誘拐された大魔王 2
どうやら、アリスとマシロはもう打ち解けたみたいで安心した。年齢も近いし女の子同士気が合いそうでなによりである。
だが様子を見て、それとなく人間の話をしてアリスが人間を嫌っていないかを確認しよう。
そのあと、アリスにマシロの正体が人間であることを伝えるかやめるかは考えよう。
「はぁ、はぁ・・・。
ところでエル、私に用というのはこの女を見せに来ただけなのかしら?」
「いや、本題はここから。
彼女は謁見の間にある魔法陣に転移してきたんだ。マシロは自分でも魔方陣を書いたらしくて、気が付いたらあそこに飛ばされてたらしいんだ。
そこで、あの魔法陣と転移魔法について教えてもらえたらなと思って。」
「まあ、魔法だけならルシファーにもエルにも負けない私だから当然よね。
ちょと待ってて、関係する本持ってくるから。」
彼女はお願いをすると嫌とは断れない性格である。
その証拠に、すぐに行動に移してくれた。
「ねえ、彼女小さくて可愛いねー。」
「一応本人気にしてるんだから、あまり苛めないであげてください。」
「私も、あんな妹欲しかったなー。」
「こっちは、あなたなんか願い下げです!」
ドサドサッ
短時間で10冊近い本を山の中から発掘してきた。どこかの探検隊よりよっぽど優秀であろう。
「これが、謁見の間に書いてある魔法陣と転移魔法の関連している本よ。」
「ああ、ありがとうアリス。マシロこれで探して帰る準備をしましょう。」
「帰る準備って?」
「私、魔法陣は自分で書いたけどそれ以外はさっぱりで。帰る方法探しているってこと。」
「というか、あなた魔法陣書けたってことは魔法使えるの?」
「彼女は魔女なんだよ。人間大陸で隠れて暮らしていたんだけど国王軍が魔女狩りまがいのことしていて、転移魔法で飛んできたってこと。」
アリスの質問に対して、スムーズにマシロを魔女だと説明できた。
我ながら口が達者になったと思う。
「いいよ別に嘘はつかなくても。私は人間恨んでないし。」
「・・・え?」
「私は魔女なんだからわかるわよ、本当に魔女一族なのかなんて。
言葉で言いにくいけど魔女特有の匂いといえばいいかな。そんな感じ。」
「すごいわねー。こんな小さいのにピエロよりしっかりしてるー。」
「や、やめろ! いちいち頭を触るなぁっ!」
彼女が、マシロの正体に気づいたことにドキッとしてしまう。
騙そうとしたのではなく、ただ彼女を嫌な気持ちにさせたくなかった。これは僕の本心だ。
「ごめん。アリスのことを騙そうと思っていたわけじゃないんだ。人間をよく思っていないものもたくさんいるから。
なるべくならみんなで平穏に静かに暮らしたい、って言うのが僕の願いだから・・・。」
「いいよ、別に。事実そういう魔族は多いから、魔女で通したほうがいいと思うわ。
ねえ、あなた魔法使えないんでしょ?」
「んー。使ったことないからわからない。」
「そうしたら、これ読んでみなさい。これは魔女の基本が書いてある物なの。魔法の基礎や仕組みなどが書いてあるから参考になると思う。」
「わー。アリスちゃん、ありがとね!ヨシヨシ。」
「んあっ! だから頭を触るなぁああ!」
マシロはアリスの抱きついて、頭をぐりぐりと撫でまわす。アリスの髪は見る見るうちに乱れていった。
この二人は十分仲良くやっていける。・・・と思う。




