胃の満腹 心の空腹 6
「坊ちゃま、彼女いかがいたしましょう。人間が魔王城にいるというのがよろしくない事ですから。」
「それなんだけど、さっきルシファーにばったり会ってしまって苦し紛れに彼女のことを『魔女』と言ったんだ。」
「でしたら後程、魔女であり魔法長でもある彼女にも話しましょう。魔女というのは人間に類似していますからちょうど良かったかと。」
「でもあまり言わないほうがいいよね?」
「そうですね。ルシファーは先の大戦のことを未だに引きずっているようですし、魔族の中でも人間を嫌うものは少なくありません。
ですので坊ちゃまの信頼のおける方でしたら、打ち明けてみるのもいいかも知れません。秘密は多くのもので共有したほうが便利なところもありますから。」
「そうだね・・・。とりあえず魔法長のアリスに会って、ルシファーはちょっとやめておこう。あとは・・・。」
「人間といえば坊ちゃま、皆は知りませんがリリーも人間です。メイドのリリーでしたら身の回りのこともできますので。
でも彼女は人間大陸の方に今は行っておりますね。」
「リリーがいれば楽になっただろうね・・・。
とりあえず、アリスにだけでもあとで言いに行こう。」
「うーん・・・あれ?」
「ああ、マシロただいま。紹介します。
こちらがさっき話していた執事の『ヒツジ・アドルフ』。近衛兵長として僕の周りも守ってくれています。」
「初めまして、マシロお嬢様。坊ちゃまからお話しお聞きしました。
困ったことがあれば、なんなりとお申し付けください。」
「あっ、ヤマダ マシロです。突然すみません。よろしくお願いします。」
「マシロは帰れるように、こちらでもいろいろ調べます。
それに当たって、マシロは魔女ということになっていただきます。あとで魔法長のところにも案内します。」
魔王こと僕の部下には、頼りになる三人の兵士長がいる。
執事であり近衛兵長の『ヒツジ・アドルフ』。
先ほど会った戦士長の『ルシファー』。
本当に魔女でもあり魔法長の『アリス』の三人である。
ヒツジは僕が最も信頼している。だから一番最初にマシロのことを言った。
彼との話でもルシファーには、マシロが人間であることはやはり言うべきではないという結論になった。
魔法長のアリスには、魔法陣のことや転移魔法についていろいろ聞かなくてはならない。
アリスは僕と同い年にもかかわらず、魔法はルシファーに負けるとも劣らずと言ったところでとても優秀である。幼いころからの友人で彼女もとても信頼している。
あと、メイドにも訳あって人間がいるがほとんどのものは知らない。彼女にもマシロのことを教えよう。いろいろ力になってくれるはずだ。
「・・・ということなのでマシロには魔女ということになっていただきます。夕飯後に魔法長のアリスに会いに行きましょう。
でもまずは夕飯食べに行きましょう。お腹減りました。」
「そういえば、私もすごいお腹減った。さっきも急に眠くなるし。」
「魔法は、使えば使うほど多きなエネルギーを消費します。マシロお嬢様が先ほど横になられていたのも、大変空腹なのも転移魔法の影響でしょう。」
「なるほど。」
「もう準備はできているはずです。行きましょう。」
マシロは、人間界で生活していた魔法使いということにした。
ヒツジが大戦終了後、人間の大陸をまわっている際に会ったということにした。
理由は、最近またしても王国軍が魔女狩りまがいのことをしている、ということで逃げてきたということにした。大陸の情勢はいろいろと情報を手に入れている。魔大陸からは遠いが実際に、魔女狩りまがいのことは起きているのは事実である。
ヒツジが大陸をまわった際に『何かあったらこの魔法陣へ転移してきなさい』と言われたのを思い出した・・・、ということにした。
ガチャッ
「皆さんすみません、お待たせしました。」
「準備もできてますね。坊ちゃまも来たということですし、まずは坊ちゃま。マシロお嬢様を、皆様に紹介してさしあげてはどうでしょう。」
「ああ、そうだね。
皆さん紹介します。こちらの方は魔女で、人間大陸に住んでいた ヤマダ マシロ様です。」
「ヤマダ マシロといいます。よろしくお願いします。」
「では、皆さん食べましょう。いただきます。」
彼女の紹介もつつがなく、終わり夕飯をいつものように食べた。
僕にヒツジに仕えてくれている皆と、マシロも。
あのころには、まさかこんな笑って食事をとる日が来るなんて思ってもいなかった。
味の薄いスープでも、パン一切れでも一人の食事とは違って何でもおいしく感じる。
食事は楽しい。
料理はおいしい。
「んー、おいしい!あれ、ピエロそのキノコ食べないの?
・・・ははーん。嫌いで残してるんでしょ!」
彼女はサディスティック・・・通称『S』なのか。
でも、食べ物を残すのはいけない。
いただきます。




