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不完全少年の憂鬱  作者: 仲村薫
終わりの始まり
6/20

『人外』

タイトル考えるのって結構難しい.......。

そしてキャラが早くも崩壊しつつある......。

「やぁ、目が覚めたかい?キスもしてないのに起きてしまうとは、エンターテイメント性に欠ける人間だね」

水野博士の、聞き慣れた声が、部屋に響く。

「それはお姫様の方だろ......ってあれ?僕は公園にいたはずじゃあ......?」

そうだ。公園で右腕刃物男に刺されて。それから、どうなったんだ?

「この部屋まで、白石君が連れて来てくれたんだ」

そう言って博士は、部屋の隅をちらと見た。

「......何故だか、機嫌が悪いようだけど」

「ん?......っいっつ!!」

体をひねった途端に、激痛が走る。

「おおっと、まだ無理して動くなよ。とりあえず、直してはおいたけど、まだ少し、中身が傷ついている」

忠告を聞いて、上体を元に戻す。

博士の力は、修復能力。人の怪我を直すことが出来るらしい。

「そうか............で、何で機嫌が悪いんだ?」

「さぁね。囲島君が聞いてみたら?」

顔を横に向け、白石を見た。

うーん。確かに、機嫌が悪そうだ。

壁に上体をもたれさせ、手を組んで口をキュッと結んでいる。

「えーと。どうかしましたか?白石嬢」

「黙れ。殺すぞ」

ドスの効いた声だった。怖っ。

「!ご、ごめんなさい」

「はぁー。全く。確かに白石君を守れとは言ったけどさ。別に僕は死んでも助けろとは、一言も言わなかったはずだけど?」

「......しょうがないだろ、あの時は、そうでもしないと勝てそうになかったんだから。それに、僕は死なないし」

「囲島君。どれだけ強い力でも、どんなに弱い力でも、過信し過ぎると、いつか痛い目をみる。それは、忘れるなよ」

博士が、真剣な口調で言う。

過信ねぇ。

でも、こんな規格外の力を与えられたら、誰だって、過信するだろう。あるはずもないこの世の条理に期待して、不十分な情報からの推測を真実と思い込む。それは仕方のないことなんじゃ、ないだろうか。

「私の力だって、怪我をなんでも治せるわけじゃない。君が粉砕機に入れられてぐちゃぐちゃになったら、流石に望みは薄いな。それに、私の能力は治すのではなく直すものだ。回復ではなく、修復。その辺りも覚えておいて欲しいね」

違いがよく分からなかったが、それは流しても大丈夫だろう。

「わかったよ............で、白石。あいつら......『死神』について、何か知っていることはあるのか?」

「それに関しては、君の方が知っているんじゃないのか?」

「博士から聞いたのか」

「あぁ、大体はな。......しかしお前、馬鹿なのか?」

「うるさい」

くそ、博士のやつ、変なこと吹き込みやがったな。

でも、さぁ。

あの時は。

あの時は、たとえ、馬鹿でもいいから、無駄でもいいから、助けたかったのだ。

「じゃあ、ちょっと込み入ったことを訊くけど......君の母親について、教えて欲しい」

あの時。三神は亡くなった母親の遺志と言った。それは一体、どういう意味なのだろうか。

「........................」

白石が、黙り込む。

「別に、無理して話さなくても––––––」

「あの人は」


「あの人は、『死神』の幹部だった」


「なっ!!!」

『死神』の幹部だと?

「私が、ちょうど物心ついた頃に、あの人は家を出ていった。当時は、普通の、どこにでもいるような母親だったんだ。その時までは。

私が、高校に入った頃。大体、一年前に私の家で、火事が起きた。父親はその時に死んで、私は............生き残った。生き残ってしまった。私の体は、常人の5倍ほどのスペックがあったらしい。その結果、私は、少しの火傷で済んだのだ。

そして、ちょうどその頃、あの人が来た。そして、私は『死神』に誘われたのだ」

「『死神』に!?」

「あぁ。勿論、私は断った。けれど、あの人は諦めず、何度も何度も家に来た............何回も喋っている内に、気づいた。この人が求めているのは私じゃなくて、私の体なんだと」

自分の子を、自分の子として、見ていないというのか。

それは––––––それは、いくらなんでも、おかしいだろう。

「その数週間後、彼女は死んだ。突然にな。病気を抱えていたらしい。そして、彼女の今は亡き遺志を継いだのが彼ら達。そういうことだ。実際は遺志など関係なく、ただただ私の体を求めているのだろうがな」

そう言って、彼女は壁から離れ、入口の前に立つ。

「同情も、助けもいらない。私には、必要ない。この話は、今回の礼だ。これで、貸し借りはなしだ」

そう言って、白石は僕らに背を向ける。

「だから、これ以上関わるな。私の為に、誰かが傷つくところなど––––––見たく、ないんだ」

それは、彼女の本音だろう。

自分の為に、傷ついて欲しくない。

そんなことだったら、自分が傷つく。

確かに、その傷は、痛いかもしれない。けど。

他人の傷は、もっと痛い。

「君の為じゃないよ」

僕は、言う。

誰かの為に行動するのは、難しい。

みんな、自分の気持ちで精一杯だろうから。

それでも、人のことを考えられる。

白石は、『人外』だ。僕のように『不完全』じゃなく、完璧に、完全だ。

だけど、彼女は。

人の為に、自分ですべてを背負おうとする彼女は。

そこらに何億といる人間よりも––––––人間らしかった。

「僕は、僕の為に動く。今までも、これからも。僕は、自分の為に、君を、守る」

「............」

そんな彼女を、これ以上傷つけたくない。

今回は、傷を見せてしまったけど。

次はもう、失敗しない。

三神を殺したことで、次の刺客がくるのは明確だ。けど、そろそろ、白石の力では、限界だろう。

『完全』が、『不完全』より強いとは限らない。

「大丈夫、もう君を、傷つけたりはしないから」

「––––––っ。勝手にしろ」

そう言い残し、白石は部屋を出ていった。

「で?あんな大口叩いておいて、何か策はあるのかい、囲島君?もうそろそろ、次の刺客が来てもいい頃合いだぜ?」

口元をにやつかせながら、博士が訊く。

「あるっちゃあ、あるよ。とっておきの、秘策がね」

さて。

では、もう一度死ににいこうじゃないか。自分の為に。


次回、『策』!!

お楽しみに!!

単純過ぎますかね?タイトル。

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