38 キラキラした目の正体
「楓のキラキラした目の正体が知りたくってさー」
「キラキラした目ェ?」
「うん。楓さ、俺のことこう、ホントにキラキラした目で見んの。なんていったらいいのかわかんないけど、キラキラしてんの。木漏れ日とか星が降ってるみたいに、あ、星よりもっとキラキラしてる。あれよりキラキラしたもん俺今まで見た記憶ない。ホントにキラキラしてんの」
「嫌、何回も言わんでもわかるよ。木漏れ日とかよう思いついたなぁ。まああれや、とにかくキラキラしてんねやろ?」
「そう。キラキラ」
「それちゃうのんとちゃう?」
「ちゃうのんと?」
「楓ちゃんの目ェがキラキラしてるんとちごーて、お前の楓ちゃんを見る目ェがキラキラしてるだけなんとちゃうの?」
「そうなの?」
「そやろ、逆なんよ、逆」
「そっかー。でもさ、それはダンジョンだからかなー?」
「はぁ?何それ」
「ダンジョンで俺が楓を見てるからキラキラしてんのかなって」
「なんでそうなるん?」
「だってダンジョンは俺にとって世界で一番好きな場所で、今世界で一番可愛いと思っている女の子を見てるから俺の目キラキラするのかなって」
「ほんなら、ダンジョン以外で楓ちゃん見てみたらええやん?」
「どうやって?」
「ダンジョン以外に二人で行ってみたらええだけやん」
「俺と楓でダンジョン以外どこ行くの?」
「どこでもええよ。買いもん行くとか、映画見るとか?」
「映画?」
「あー、映画お前全然興味ないもんなぁ」
「ない」
「お前はのうても楓ちゃんはあるかもしれへんやん?」
「そっか」
「楓ちゃんに見るの決めてもろたらええやん。今何やってるかちょっと見てみぃ」
「うーん。どれ見ていいか全然わっかんないなー。というよりどれも俺見たいと思わない。俺映画って中学の授業で見たミュージカルくらいしか見たことない気がする。それも多分半分以上寝てたし」
「お前去年の校外学習でミュージカル見に行った時も寝とったもんな?ようあんな爆音の中で寝れるわ」
「俺どこでも寝れるから。モンスターの叫び声する中でも余裕で寝れるし。ダンジョンは俺のゆりかご」
「さよけ」
「これは、ラブレスコンサートツアーファイナル」
「見たいん?それぇ」
「ううん。全然見たくないけど、知ってる名前だったから」
「別に何でもええんちゃうの。二人やったら何見ても楽しやろ」
「スライムちゃん一千億大行進」
「アニメ?」
「うん。これ楓見たいかなぁ。可愛いもの好きみたいだし」
「あ、そうなんや」
「うん。楓基準ではスライムとかカワウソが可愛くて、グリフォンとかハーピーは可愛くないみたい」
「まあ、それはそやろな。リアルやもんなあれ。これは、呪い島。ホラー映画」
「怖いの楓見たいかなぁ?」
「でも楓ちゃんなんも怖がらんのやろ?」
「うん」
「でもホラー映画とモンスターはちゃうもんな。ダンジョンで怖がらんのはお前がおるからやろうし」
「そうなの?」
「そやろ。最強ハンター傍におんのに、なんでモンスター怖いねん。お前のがよっぽど怖いやん」
「え、そうなの?」
「お前はモンスター倒せるけど、モンスターはお前のこと倒せへんやん。お前より弱いに決まっとるのになんでモンスター怖なるねん」
「それもそうか」
「まぁ怖いの嫌かもしれへんから映画見に行くんやったらやっぱ楓ちゃんに選んでもらい。お前何見てもどうせ映画館で寝とるやろ?」
「寝ちゃうかな?」
「寝るやろ、多分。だってお前映画見たないやん別に」
「うん。別に映画観たくない」
「でもたまにはダンジョン以外二人で行ってみ」
「うん。そうしてみる。帰りにダンジョン行ってもいい?」
「それは楓ちゃんがええゆうたらええんとちゃう?」
「というより、映画観たらもうダンジョン行ってもいい?」
「早いわ。せめて昼飯くらい食いいな」
「あ、そっか。楓がさ、映画見てる間にダンジョン行けばいいのかな?」
「何でそうなんねん。映画見いな」
「寝てても?」
「寝ててもや。なんで一緒に映画見に行って、お前だけダンジョン行くねん。楓ちゃん気ぃ悪いやろ」
「そっか」
「そうや」
「ありがと、勇人。俺そういうの全然わかんなくて」
「まあそやろな」
「常識ないから俺。楓もそう思ってるかな?」
「そんなん気にせんでええよ。大事なんは思いやりやろ」
「そうなの?」
「多分な」
「そっか。でもそれもないかも」
「お前はあるよ」
「そう?俺大丈夫?」
「大丈夫や。思いやりがなかったら夜中寝とるのに呼び出されて、話したこともない子供助けになんかいけんやろ。お前はちゃんと優しいよ」
「それは違うかな。俺は自分がダンジョンで遊びたいだけだし、S級の仕事は他のハンターに絶対取られたくないからだから、純粋に人を助けたくてやってるわけじゃないよ。自分のためだよ」
「それでもや。それが助けることに結果つながるんやからええやろ。気にせんでええ。お前はちゃんと人間らしいところがあるよ。常識なんか後からついてくるんやから大丈夫や」
「そうなの?」
「そーや」
「まあいっか。映画見て、飯食って、ダンジョンに行く。これでいい?」
「ええんちゃう」
「ダンジョン以外でも俺の目がキラキラしてたらどうしたらいい?」
「それはその時考えたらええよ。まだ起こってないこと考えてもしゃーないやん」
「そっか、うん、そうだ」
「でもこの前蕎麦屋行って楽しかったんやから、映画見に行ってもどこ行ってもキラキラする思うけど」
「蕎麦屋はダンジョンの帰りだったから楽しかっただけかも。あ、じゃあこれ駄目じゃない?映画見て飯食ってダンジョン行くことわかってるなら、目キラキラするに決まってるじゃん。俺はダンジョン行くのが一番楽しみなんだから」
「じゃあダンジョン行くのやめといたら?」
「ダンジョン行かなかったら俺死んじゃう」
「ダンジョンで死にたいんやろ?」
「死にたいよ」
「ダンジョン切り離して考えられへん?」
「考えられないよ。だってダンジョンは俺そのものでしょ。ひょっとしたら俺以上に俺かも」
「何それ?」
「わかんない。でも俺ダンジョンがなくなったら生きていられない。勇人はそんなこと全然ないでしょ?」
「あるかいな。他の仕事探すだけや」
「俺はダンジョンと一緒に死にたい」
「一緒に?」
「せーので、この世から消え失せたい。全部のダンジョンと」
「難しこと言うなぁ」
「そうかな?叶いそうじゃない?」
「そうかぁ?叶いそうもないけどなぁ」
「叶えるよ。全部。俺は」




