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35 皐月先輩には今日も会えません

月曜日です。

今日は一日校外学習なので皐月先輩には今日も会えません。

朝から寂しいです。

今日は班ごとに分かれて横浜を散策します。

私の班は恵美ちゃん、かのんちゃん、佐倉君、筧君、三崎君の六人です。


「なぁ。時間大分余ってない?」


佐倉君が揚げ饅頭を頬張りながら問いかけます。


「行動予定表出した所全部行けたね。どうする?浜スタでも行く?」


「かのんちゃん、月曜日だから野球やってないんじゃ」


「楓、野球場はね外から見るだけで興奮するものなんだよ。私浜スタまだ行ったことないんだよね。見たい」


「わーかるー。俺も東京ドームとなごドとたまドしか行ったことない。浜スタ見たいー」


佐倉君が右手を上げます。

佐倉君も野球が大好きで名古屋スーパードラゴンズのファンです。


「じゃあ、浜スタ見て、フルーツパーラーに寄って、帰ろっか?」


恵美ちゃんの提案に皆が頷いたので、私達は横浜中華街を後にしました。

そして静かな横浜スタジアムを外から眺め、その大きさを存分に味わいました。


「なぁ、そういやさ、浜スタの近くにダンジョン出たって言ってなかったっけ?」


「ああ、多分すぐそこ。歩いて十五分くらい」


佐倉君と筧君が話しているダンジョンは、一週間くらい前に現れたD級ダンジョンです。

出てきたばっかりだから皐月先輩もまだ行ってないよね。

それとも一人の時に行ってるのかな。

明日聞いてみよう。


「なぁ、時間あるからダンジョン行ってみねぇ?」


「私達六人で?」


恵美ちゃんは早くフルーツパーラーに行きたいのかちょっと嫌そうな顔です。


「筧と三崎いるから大丈夫だって。B級ハンターはF級ハンター百万人分に匹敵するから」


「どこ調べよ佐倉」


あ、恵美ちゃん。

露骨に嫌そうな声。

そうだよね、フルーツパーラー行きたいよね。

楽しみにしてたもんね。


「わかんないけど、たぶんそれくらいだろ」


「B級でそれならS級だとどうなんの?」


「一兆かな」


「地球の人口超えてるじゃない」


「だってS級ならそれくらいなんじゃねーの。だって全人類が決死の突撃を敢行したとしてもS級ハンター一人に勝てないだろ、多分」


「多分じゃないよ。絶対勝てない」


あ、筧君断言した。

そうだよね、S級は人間やめてるって言ってたもんね。


「私はフルーツパーラー行きたい。絶対に行きたい。だって今日ちょうど六人いるし」


「フルーツパーラー行ってダンジョンも行ったらいいじゃん?」


「恵美の言うフルーツパーラーから五分くらいだけど」


筧君も行きたいんだ。

ハンターってやっぱり毎日ダンジョンに行きたいのかな。


「トロッコあるらしいよ」


三崎君がぼそっと言いました。

あ、三崎君も行きたいんだ。


「トロッコか、それは乗りたいかも」


あ、恵美ちゃん乗り気になった。

恵美ちゃんは実は遊園地が大好きです。

頑なな恵美ちゃんの心をトロッコがとろめかせます。

私もトロッコは乗ってみたい。

先輩はトロッコきっと沢山乗ってるよね。

明日聞いてみよ。


「じゃあ、あれね、フルーツパーラー行って、甘くて冷たいものを食べて、トロッコ乗って、帰ろ」


恵美ちゃんお目当てのフルーツパーラーでは現在アイドルズアゲイン(通称アイアゲ)というアプリゲームとコラボしています。

コラボメニューを注文するとランダムでポラショットがもらえるそうで、コラボメニューは全部で十二種類、ポラショットは六種類となっています。


「恵美の推しってどいつなの?」


「白い髪の子」


「じゃあその佐野君のフルーツミルクレープ頼んだ方がいいの?」


佐倉君協力的。


「ランダムだからどれでもいいよ。ただし、ポラショット雪葉が出るまで今日は全員ここを出れません」


「六人いたら流石に一枚くらいは出るんじゃねーの。六種類だろ」


「佐倉ランダムをなめるな」


「恵美こええって。筧なにすんの?」


「櫻田収のプリンアラモード」


「あ、それもうまそう。メロン乗ってんじゃん」


「私小野鳴海のチョコバナナパフェ」


わ、皆決めちゃってる。

私何にしよ。


「三崎君、楓決めた?」


「鈴代夏樹のドラゴンフルーツヨーグルトドリンク」


「あ、ごめん、すぐ決めるね」


どうしよ、どうしよ。


「俺、やっぱり矢本要のマンゴーレアチーズケーキにする。あと佐野雪葉のイチゴミルクシェイク」


「何で皆フルネームで言うわけ?」


「俺コラボカフェなんて初めて来たー。球場飯みたいなんだな。俺ゴールデンウィークなごドで選手プロデューススイーツ食ってきたけど、トレカランダム配布で確か十六種類だった。俺はドラゴンズの選手は全員大好きだから誰でも良かったけど、交換してる人達いたなー」


「野球も商売熱心なのね」


「野球も推し活みたいなとこあるもんな」


「私もコラボカフェって初めて来た。なんかやっぱり、可愛いね、肩幅と首が」


「俺も初めて来た」


「僕も」


私は恵美ちゃんと割とよく行くから。

あ、決めなきゃ、私だけだ。


「衛藤響のメロンクリームソーダで」


「つーか、これ、乙女ゲーってやつ?」


「乙女ゲーの皮をかぶりきれなかった顔のいい男達の愛憎ゲー」


「え、こんなキラキラしてんのに?そんなドロドロしてんの?」


「そう。アイドル業界は戦場だから。男が二人以上いたらね憎しみあう運命だから」


「この子達いくつ?」


「雪葉は永遠の十七歳」


「あ、年上なんだ」


「来年抜くけどね」


「あ、ホントだ。俺らも来年には十七かー。つーか、一人だけ女の子もいるんだ」


「全員男子」


「え、この紫の髪の子女子なの?」


「銀河一可愛い男性アイドル」


「そんなのいるんだ。どう見ても女子だけど」


「二次元は何でも可能だから。二次元に不可能はないからね。無限の可能性。イッツアドリームワールド」


「へー。どの子が一番人気あんの?」


「雪葉っていいたいところだけど、赤い髪の子かな。櫻田収」


「六人しかでてこねーの?」


「まさか、もっといるわよ。今六十人くらい?この六人はね、フルーツプリンス選抜で選ばれた六人なの」


「六十人って、一軍支配下登録選手と変わんないじゃん。果物の王子様、どうやって決めたの?髪の色?」


「違うわよ。大変だったんだからね。投票権得るためにひたすら画面叩くのよ。何曲やったんだろ。もう思い出したくない。吐きそう」


恵美ちゃんは当時を思い出したのかげっそりした顔をします。

そうだよね、あの頃休み時間もずっと頑張ってたもんね。


「そうなんだ、なんか、悪い、ごめん」


ポラショットは三崎君とかのんちゃんが恵美ちゃんの推しを無事引き当ててくれたので、私達は食べ終わるとすぐにフルーツパーラーを出ました。

ハンター協会のアプリの地図を見ながら目的のトロッコに乗れるダンジョンを探します。


「あれだ」


筧君が立ち止まった正面には白い三階建ての洋館が見えています。


「筧、本当にここー?」


「アプリではここ」


「俺には普通のでっかい洋風な家に見えるけど、これトロッコホントにあんの?」


「入ってみたらわかるだろ。ダンジョンは入ったら別世界だから外からじゃわかんないよ」


「じゃあ入ろーぜ、トロッコ、トロッコ」


「楓は皐月先輩からなんか魔法かけられてるよね?」


「え?」


筧君の聞いていることは設定のことだよね。

こういうの喋っていいのかな。


「詳しいことは別にいいから。その魔法は楓に対する攻撃が無効化されるようなもの?」


「あ、うん。そんな感じ」


「じゃあ、楓は何も心配いらないとして、佐倉は転移石持ってたよな?」


「うん。千早先輩にもらったのがある。今日もちゃんと持ってる」


「転移石なら私も奥村先輩にもらったから持ってる」


「恵美は持ってないよな?」


「持ってるわけないでしょ。学院指定のダンジョン以外行ってないもん私」


「じゃあ、俺のやるから、三崎は持ってたよな?」


「うん。じゃあ、僕の佐藤さんにあげるね」


「え、でも三崎君のなくなっちゃうんじゃ」


「僕二つ持ってるから」


「あ、そうなんだ」


皆用意がいい。

それともハンターって皆そうなのかな。

あ、そうだよね、皐月先輩みたいに手ぶらで行く人本当は珍しいんだもんね。

というより私が先輩任せで何も考えてないから、だよね。

もっとちゃんとしなくちゃ。

先輩以外ともダンジョン行くことだってあるんだから。

後でかのんちゃんに聞いてみよ。

三崎君が黒いリュックサックから転移石を出してくれて私の掌に載せてくれました。

薄いピンク色をした小さなクリスタルです。


「ありがとう。綺麗だね。本当にもらっていいの?」


「うん。握りしめて、ダンジョンの外にって念じたら出れるから」


「じゃあ、佐倉とかのんと恵美と楓は、はぐれたら転移石で脱出して」


「筧はどうすんの?」


「俺は自力で出るから」


「そっか。了解。はぐれたらすぐ出るな」


「ああ。そうして」


筧君、佐倉君、かのんちゃん、恵美ちゃん、私、三崎君の順に縦一列に並んで中に入りました。


「筧、スケルトンだ。倒せる?」


「倒せるけど、あれ、止まってる」


「あ、ホントだー。なんで?」


「さあ、わかんないけど、動きを止められてるみたいな感じ」


中に入ってすぐ地下へと降りていく階段が現れたので、私達はその階段を降りました。

降りた先にはスケルトンの集団が待ち構えていましたが、どのスケルトンも剣を構えているのですが一向に動く気配がありません。


「なんか骸骨の品評会みたいね」


「あー、つーか、お化け屋敷みたいだよなー。トロッコどこにあんだろ?」


歩けどもあるけどもトロッコは現れません。

ひたすら動かないスケルトンがいるだけです。


「なー。筧。これスケルトン一体くらい持って帰ってもよくない?」


「どこ飾るんだよ。それに重いだろ」


「売ったらいい値段になる?」


「スケルトンは珍しくないからならない」


「そっかー。よし順番に名前つけてこーぜ」


「名前?」


「そう、ファンタジー名前縛りで、スケルトンに名前をつけよー。俺から行くな、アーサー。はい、次かのん」


「ロドリゲス」


「それ今年入ったグレジャイの助っ人だろ。まあいいか。はい、恵美」


「マーリン」


「おー。楓」


「えっと、ランスロット」


「はい、三崎」


「トリスタン」


「はい、筧」


「イゾルデ」


「アーサー王縛りになってね?よし、ガルシア」


「ゴメス」


突如轟音がして、微弱な青白い光を放っていたスケルトンも、覆いつくす暗闇に包まれました。

あ、これが漆黒なんだ。

初めて見ました。

先輩はきっと何度も何度も見たことあるんだろうな。

これより深い黒もきっと。



























































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