大魔王降臨 5
「わぁーっ!うわぁぁっ!そうだそうだルシファー、執事の『ヒツジ』見かけなかった?
ちょっと用があって探してるんだけど・・・」
「え、ああ、彼でしたら夕食の準備で食堂に・・・。というか今、『人間』とおっしゃいましたか?」
「い、いやルシファーそんなことあるわけないじゃないですか!
今、彼女は『人間ですが、本当は魔女』って言おうとしたんですよ!彼女人間大陸でずっと生活していては、いろいろなことを調べてた方なんですよ。
ね、そうだよね? マシロ!?」
「あ、ああ! そうそう。そうなんだよねー!」
「そうでしたか。確かに言われてみれば、服装もあまり見かけないようなものですが全身黒色で、それにとても動きやすそうですね。
ちなみにどういった魔法が得意なのですか?」
「え、えーっと・・・黒魔法・・・?」
「おお。 それでは、簡単なもので構いませんので魔女の黒魔法というものを見せていただけないですか?」
「いいえ、ダメです。 彼女疲れているし今は、急いでいるからまたあとでです。
ほら行きますよ、マシロ。」
彼女の手首を掴み、小走りに彼のもとを去っていく。
何とか上手く誤魔化せただろうか。
少し疑っているような感じがあったし、『人間』といった瞬間に彼の表情が変わった気がした。それにその瞬間、身体にゾクゾクっと寒気がした。
「一旦この部屋に入りましょう。
・・・ふぅ。 危なかった。」
「今のルシファーさんって人、優しそうだけど言ったらまずかった・・・?」
「うーん、僕は人間に対して特別な感情は抱いてませんが、他のみんなが人間をどう思っているかわかりません。
先ほども言ったように、恨んでいる方もいるかもしれません。
恨んでいるからと言っても、私の前で殺そうとはたぶんしません。ただ、いろいろと面倒になりますので・・・。」
「あー・・・そっか・・・。」
「問題が起きてしまうと、マシロが帰るのにも影響が出るかもしれません。なので念には念を入れましょう。」
「そうね・・・ピエロって案外頭いいんだね。ちょっと見直した。
貴方って、内気でちょっと抜けているような感じしていたから。」
「あ、ありがとうございます・・・。」
直接言えないが、彼女ははっきり言って一言余計である。
先ほどもだったが、彼女は素直に褒めるということができないのであろうか。
人間というものはこのような考えの持ち主なのだろうか?
さて。この時間だと仕事をしていた者たちが、ちょうど引き上げる時間でもある。
後々の面倒を考えると、ここはやはり執事に会うことが最良の考えであろう。
僕は人間やほかの大陸のことなど、知らないことが多すぎる。
父の代からずっと仕えてくれている執事なら、例え僕が『人間界を征服する』と言っても話を最後まで聞いてくれる。
ただこの時間だと食堂には、目当ての執事以外にもたくさんの給仕がいる。少々骨が折れそうだ。
「さっき黒魔法って言っちゃったけど、あれは大丈夫だった?」
「魔女ですから、白魔法というよりは自然ですよ。」
「でも魔王の貴方は、白魔法が得意なんだけどね。白魔法と黒魔法ってどう違うの?」
「簡単に言うと『黒魔法は攻撃』、『白魔法は回復』でいいでしょう。興味があるようでしたら、今度詳しく教えますよ。」
「ならさ、ピエロの魔法でさっきから言ってる執事の元へ、ピョーンって行くことはできないの?」
「そうなると転移魔法の類ですね。転移魔法は高度な魔法になります。
距離としては遠くはないので詠唱で行けるかと思いますが、転移魔法は苦手なの点と自分を含め複数になると・・・。」
「ピエロ一人なら、ほかの人に見つかっても問題ないんでしょ?」
「しかし、この部屋は隠れるところもないので、マシロが見付かってしまいます。
私一人だけでしたら問題はないから・・・。」




