942 頼ってくれてもいいのに
「アンタはそうやってからかって話しを逸らすのが好きよね。何よ。話したくないの?」
「そういうわけじゃねえよ。単にからかっているのが楽しいだけだ」
「いやいや、それで時間とっているって言いたいのよ。こっちは!何か気付いた情報があれば共有する……それでだめなの?」
「お前に共有したら、ずかずか言って俺の計画が台無しになる」
「そ、そんなこと考えてたの!?」
「少しはな……まあ、それと、お前に言って危険な目に遭われたら困るっていうのもある。これは個人的な考えだ。別に聞かなかったことにしてくれても構わない」
「……無理でしょ」
さすがに今のを聞かなかったことにはできない。
アルベドなりの優しさだと頭では理解しているものの彼がわざとこぼしたようにしか聞こえなかった。私に何かしてほしい、知ってほしいという感情が彼から伝わってきている。それを受けて黙っているような私じゃない。
(けど、危険なことに突っ込んで逆にアルベドの邪魔をしちゃったらそれはそれで本末転倒よね……)
彼の邪魔をしたいわけじゃない。
でも、情報は共有してほしい。私が知らないところでアルベドが動くっていうのも、私も見過ごせないから。かといって、私が役に立てるかと言われたらそれはそれで微妙な話だった。アルベドは、フッと笑った後に私の頬を軽くつねった。
「な、なにふんのよ」
「間抜け面だな。こんなにも隙があったら他のやつになにされるか分からないぜ?」
「……わ、わかってるけど……その、わかっているけどね!?」
「ほんとかよ」
アルベドは呆れたように言う。私はそんな彼を見て、アルベドも一人で抱え込もうとしていると改めて実感する。
何でも一人でできてしまう人だから仕方がない……のかもしれないけれど。私は頼れるような人間じゃないかもしれないけれど。頼ってほしいとは思う。だって一緒にここまでやってきたんだもの。
「……教えてくれないの?」
「大したことじゃねえよ。それでも?」
「それでもよ。私の意志、硬いから」
「そうかよ……まあ、あれだ。きっとあの聖女様に手を貸したのは元王子さまだ」
「元王子様……もしかしてグランツのこと!?」
声がでかい、と言わんばかりにアルベドは私のほうを睨みつけた。
ごめんと謝ったうえで、どうしてそう思ったのか彼の見解を聞きたくなった。
「簡単なこった。あいつが、一番使えるからだ。つっても、あの男がヘウンデウン教の一員になったかまでは分からねえけどな」




