946 衝突の可能性
「まあ、アンタなら簡単に殺されてはくれないだろうけど」
「殺されてくれないって……俺があいつに負けるとでも言いてえのかよ」
「剣術じゃ、グランツのほうが上でしょ。それに、魔法を切ることができるんだから、魔法で対応しちゃったら、アンタは防御すらままならなくなるんじゃない?」
「可能性はあるな。んな心配しなくてもいいだろ。心配してくれんのは嬉しいが、そこまで心配されると逆にフラグになっちまうってもんだぜ?」
「フラグ……に……それもそうかもしれないけど」
杞憂だと言って欲しい。私がこれだけ心配しても、心配ないってくらい彼が跳ね飛ばしてほしい。
そもそも攻略キャラ同士が殺しあうなんて言うシチュエーションはこの世界になったはず。それすらねじ曲がってしまったので、もう誰にどんなことが降り注ぐか私にもわからなくなってしまった。無事を祈るしかないが、グランツがアルベドに向ける殺意についてはよく知っているので、それにブーストがかかっていると思うと私は気が気じゃないのだ。
もしかしたらアルベドが傷つくことになってしまうかもしれない。そして、アルベドも殺されないがためにそれなりに攻撃するだろうから、結局グランツも傷つくことになってしまう。互いが傷つく結果、さらにはどちらかの命が……考えれば考えるほどマイナスな方向へ行ってしまってダメだった。こんなこと考えたくないのに。それでも、心配や不安は加速していく。
グランツの性格がもう少しましならいいのだが、グランツのいいところでもあり悪いところでもあるのがたった一人の人間への執着なので、そこが亡くなってしまったらそれはもうグランツと呼べないんじゃないかと思う。
(エトワール・ヴィアラッテアはその気質も見抜いていたのかな……)
もしそうだとしたら彼女の勝利だ。でも、あくまで彼女がグランツを手羽花したくない理由は彼が使えるからだ。それ以外の理由でグランツを置いたりしない。まあ、それと彼が一途ということも知っているだろうから、リースやブライトよりも自分にのめり込んでくれるだろうと思っているのかもしれない。
はっきりとしたことはわからないが、グランツは当分戻ってくる様子がない。
アルベドとぶつかる日も刻一刻と迫っている気がしてならなかった。
「すげえ心配するんだな。俺を?それともあいつをか?」
「どっちもよ。アンタたち一人でも欠けたらいけないの。私はアンタたちのことを大切に思っているつもりだから」




