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こんなはずではなかった!~悪役令嬢バーブラに転生した高齢者、梅子の運命はいかに!?  作者: 星野 満


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4. レッドフォード王子のモノマネ

✧ ✧ ✧ ✧



「殿下、ここは物語の世界ですわ。不思議ですけど()()()に私たちは生きているのです」


 バーブラのシルバーグレイの瞳はキラキラと(きら)めいて当然のようにいった。


「くっ……」

 またしてもレッドフォード王子は、バーブラの答えに、爆笑したくなるのを懸命に耐えた。


 ──まこと、バーブラが大真面目な顔をしていうのだ。

 もしここで僕が笑ったら、バーブラの機嫌を損なうだろう。


 しばし我慢だ、我慢──。

 と王子はなんとか必死で笑い出すのを(こら)えた。


「んむむぐう~。現実でなく異世界の世界だと?バーブラ、君は夢でもみたのか?」


「いいえ殿下!夢ではございませんのよ。私の意識は恐ろしいくらい、ハッキリ()()()()()()()()!」


「はあバーブラ、確かに君は頭を打ってから人が変わったな。アンリが妹にとんでもない()()()をされたとかなんとか……」


「はて殿下。とんでもないお願いなど、いつ私が兄に申しましたでしょうかしら?」


 きょとんとしたバーブラの顔を尻目に、レッドフォード王子も、よし、いっちょう流れに乗ってやろうと(ひらめ)いた。


 ──うん、とても面白い。


 王子は突然、仰々(ぎょうぎょう)しく両手を固く握り、ネコなで声でバーブラ令嬢風のモノマネをした。


「『おお、どうかアンリお兄様~!私の懺悔(ざんげ)を聞いて下さいませ。これまで私は数々の悪事をしてきました。時には私の意地悪で病に倒れた令嬢がいたり、二度と学園にこなくなった令嬢も大勢いました。──どうかお願いです、こんな悪女の私をすぐさま、山奥の修道院へ追いやってくださいまし、およよ……」

 と、王子はバーブラの泣き真似までマネして見せた。

 

 あっけにとられて、その王子を凝視するバーブラ。


 さらに王子はバーブラ真似を続けた。


「『どうかアンリお兄さまあ~!さすれば私はその場所で日々神に懺悔(ざんげ)しながら、余生を過ごしとうございます』と、君はアンリにいったそうじゃないか!」


「ああ、驚いた。いったいどなたの真似をなさったと思ったら、私でしたのね〜!」

 バーブラは口を(すぼ)めた。


「まったく、アンリお兄様ったらおしゃべりですわね〜」


 王子はバーブラの戸惑った反応が面白くて、ククッと口を押えながら聞き返す。


「アンリはカンカンに怒っていたが本当か?」

「はい、仰る通りですわ」


「修道院に行くと言ったのも?」

「はい、仰る通りですわ」

 オウムのように王子の質問に答えるバーブラ。


「はあ?バーブラ、君はやはり頭を打っておかしくなったな」

 

 レッドフォード王子は呆れて()()になった。


「そもそも父君(ふくん)のストライド公爵はその事をご存じなのか?」


「いえ、父にはまだ話しておりません。これから折をみて話しますわ!」


「むむむ……」

 レッドフォード王子はバーブラの堅固(けんご)な表情を凝視した。



 ──あいや〜不味(まず)いな、どうやら彼女は本気だ。これは不味い、さすがにどうにかしなければ。


 さすがの王子も、先ほどとは打って変わって真剣な面持(おもも)ちになった。


「いいかねバーブラ。そもそも僕たちの婚因は子供の頃、公爵家と王家が取り決めたことだ。婚姻を解消しろなど君の意思で、できないのは重々(じゅうじゅう)承知だろう?」


「はい殿下、重々承知しております。ですから殿下から国王様に直接、マリリン嬢を見初(みそ)めて気が変わったと申し出てください。そして私たちの婚約解消をとっとと進言してくださいませ!」


「はあ、マリリン嬢だって──?」

 突然、バーブラの口から、王子が知りもしない令嬢の名が飛び出た。


 これにはレッドフォード王子も驚愕した。




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― 新着の感想 ―
レッドフォード王子、バーブラちゃんのモノマネが上手いんだね〜ww うんうん、でもいくらバーブラが言っても、そんな簡単に済む話じゃないよね…??
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