魔王も大変なんだよ!
~1時間前~
「ああ~…疲れた」
無駄に広い王の広間は、少しのため息でもすごく響く。
そしてその声の本人は広間の一番奥の玉座に座っていた。
「陛下、そんなこと言わないでください。私も疲れてしまうじゃないですか」
その隣には従者らしき人物がたくさんの用紙を持って立っていた。
「だってよ、久しぶりに仕事をやろうと思ったらこんなに溜まってるんだぜ?
やってられっかよ」
そう言って陛下と呼ばれた人物は首を後ろにだらんっと垂れた。
「陛下っ、それはここ数日間仕事をしなかったあなたが悪いんじゃないんすか!
それにそんなだらしない格好をしないでください。一応魔王様なんですから」
魔王は首を垂らしたまま手をひらひらと振り、
「はいはい、そうですね。魔王アルディオスは一応魔王様ですから頑張っていますよ」
と言って、そのままだらけた。
「そんなこと言ってだらけてるならルルを呼んできましょうか?」
「うっ。それだけはやめてくれよ」
アルディオスはゆっくりと頭を上げた。
長く黒い髪を後ろで三編みにして結っていて、顔は若干青白く、更にそれを
ひきたたせているのが紅い目。見つめられただけで怯みそうな深い真紅の目をしていた。
そして隣にいる人物に言った。
「お前もあいつがどんな性格か知ってるよな?グレイル」
グレイルと呼ばれた焦げ茶の髪に新緑の瞳をした側近が答えた。
「ええ、よく分かっていますよ。だからこそじゃないですか」
微笑んだその笑顔は一見優しそうな人柄に見えるが、アルディオスからして
見れば、それは悪魔の微笑みに違いなかった。
「ほら、聞こえてきませんか?どこからかアルと呼ぶ声が…」
「アルゥ~~~!!!」
「あああああああああ!!!!」
アルディオスは玉座から跳ね上がって声の聞こえた方向から遠ざかった。
「おおお前魔術でも使えんのか!?」
「何言ってるんですか?当たり前でしょ?」
アルディオスはあまりにも驚いたため、そんな当たり前のことも考えられなくなっていた。
しばらくたってもその方向からは誰も来ないためアルディオスはホッとした。
「なんだ。こっちには来なかったのか」
一件落着と思い、再び玉座に戻ろうとしたその時だった。
「みぃ~つっけた!!」
誰かがアルディオスの目を覆った。
「あああああああああああああああああああ!!!!!」
「何よ~。そんなに驚かなくてもいいじゃん」
「いや、無理だから。マジ怖いんだって」
やっとの思いで玉座に戻ったアルディオスはすっかり生気を抜き取られたように
虚ろだった。
「ま、そんな弱気なところも惚れたんだけどね」
「惚れないでくれ」
美しい銀の髪をしていて透き通るようなブルーの目をしている少女ルルは
魔王アルディオスに惚れていた。
「結婚予定日もそろそろ考えなくちゃ」
「だから結婚しねーよ」
そしてアルディオスと自分は婚約者と、勝手に勘違いしている。
「衣装はどんなのがいいかしら?場合によっては髪型も…」
「無視かよ」
こんな感じに、いつもの日々が送られていく。
まったく、魔王も大変なんだよ!
こんな感じにぐだぐだで行きます。
まあ、そのうち物語も進展していきますが、まだ
魔王は少女になりません。
でもこの男verの魔王もあまり少ないのでじっくりやって行きたいと思います。




