大魔王降臨 6
そうか。思い付いた。
簡単なことだ、彼女を一人で放っておこう。
謁見の間の椅子の陰に、彼女を隠れさせておけば問題はなかったはず。
でも謁見の間からはだいぶ離れてしまった。すでにここは食堂とは中間くらい。
しかし謁見の間からはだいぶ遠くなったが、この空き部屋の下は僕の自室になっている。
布団の中やクローゼットの中、バルコニーでの陰に隠れるのもいい。
二人で動くよりは身軽だし気も楽になる。
僕の魔法にあるバリアで『物質を通過させる』というものがある。それを使えば床も抜けられる。
今考えられる策では、これが一番手堅いだろう。
「マシロ。 ここの下が僕の自室になっています。そこに行きましょう。」
「わかった。 だけどどうやって?」
「うーん・・・。説明するより、見たほうがわかり易いでしょう。こちらに来て私の隣に立ってください。」
「・・・ここでいい?」
「いえ、もっとこっちに寄ってください。
・・・そうそう。では行きますね。」
ポンッ
「えっ!? きゃぁぁっ!」
バリアの方向を足元に向け、バリアが床を通過したと同時に身体も重力に従い後に続く。
突如としてすり抜けた床に、彼女は体勢を崩した。後頭部と背中から床に落ちるような体勢になってしまった。
急いで彼女を助けるために身を翻した。背中と足を持つようにして自分の胸に彼女を近づけ抱き上げるように。
武術を嗜む程度にやっておいて良かったと、ホッとしている。
空中で体勢を変え、抱きとめて着地。抱き上げれなかったら、またいろいろと言われるたに違い。
・・・それにしても人間の女性は柔らかい。魔族の女性は皮膚が固く鱗のようなものがあったり、羽が生えていたりする。
しかし彼女は、骨は感じるものの全体的にプヨプヨとしていて柔らかく、さわり心地がいい。
「・・・ねえ。助けてくれたのは有難いんだけど、そろそろ下ろしてほしいなー。」
「え、ああすみませんでした。」
「なんか、イヤらしい目つきに手つきだったな・・・。」
「ちょ、そそんなことないですって。
・・・ただ魔族と皮膚などが違ったので、ちょっと気になっただけです・・・。」
「やっぱりイヤらしいじゃない。 エッチ―、変態ー。」
「そ、そんなつもりでは・・・。」
「フフッ。 冗談、ありがと。」
「いえ・・・。」
「でも、信じられないなー。こんなに弱そうなのに魔王だなんて。あ、そうだ!
あなたが・・・ピエロが魔王なら、私は大魔王ね!」
彼女のひとことに僕は何も言い返せない。
というかこの場合は、なんと言うのが正しい解答なのか教えてほしいものだ。
とりあえず自室に来ることができた。彼女はここで隠れさせその間に食堂に行こう。
執事を部屋まで連れてきて三人で解決策を考えよう。
そういえばまだ会って間もないのだがなんとなく思った。
どうやら彼女は人を・・・いや、魔王でさえイジメるのが好きなのかもしれない。




