幸福を捕らえる代償 7
市。
説教台の前は、人でごった返していた。
仮設の褐色の樫の木で組まれた高台の上には、長衣をまとった数人の教会の者たちが立っている。
真昼の陽が、教士の白い内袍に照りつけ、ひときわ目映く輝いていた。木台全体が燃え盛る炬火のように、熱浪をあたり一面に放っている。熱された汗が内袍に滲み透ろうとも、彼らは片手に羊皮紙を振りかざし、もう一方の腕には教典を抱えていた。
あたりには糞と瀝青の悪臭が充満し、舌の根にへばりついて消えないようだったが、それでもこの場の神聖さは、少しも損なわれていないようだった。
農作業を終えた農民たちは麦藁帽子をかぶり、強い日差しのなかで目を細めながら、ようやく台上の動きを見ていた。女たちは遠くの家の軒下に立ち、腕に抱いた泣きわめく赤子をあやしながら、声のするほうへと顔を向けている。
「贖罪券一枚、煉獄の火七日を免ず——」そんな声が、人波のあいだを伝わっていく。
足元の木箱は口を開けたままだ。羊皮紙でこしらえられた贖罪券はきれいに裁断され、赤い封蝋で捺された教会の紋章は、もういくぶん掠れかかっていた。教士の扇動に押されるまま、大勢の者が押し合いへし合いしながら、まるで贖罪券を一束買えば、これから犯す罪までも帳消しにしてもらえるかのように群がっている。
一人の老女が、最後の金を差し出した。皺に覆われた皮膚が骨にぴたりと貼りついた手が、震えながら、あの長衣の下の手へと差し伸べられる。
長衣の下から伸びた、爪のきれいに整えられた手と、差し出された「枯れ枝」とは、あまりにも不釣り合いだった。彼は木箱から贖罪券を一枚取り出すと、口のなかで何ごとかを唱え、老女の手に渡した。
「もっと、もっとだ」
富商が一束買い込み、笑いながらそれを護符か何かのように、ふところへと押し込んだ。
誰かが咳き込む。誰かが立ち去る。誰かが列の末尾から前方へと割り込み、麦藁帽子が泥のなかで踏み潰される。
銅貨が革袋のなかへ吸い込まれていく鈍い音は、それからしばらく経つまで鳴り止まなかった。
教会の前のあの木台を通りかかったときには、人混みはもうすっかり消えていた。何があったのかは知らないが、教士たちが重たげな革袋を荷車へ積み込んでいるところで、銅貨のぶつかり合う音は遠くからでもはっきりと聞こえた。
ただ一人だけ、その列には加わらず、傍らの街角へと姿を消した教士がいた。
私は何気なく目で追った——街角の陰のなかに、誰かが腰を下ろしていた。黒い外衣をまとい、頭巾を深く被っていて、顔はまったく見えない。教士はそのそばに歩み寄り、二言三言ことばを交わすと、左右をちょっと見回してから立ち去った。
その黒衣の人物が立ち上がり、首を軽く回した。
その癖のある動作に、私ははっとした——どこかで見たことがある気がする。けれど距離が遠すぎて、顔までは判別できなかった。彼はすぐに頭巾をきつく被り直し、身を翻して歩き去っていった。
あまり気には留めなかった。木台のあたりにはもう誰もおらず、何枚かの打ち捨てられた羊皮紙だけが、土埃のなかを転がっていた。




