同じ
拙い文章ですが、どうぞよろしくお願いします。
「誰だ」
約10mほど先から、鋭く、凛とした声が、夜道に響く。
気づかれた。そう思った時には、既に遅かった。一定の間隔で聴こえる足音が、白石が徐々にこちらへ迫って来ていることを如実に表していた。
電柱の後ろに張り付き、息を潜める。
今なら、まだ間に合う。全力で逃げれば、暗闇で顔は見られずに済むだろう。そうすれば、ストーカー野郎の烙印も押されない。
だけど。博士の言葉が、脳裏をちらつく。白石を、守る、ねぇ。そう、たったそれだけの言葉。それ以外の意味など何もない、ただ、それだけの言葉。
あー。
まぁ。しょうがないか。それが、僕の性なんだったら。
「やぁ、こんばんは」
「お前............誰だ」
「同じクラスの、囲島だよ。覚えてないかな?」
白石の質問に、答える。
「............なぜ、お前がここにいる?」
覚えていないというのは少し残念だ。まぁ、こちらも覚えていなかったのだから、おあいこだろう。
「君を............ストーカーして来た」
「はぁあ!?」
すげぇ驚かれた。
「あー、まぁ、立ち話も何だからさ。そこの公園のベンチにでも座ろうよ」
丁度近くに公園があったので、誘ってみる。
「......ストーカーにそんなことを言われるとはな......いいだろう。少し、お前に聞きたいことがあるし、な」
聞きたいこと、というのは、僕が思っていることと同じだろう。
多分、僕と彼女は––––––––––––
☆ ☆ ☆
完全な人間とは、何だろうか。
人間というのが、そもそも何億人といる人の総称なのだから、完全というのは人それぞれで違うのではないか。またはその人々の平均であることが完全なのか。人というのは、欠点だらけだ。その欠点は短所であり、長所でもあり、そしてその欠点が人の個性となる。だとすると。欠点のない人間というのは、一体なんなのだろうか。それこそが、完全なる人間ではないのか?
けれど、それは人間と呼べるのだろうか。なに一つ欠陥のない、欠点のない、無個性の人間。それが人間と呼べるだろうか。それが完全なのだろうか––––––––––––
☆ ☆ ☆
彼女、白石百合乃と、ベンチに座る。これだけなら付き合っている様にも見えるが、実際にはベンチの端と端に座っているし、残念なことに付き合ってはいないのだった。
「それで?聞きたいことというのは、一体なんなんだ?」
黒髪のポニーテールで、端正な顔立ち。可愛いというよりは美人と言った方がいいであろうその容姿は、視線で人を殺せるんじゃないかと思うほど険しい目つきで台無しになっていた。その険しい目つきの元凶は、多分僕なのだろうけど。
「いーや。大したことじゃあないんだけどね。ただ、少し聞いてみたかったんだ」
そこで一旦、言葉を区切る。そして、隣、というよりベンチの反対側に座る白石の方を見ながら、
「君は、僕と同じなんじゃ、ないのか?」
そう言った。
その言葉の意味は、どうとも取れる。
けれど、もし、もしも彼女が、僕と同じことを感じていたのなら。
「何で、そんなことを聞くのかな?」
その言葉は。
その言葉は、もう––––––肯定しているようなものだった。
そうなのか。君も。僕と同じで。
不完全なのか。
これで、博士が僕に頼んだ理由の一つが分かった。つまり。
そーいうことか。
そして、『それ』は現れる。
僕の、最悪の推測通りに。
「あー、ちょっといいかな、白石百合乃。大人しく、捕まって欲しいんだけど」
『死神』は、そこにいた。
バトルです!!バトルです!!




