47 ダンジョンは俺を失望させるけど
「お帰り。お疲れさん」
「ゆーとー」
「なんやねん、なっさけない声出して。どないしたん?」
「今日もダンジョンに裏切られたー」
「それ最近いっつもやん」
「ダンジョンももう終わりかな。楓いないともう行く気もしないかも」
「重症やん」
「もう楓いないダンジョンとか行く意味ないかも。だってダンジョンは俺を失望させるけど、楓は俺を絶対がっかりさせたりしないもん」
「いつもどこでもキラキラしとるんやもんね」
「そうそう。楓はいつも可愛い。どこにいても変わんない、ずっと可愛い。毎日可愛い。毎日違う。毎日見たい。毎日会いたい」
「ホンマ重症やねぇ」
「うん。ダンジョンにがっかりしすぎて、もう俺が俺じゃなくなってるみたい。あれ、俺ってどんなだったっけ?」
「そんな変らんで」
「あー、でももう一人で行くダンジョン全然楽しくない。面白くない。娯楽としての機能を完全に終えた感じ。もう一切期待できない。だって弱すぎるもん。俺のこと殺せないよ、あれじゃ。もう緊急事態じゃない限り行かなくていいかも」
「強なるんも考えもんやねぇ」
「楓がいてくれて良かった。いなかったらダンジョンに幻滅するだけの毎日だった。考えただけでゾッとする。まさか俺がダンジョンにうんざりするようになるなんて、自分でも信じられない。これホントに俺?S級が出現しても嬉しくなくなるなんて、ダンジョン楓いなかったら終わってる」
「ホンマやねぇ。それどんな感情かわかる?」
「どんな感情?」
「お前の楓ちゃんに対する気持ち」
「気持ち?」
「それは名前を付けたらなんなん?」
「名前なんてあるの?」
「なんでも言葉にできるやろ。人に説明するときになんて言うん?」
「楓のこと?」
「楓ちゃんのこと」
「可愛い女の子です」
「何で可愛いん?」
「え、可愛いことに理由があんの?」
「何で可愛思うん?」
「え、可愛いからでしょ?」
「それは何で?」
「え、え、なんだろ。何で可愛く思うかって、楓を見たら一目でわかると思うんだけど」
「確かに可愛わなぁ。でも毎日見ていたい、毎日会いたいなんて可愛いだけじゃ思わへんのちゃうかなぁ」
「うーん。わかんない。楓以外可愛いなんて思ったことないから。だってダンジョンは可愛くはないし」
「よーく考えい。時間なら山ほどあるやろ」
「勇人教えてくんないの?」
「俺が言うてしもたら、俺が誘導したようなもんやん。あかんよ。自分で考えい」
「えー」
「えーやないよ」
「楓が可愛い理由。楓を人になんて言うのか」
「そんなに難しい?」
「うん。全然わかんない」
「ダンジョンショボなっても、もうかまへんのやろ?」
「え、あ、うん」
「それは何で?」
「え、楓がいるから」
「そやね。もう簡単やん。答え出とるやん」
「そうなの?」
「そうやで」
「ダンジョンがつまらなくなっても困らない理由、楓がいるから」
「楓ちゃんはお前の何?」
「楓は俺の、俺の、俺の?」
「もうちょっとやね、頑張り」
「え、うん」
「夏休み中にわかるとええね」




