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こんなはずではなかった!~悪役令嬢バーブラに転生した高齢者、梅子の運命はいかに!?  作者: 星野 満


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2. 氷の公女・バーブラ

✧ ✧ ✧ ✧


 

 ──うん、なるほど。確かにアンリの言った通りだ。

 

 バーブラは以前とはまるで別人だ。


 レッドフォード王子は、バーブラ公爵令嬢を不思議そうに観察し続けた。



 いま、王子が()()()といった男は、バーブラの実兄のアンリ・ストライド子爵のことだ。


 アンリはストライド公爵家の嫡男(ちゃくなん)で、ストライド公爵家は、代々国王の側近を輩出(はいしゅつ)する名門中の名門だった。


 このケラケラと笑い上戸のレッドフォード第一王子は、御年(おんとし)十八歳。

 

 貴族高院の高等科三年生。

 アンリは王子より二歳年上なので、既に貴族学院は卒業していた。現在は王子の補佐役(ほさやく)として公務に(いそ)しんでいる。


 そして──。

 バーブラ公爵令嬢はアンリの妹でかつ、レッドフォード王子の許嫁(いいなずけ)でもあった。

 年は王子より二歳下の十六才。高等科一年だ。


 レッドフォード王子は本校の最上級生で生徒会長を(つと)めている。バーブラも一年生ながら生徒会の書記で王子のサポート役でもあった。


 バーブラは公家という位の高さもあるが、本人も頭脳明晰(ずのうめいせき)容姿端麗(ようしたんれい)といわゆるパーフェクト・レディだった。

 

 既に中等科の時から、バーブラは女子生徒たちからは羨望(せんぼう)眼差(まなざ)し、いや()()()()というべきか、とにかく周りから異様に怖がられていた。

 

 なぜならバーブラは気位が高く性格もとてもきつかった。

 

 その口調も常に高慢(こうまん)であり、自分に従わない令嬢がいるものなら、情け容赦(ようしゃ)なく、部下(取り巻き令嬢)たちに命じて嫌がらせをした。


 学園の令嬢たちの嫌がらせなどたかがしれているが、それでも貴族令嬢たちはプライドを持っているので、些細ないじめは(こた)えるのだ。


 たとえば、バケツの水を踊り場の階段からターゲットの令嬢にぶちまかすとか。

 

 一人だけクラスの催しのサークルからわざと除外させたり等、あげれば些細なことばかり。

 

 それでも虐められた令嬢たちにとっては学園に行きたくないと、退学するものまで現れた。


 とはいえ、表舞台ではクールビューティーなバーブラ。

 

 そんな裏の仮面は微塵(みじん)もみせない。

 

 氷の公女は滅多(めった)に笑わない。

 笑う時も、ダチョウのふわふわ大きな(おうぎ)で口を隠し、口角(こうかく)(はし)を少しあげて微笑むだけ。

 

 ✧ ✧

 

 そんな氷の公女(アイスレディ)バーブラが、レッドフォード王子は、かつて一度もみたことがない醜態をさらしているのだ。

 


 ──ふ、これが面白がらずにいられようか…… 

 

 とレッドフォード王子が笑い転げるのも(うなづ)ける。


 

 いま、王子の目前にいる、おどおどした令嬢は本当にあのバーブラなのか?と。


 レッドフォード王子は腕組みをしながら、バーブラの変化に驚嘆(きょうたん)していた。


 とはいえ王子にとって、挙動不審(きょどうふしん)のバーブラ令嬢の方が、以前の氷の公女よりも

何倍も好ましい女に(うつ)っていたのだが。


✧ ✧


 

 ここまでバーブラがガラリと変わったのには理由があった。

 

 バーブラは先日、自宅で何もない場所ですっ(ころ)んで、床に頭を強く打ってしまった。

 

 『わあ、バーブラ様が!こりゃあ大変だ、バーブラ様が(ころ)んだ!』


 公爵家はたちまちてんやわんやの大騒ぎとなった。

 


 その後バーブラは数日間も意識を失っていたが、ようやく目覚(めざ)めた朝、バーブラはポカーンとした顔をして記憶喪失になっていた。




 

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― 新着の感想 ―
氷の公女のはずのバーブラが、なんでこんなことに……と思ったらすっ転んで頭打っちゃったんだ〜〜(ToT)笑
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