 魔族と人間が仲良くなんて、最初から見ることのできない夢物語だったのか。

 なのに僕は、この世界の人間ではないマシロを巻き込んでしまうなんて・・・。

所詮僕は、魔王と言ったって形だけで何の取り柄も力もない。いつか父のような立派な魔王に・・・、そんな風に思っていたけど現実は違う。


「ヒツジ、ごめん・・・いつも何の役にも立たなくて。そのくせ仕事はたくさん持ってきてしまって・・・。」


「坊ちゃま、ご自身を責めないでください。

 見ず知らずの人間に対してあれほどまで親身になってお力になろうとしてた御姿、とても立派でした。」


ヒツジの言葉が胸に刺さる。

 こんなことならマシロと一緒に寝るべきだった。一緒にいてあげるべきだった。後悔してもしきれない。


洞窟の辺りに着いた。

 洞窟は爆発の影響かすでに崩れ、中には入れそうにない。


「マシロー! マシロどこですかー!」


「マシロお嬢様ー、マシロお嬢様ー。

・・・む、坊ちゃまこちらへ来てください。」


「こ、これは・・・?」


ヒツジの元へ行くと、地面には鎧と骨が転がっていた。

 死後とても時間が経っているような骨で、先ほどの爆発で吹き飛ばされたのだろうか。


「これは、アンデットモンスターでしょう。

 自我を持たず、殺戮のみ行う人間とも魔族とも違う屍。なぜこのようなところに・・・。」


「アンデットモンスター・・・。」


「アンデットモンスターというのは魔族の骨ではできないのです。人間の骨に無念や怨霊が憑依してできたものです。ですので人間大陸にしかいないはずなのですが。

・・・坊ちゃま、私の陰に隠れていてもらえますか?」


話をしているうちに、僕たちの周りにはすでにアンデットモンスターの群れがいた。

アンデットモンスターには、武術は相性は悪く魔法のほうが倒しやすい。

 だが僕は攻撃魔法は苦手。ヒツジは強いが、武器は持っておらず尚且つこの大群は相性の悪い素手では骨の折れる戦いになる。


「倒さずに、切りぬけて一旦離れてもう一度考えましょう。まだ何か情報があるかもしれません。」


「そうだね・・・。わかった。」


マシロの姿は確認できていない。生きていようが死んでいようが、何か痕跡はあるはずだ。

いったん僕とヒツジは、アンデットモンスターの少ない位置を走り切りぬける作戦に出た。

いくらか出来る攻撃魔法で援護しつつこの場を離れよう。僕とヒツジは駆け出した。

その瞬間声が聞こえた。


「契約しよう火の精霊よ 降り注げ  メテオ!」


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