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誘拐された大魔王  3

  「そういえば、人間大陸に帰るなら魔法陣でなくとも物理的な移動でもいいんじゃないの?ドラゴンとか馬とか飛行魔法とか。」


「確かにそうですね。そっちは考えてなかったです。」


「でも、私の住んでいたところは正直に言うと、この世界じゃないと思う。」


「マシロ、どういうこと?」


「私の世界と似ている部分はあるけど、たぶん全く違う世界から・・・言葉で説明しづらい。

私の世界だと世界の果てはわかっていて、『魔法』も『魔族』も日常的にない世界。」


「・・・なるほど。たまたま異世界で開いた魔法陣が、謁見の間の魔方陣につながったということか。

人間の使う転移用の魔法陣は、私達が使うものとは違うからね。謁見の間の魔方陣は私も詳しく調べたことないけど、あの魔法陣に化物並みに魔力を注入したら異世界に飛べるみたいな記述がたしかあった気がする。」


「となると、マシロは人間という以外にも秘密がまた出来たんですね・・・。」


「女の子は秘密が多いほうが可愛いの。ねぇー、アリスちゃん?」


「うぅっ・・・ま、まあそうね・・・。」


「とりあえず、三人で分担していろいろ調べよう。

マシロはさっきアリスからもらった本読んで魔法を少し勉強してください。私は――」


「転移魔法と魔法陣については私が両方調べとくから。

 エルはその子が城で住みやすいように手をまわしてあげなよ。・・・一応女の子なんだし。」


「わー、アリスちゃん優しい!ピエロ頼むわよ!」


「わかってます。ヒツジがすでに準備していますので。あといくつか手をまわしておきます。」


ここにきての目標は達成した。転移魔法、魔法陣。この二つは、両方ともアリスが調べてくれると言ってくれた。

あと問題は、マシロが異世界から来たということ。アリスが調べていることが異世界に帰る方法にも繋がるはず。

 だから僕のできることはサポートくらいしかない。


「私のほうも何か進展あれば言いに行くから。」


「わかった。アリス、本当にありがとう。」


「べ、べ別にエルのためじゃなくて、マシロ・・・が女の子だから可哀想でやるだけなんだから!」


「アリスちゃんありがとー。」


「アリスまた来るよ。おやすみ。」


扉まで来たところで、マシロが反転してアリスのところに戻っていった。何か話をしたかと思ったらアリスが怒ったようだ。

 ただアリスが怒る姿は、子供が駄々をこねているようにしか見えない。

 でもアリスは体は小さくてもしっかり魔法長なのだから。

帰ってくるマシロはどこか上機嫌で帰ってきた。アリスは、下を向いたままこちらに顔をあげない。

 仕方なくそのまま扉から出た。


「何を話してたんですか?」


「んー、秘密。」


「気になりますが、マシロのことだから『女の子には秘密が』って言うのでしょう。」


「正解。よくわかったねー。」


「いいですよ別に。」


「拗ねないでよ。やーねー。」


「拗ねてないです。

 マシロはさっきの本読んでおいてくださいね。魔女の証拠を見せろ、なんてことになっても大丈夫なように。」


「ちょっと中見たけど、異世界なのになんでか文字は私のいた世界と同じなのよね。」


彼女を部屋まで案内して、ぼくも寝ることにした。

魔法陣が光ったと思ったら人間が出てきて、その人間は異世界から来たみたいで魔女ということになっちゃって・・・。

 これだけ見ると、何かに憑かれているのだろうか。僕は一応魔王なのだが。

僕は、僕のできることをやっていこう。

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