953 統率者がいるのだろうか
「それは、兄としてどう思っているわけよ」
「どうもこうも、あいつが居場所を見つけられたんなら、俺はそれでもいいって思ってるぜ?そこまで干渉したらあいつも嫌になるだろ」
「いや、ラヴィの場合、意外とどうにでもなりそうなものだけど……」
アルベドの見立てからして違うのなら、それが正解なのだろう。私は彼らと血がつながっていないのだから。
ラヴァインは少なからず、私と出会う前まではヘウンデウン教のことをまあそれなりにいいい場所だと思っていただろうし、彼の中の壊れたブレーキがヘウンデウン教内で好き勝手出来たんだろうし。嫌だったら彼の性格上そこにはいないだろう。それもなんとなく理解できてしまった。
アルベドは私が言わずとも、ラヴァインのことをよくわかっている。
(……まあ、兄弟だからね。腐っても兄弟……)
私が干渉せずとも彼らは上手くやっていくだろう。私がそこに挟まってしまっただけで、もともとは二人の問題だったんだ。私だって、自分の問題がどうこうできていないのに、人の問題に足を突っ込むのはこれ以上やめたほうがいいと思う。誰のためにもならないし、余計に混乱させるだけだから。
「ラヴィのことは、彼自身に任せましょう。どうにかするでしょう」
「それが一番だな。つっても、内部抗争……内部があれているのは確実だろうな。あの偽物聖女様が出てきたことによって、いろいろと変わったところもあるだろうし。さっきも言ったが、これまで頭角を現すことなかったやつが出てきたっつうことも、少々引っかかる」
「目星はついているわけ?」
「いいや?幹部っつっても、名ばかりだ。統率がきちんととれている組織じゃない。そもそも、組織としての体は全然なしてねえだろうな」
「確かに、好き勝手やって、皆一つの目標……というか、嫌なことがあって集まっているっていう感じだものね」
けど、その中でまとめる役が出てきたら。それこそ、力を持って私たちに襲い掛かってくるだろう。
(それが、エトワール・ヴィアラッテアなのか、何なのか……誰がそんなことしだしたのか)
彼女を自陣に引き入れた、もしくは彼女がトプに立ったことによって生まれた何かがあるのだろか。
ラヴァインも幹部とはいえ名ばかりで他のやつより強いだけで、ヘウンデウン教のことをすべて知らない……
「情報を手に入れようって言っても難しいってわけね。アルベドも危険な橋を渡らないようにね」
「そこは安心していいぜ?俺は自分の命を懸けてもいいって思うものにしかかけねえからな」
「それ、いいことなの……?」




