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こんなはずではなかった!~悪役令嬢バーブラに転生した高齢者、梅子の運命はいかに!?  作者: 星野 満


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1. 笑い上戸の王子と挙動不審の公女 

※ プロローグです。

※ お気楽なラブコメですので、どうかお暇つぶしに♪

 ✧ ✧ ✧ ✧



 ここはライトファンタジー王国の中高一貫の貴族学院。

 二階の豪奢(ごうしゃ)だが居心地の良さそうな生徒会室内──。


「あっははは、あっはははは──!」


 何やらけたたましい若者の笑い声が、廊下まで響き渡っていた。


失敬(しっけい)バーブラ、君がこんなに可笑(おか)しな()だなんてねえ!」

殿下(でんか)、先ほどから貴方(あなた)様は笑ってばかりいますが、私のどこがそんなに可笑(おか)しいのでしょう?」


「すべてだよバーブラ。君のすべてが驚くほどおかしい。ゲホッ、ゲホッ、ゲホ⋯⋯」

 レッドフォード王子は笑い過ぎたのか()き込んだ。


「ああ失敬!」と手元にあったナプキンで口を吹いた(あと)、お気に入りの乳紅茶(ミルクティー)を、そのままゆっくりと飲み干した。


 レッドフォード王子の落ち着きとは逆に、バーブラ令嬢は必死の形相(ぎょうそう)だった。


「殿下、笑いごとではございません!お願いですから私の話を真面目に聞いて下さいませ!」

「うん、だからさっきから聞いてるよ」


「いいえ、ちっとも聞いていませんわ。よろしいですか殿下!──何度も申し上げたように私はとても悪い女です!」 

 とバーブラはテーブルをドンッ!と激しくゲンコツで叩いた。

 その拍子にバーブラのティーカップがガッチャンと鳴った。

 それでもバーブラはそんな不作法など気にも留めなかった。


 とにかくレッドフォード王子に事の詳細を伝えたい、ただその一心だったのだ。


「殿下、これまでの私の悪事の数々(かずかず)を話せばきりがありません。涙を流した学園に通う令嬢は数知れず、生来(せいらい)の大悪女とは、この私ことバーブラ・ストライドを言うのですわ!」


「ぐっ……」

 レッドフォード王子はますます、その青緑(あおみどり)がかった麗しい瞳は大きくなって、形の良い口も笑いを押さえるのに必死だった。


 バーブラにいたっては興奮状態冷めやらぬようだ。

 増々やっきになっているのか、頬が赤いさくらんぼみたいに紅潮(こうちょう)していく。

 

「どうか殿下が私を毛虫の(ごと)く毛嫌いしてくれませんと、この物語はスムーズに運びません()()()()()()!」


「ですことのよ? ククク……ほらまた君はうぷぷ……ぶははは!」


 レッドフォード王子はもう我慢できず、顔をクシャクシャにして笑いだした。


「ぶはっ!バーブラ、一体どこの令嬢が『私はとても悪い女です』など(ほう)ける?おまけに()()()()()もおかしいぞ!」


「あらら、いけない私ったら!」とバーブラは恥ずかしそうに両手で顔を覆った。


「殿下~申し訳ありませんでござい()()()!」

「ほらまた~あっははははは!」

 レッドフォード王子は更に腹を抱えて爆笑(ばくしょう)した。


「うぐぐっ!」

 今度はバーブラが変な(うめ)き声をだした。


 彼女の陶器のように真っ白な頬が、恥ずかしさの余り、さくらんぼから()れたトマトみたいに真っ赤になっていく。

 

 先ほどからこの美男美女は余興(コント)の芝居でも練習してるのだろうか?


✧ ✧



 いやいや、このバーブラ・ストライド公爵令嬢、誠に真面目一徹だった。


 多分、ひとめ彼女の姿を見たら、百人中百人ともバーブラを“最高の美少女”と口を(そろ)えていうに違いない。


 少し吊り上がったシルバーグレーの大きな瞳。

 ツンとすました高く形の整った鼻。

 紅も塗らないのに(くれない)の唇。

 スラリと背が高く、しなやかなスタイルで直ぐに目立つ。

 

 それはまるで、ライトファンタジー王国の王女と間違えられるだろう──。

 

 ちなみに王国には王子はいても、王女は一人もいない。


 なのでバーブラ公爵令嬢が現在、王族の中でもトップレベルの名門貴族。

 したがって事実上、この国の姫君みたいなものである。


 ──だが、今はどうだ!

 

 ようやくレッドフォード王子の笑い癖はおさまり、バーブラをしげしげと見つめた。


 氷の公女(アイス・レディ)と、(ちまた)で言われるほどのクールビューティー。

 

 それが、今にも赤子のように真っ赤な顔して泣きそうではないか。

 

 ははは、これが笑わずにいられようか!


「あら、あら、どうしましょう、私ったら……またやってしまった……」

 とバーブラは己の可笑(おか)しな言葉づかいを恥じて、どうしていいかわからず椅子から立ったり座ったりと(せわ)しない。


 しかもその外見と中身のアンバランスさときたら!?

 

 バーブラが動くたびに、滝のように腰までとどく銀色に輝くハーフアップの髪が、サラサラと波打つ。


 さながら銀の天の川で船をこぐ月の女神のようではないか。


 そんなバーブラをレッドフォード王子の麗しい碧眼(へきがん)の瞳は、(いと)しげに眼を細めていた。


挿絵(By みてみん)

 

※一話お読みくださりありがとうございます。

※上の画像はくろくまくんが生成AIで作ってくれました。

とっても可愛い華やかなイラストですね。

くろくまくん、ありがとうございます。


※皆様が読んでくださったおかげで、5/14 日間異世界恋愛転移ランキングで41位にランクインしました!

ありがとうございました。

(≧▽≦)!

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― 新着の感想 ―
読み始めました♪久しぶりでしたが、加筆もしてるからかより作品が面白くなってますね(*^^*)♪ ゆっくりですが、楽しく読み進めていきますね\(^o^)/
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