言われたくなければ私の言うこと聞く?
「う~ん。自分の立場とかしゃべり方とか色々言われたけどなんか面倒くさいな」
アルディナは時々何もない所でつまずいたりしながら言った。
「だいたい{お兄様}ってなんだよっ!俺がそう言わせてるみたいでキモイよ!」
複雑な怒りが絡み合い思いっきり床を踏んで歩いてたら、
「あうっ!!」
勢いよく前のめりにこけてしまった。
「いった~…」
打った頭をさすりながら痛がっていると妙な視線をたくさん感じた。
そして周りを見てみると眼鏡をかけてにたにたしながら自分を見てる魔物が
たくさんいるではないか。
(うわっ。実際には見たことなかったけど最近何やら美少女好きの軍団がいると
聞いたことがある。まさかこいつら…)
代表者らしき魔物が自分の前に出て来た。
「え、えへ。僕、美少女萌え倶楽部副会長のヤマダっていうんだけど、君が噂の
女の子アルディナちゃんかな?」
「ああ」
「うはっ、やっぱり?可愛い女の子って聞いたけど噂以上に可愛いよ~。
陛下が羨ましいよ~。こんなに可愛い妹がいて」
「妹じゃなくて従兄妹だ」
「妹も従兄妹も同じだよぉ~。それよりさ、今お暇かな?少しお話が…」
「暇ではないので失礼」
(暇だけど)そう言って急いで去ろうとしたが、
「おっと帰しはしないよ」
目の前にささっと魔物が立ちふさがった。
「いくら陛下の妹いえどさすがにこの人数は相手にできないでしょ」
既に周りは15人近くの魔物に囲まれていた。
この人数を相手にできないわけでもないができれば魔法を使いたくはない。
慣れない体で魔法を使うと少し危ないからだ。
(う~ん。これは困ったな)
じりじりと魔物たちはアルディナを追い詰めていく。
「ふふふ。逃がさないよ~」
(仕方ない。ここは使うしか…)
変態どもに魔法を使おうと決意した時だった。
「危ないぃぃぃぃっ!!!」
「!?」
その声と同時に辺りは煙幕に包まれた。
「なっなんだこれ!?」
慣れていない状況に変態集団はただ混乱するだけだった。
「君っ、こっち!!」
誰かがアルディナの手を掴んだ。(勿論変態どもではない)
その人物は目先が真っ白にも関わらず、まるで全ての位置を把握してる様に
魔物をよけて走り抜ける。
しばらく走ったらその人物は止まった。
そして息を切らした様子をまったく見せずアルディナを見た。
「はぁ。危ないところだったね。あいつら最近レフォール並みに調子にのって
るんだよ。」
濃い青の髪を後ろでひとつに束ね、銀色の鋭い目をした女がアルディナに
愚痴をこぼす。
「だいたい陛下もそういうところ注意してほしいんだよっ!リルト幹部長に
頼んでも話を理解してもらえないし、グレイル幹部長に関しては
「大丈夫でしょう」だよっ!?なんとかしないかな、陛下!」
目の前にその陛下がいるとも知らずに女は愚痴を続ける。
「ルルを甘やかしてるのも悪い癖だよ!そんなんだからこの魔王軍も一つに
まとめあげられないんだよっ!!」
アルディナは顔を俯かせたままで聞いた。
「ああ、ごめんね。なんか愚痴ぶつけちゃって。でもね、思うの。
そんな陛下がいるからこそこんなに魔王城は楽しいんだって」
「ね、君もそう思わない?従兄妹のアルディナちゃん?」
アルディナは精一杯の笑顔を作り、
「うん、そう思うよ。ルーフ」
ルーフと呼ばれた戦法士長はアルディナの同意に顔をほころばせた。
「でも、そんな生意気なこと言ったら陛下怒っちゃうかな?
ね、〈プリティール・フラン・ピット・デラックス4〉」
「えっ!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ――――――――――!!!!!!」
ルーフことプリティ(略)は涙目になって叫んだ。
「どっどっどっどうして君がそれを知ってるのぉ――――!!?」
プリティ(略)はルーフの本名である。
しかしその恥ずかしい本名を知られたくないため、皆には
ルーフと、本名から取った名前を名乗っている。
魔王アルディオス以外には。
「えっとね、お兄様から聞いたんだ~。プリティール・フラ…」
「やめてぇぇぇぇ~~~!!!!」
ルーフはその場に倒れこむと、
「私だって嫌だよ!こんな名前~!!あああああ~~~~!」
「んじゃ、皆に言われたくなければ私の言うこと聞く?」
「うんっ!聞く聞く!!」
「じゃあ…」
アルディナはルーフの耳元で何かを囁いた。
「ええっ!!そ、そんな~!!!」
「言うこと聞くんじゃないの?」
「…はい」
ルーフはそのままうな垂れてしまった。
アルディナが言った言葉は次で。
~今日の一言~ ルーフ
「えっ?なんであんな恥ずかしい名前を付けられたって?
って、なんであんたが知ってんのよ!?うう~…
しょうがないな。教えてあげるよ。あれは私の父が
付けたんだよ。なんでもすっごく可愛らしかったみたいで
名前も可愛らしいのを付けたくて。で、プリティールは名前で
フランは姓。ピットは…天使みたいで、デラックス4は
かっこよ…く…、うぅ。うああああああっっ!!!」




