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オキナグサの恋  作者: 嶋恭作ニ
第2話 ウィーンとプラハ
17/21

vol.3 熱愛

新年度を迎え、宮崎は大学2年に進級、恭子は音大に入学した。

新学年になったら宮崎が付き合おうと思っていた恵とは連絡を取らない事で自然に別れた。それ程恭子に気持ちが傾いていた、というよりも初めての感情だった。何かハートを矢で撃ち抜かれたかの様な感覚だった。


その年の恭子との恋愛は充実していた。妹の亜紀の家庭教師は高校受験までという約束で続けていたので彼女の家には週2回通っていたし、週末などは普通にデートしていた。宮崎は東京生まれ東京育ちのくせにそれまではお金も無かったせいで学校近辺以外都内を巡るという事があまり無かったが、恭子は都内に詳しくて色々な所に誘ってくれてデートの場所選択には困らなかった。'女子という面もあるし長女を音大に行かせて次女に家庭教師を付ける位の家庭環境だから一般サラリーマン家庭よりはお金持ちのお嬢様で都内については詳しいんだな'などと思いつつ特に気にもせず平穏に付き合っていた。

しかし毎週2度も家庭教師でお邪魔して母親とも一緒に夕飯を食べる関係だったこともあり、お互い何か気が引けたのかキス以上の進展は無いまま冬のスキーシーズンを迎えた。宮崎は一年前は友達とスキーに行ったりしていたが、今シーズンは恭子とスキーデートができるぞと楽しみだった。


「スキーってやった事ある?僕は高校の時一回スキー教室に参加したらハマってしまい、去年からよく行くようになったんだけど」


「え〜!私もやりたいと思っていた所なの。行こう、行こう!」


恭子は超乗り気で行きたいところも自分で調べると言い出したので彼女に全て任せた。何日か後に行きたいところを決めたと電話があり次のデートで打ち合わせる事にした。


「この苗場スキー場のプランなんだけど、ロッジとリフト代が付いてお得なのよ」


宮崎は 'えっ!?お泊り!? でもロッジっていうからユースホステルみたいに男女別部屋なんだろうな' と思い直し、


「い、良いんじゃない・・・」 

  

と敢えてどういうロッジなのか聞かないで同意した。


スキーデート当日は深夜に新宿西口から出るスキーバスを利用した。当時は未だ関越自動車道が東松山までしか開通しておらず、その先はずっと一般道をひたすら走るというもので、休憩などを入れて5時間以上かかり苗場スキー場に着いたのは朝6時くらいだった。チェックインは午後3時以降という事でスキーウェアに着替え荷物を預けたが、そこはプリンスホテルのフロントだった。ロッジといってもプリンスホテルの端にあるワールドカップロッジというもので、ワールドカップで使われた選手村を改装したものだと後に聞いた。

'これはユースホステルの様なモノでは無くちゃんとしたホテルなんだ'とやっと気付いた。と同時にその夜についての妄想でスキーどころでは無いというドキドキ感で宮崎の記憶からその日のスキーについての出来事は消え去った。

3時過ぎにチェックインするとそこは妄想通り、いや妄想以上のシングルルームに大きめのダブルベッドを押し込んだちゃんとしたホテルの部屋だった。夕食も専用レストランで'こんな贅沢な旅行は家族でもした事が無い'と思った。同時に1ヶ月2万円の小遣い+バイト代は大赤字だなとかケチな計算が頭をよぎった。

しかしお金よりももっと不安な事がこれから待ち受けている。'自分も初体験だが恭子も多分初だろう。キスで大泣きした位だから'

そして食事が終わり部屋に戻ったが緊張は最高潮に達した。


'こんな状態でしかも初体験同士どうやってするんだ?'


宮崎はポルノ映画やエッチな本は見た事があるが令和の現代と違いその頃の情報量では詳細まで知り得なかった。しかも恭子は刺激的なネグリジェと勝負下着みたいなのを着ているし・・・・・


その日の夜は悪い予感の通り結ばれなかった・・・が翌朝早朝に目を覚ますと緊張が取れてかなり元気だった。恭子も余り眠れなかったみたいで、そのまま二人は自然にキスを交わし最後まで行った。宮崎が20歳、恭子が19歳という当時としてもやや遅いかもしれない初体験だった。


-続く-


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