御使イ
遅くなってすみません。最近、忙しく小説を執筆する余裕がありませんでした。これから少しずつではありますがまた執筆活動を再開していこうと思いますのでよろしくお願いします。
後、誤字脱字報告よろしくお願いしますと書いてあるのに脱字報告受け付けないになっていました。
申し訳ありません。
「はぁ......はぁ......っ! 急げ!」
「ちょっと、お兄ちゃん早すぎ!」
活気覚めやらぬ商店が連なる通り、ルークとマリアは目的地である冒険者組合に向う為、必死に走っていた。
二人は身体中から汗が噴出し、絶えず荒々しく酸素を体内に取り込む。
正に全力。
しかし、全快で長時間走っていたら持つはずもなく、走る速度は落ち、より一層呼吸が激しくなっているのが分かる。
「手紙を落とすなよ!」
「分かってるよ......」
人と人の間を駆け抜けながら右へ、左へと曲がると、息絶え絶え二人は身体に鞭を打ち、走りながら目で曲がり件の建物を探す。
既に、マリアの方は限界を迎えたらしく、徐々にルークとの距離が開いてきた。
しかし、そんなことも知らずにルークは走る。
故郷で狩人である父親の共に何度も狩りに参加したこともあり体力には自信があった。
だが、幾ら鍛えたと言っても休まず走り続けることは出来ず、遂にはルークも走っていた足は早歩きほどの速さに、そして最後には歩く早さよりも遅くなっていた。
「はぁ......はぁ。クソッ!」
「お兄ちゃん飛ばしすぎ」
ゆっくりとした足どりで歩くルークに追いついたマリアは疲れからか、離すこともままならず、その代わり一言短い言葉で不満をあらわにした。
しかし、マリアの言葉は耳に入っておらず遠くに目を凝らし、それらしい建物に向って指を指した。
「あそこか?」
「――多分そうだと思う」
マリアの言葉を聞くや否や少しの間、息を整えると、再びその建物に向って駆け出した。
それを見たマリアはもう! とまた短い言葉を走り去る兄の背中に飛ばすと、それを追うように走る。
そして、二人は冒険者組合の扉の前に立つとルークは手紙を出すように言いながら両開きの扉の片方を体で押すようにしながら開け、進んだ。
マリアも鞄から手紙を取り出しながら兄の後に続く。
時刻は昼ごろ、ちょうど昼食を食べる時間帯、だからか組合内は閑散としており、壁側に備え付けられている椅子に座り、冒険者らしき風体の人たちが雑談しており、三つの窓口がある受付も今は一つしか相手おらず、その唯一開いている受付に立っている受付嬢は自身の周りに積んでいる幾つもの書類を処理していた。
ルークたちは迷わずその受付に小走りで向かい、マリアから渡された手紙を窓口に置く。
「緊急の手紙だ!」
「ひぃ! ――あ、手紙ですね。通常の郵送とた、多少高価ではございますが転移魔法による郵送も行えます。どちらにいたしますか?」
あまりの剣幕に書類整理をしている受付嬢は悲鳴をあげながら、椅子ごと大きく後ろに倒れてしまう。
しかし、そこはプロ、直ぐに立ち上がると椅子を立て直すこと無くそのまま依頼者に向って話を進めていく。
「転移だ! 転移魔法!」
「はいぃ! では今日中に遅らせていただきますので。代金の方は......」
「――は!? 代金? 金要るのか!?」
(あたりまえでしょ!)
よほど怖かったのか話している途中から目の端に涙を溜めており、それでも仕事と割り切り会話を続けていると今度は依頼人がおかしな質問をしてきた。
現在の受付嬢の恐怖メーターはマックスで今にも泣き出しそうな勢いである、と言うか泣いている。
そんな時だ、受付の置くの扉が開き、一人の大男が出て来た。
「あまり受付嬢をいじめないでくれないか?」
衣服上から破れるのではないかと言うほどの溢れんばかりに浮き出た筋肉。
顔中に切り傷があり、子供なら見ただけで泣いてしまうほどの顔立ちをしている。
「ま、組合長ぁ」
遂に泣き出した受付嬢。
ため息を吐きながら、受付嬢の変わりに受付にたち仕事を再開した。
「あんた誰だ? 早くこの手紙を送ってくれ! 時間がないんだ!」
「君。お金はあるのかな?」
「......ない」
「私たちは慈善活動でやっている訳じゃない。だから、どんなことにもそれに伴った代金をもらう。じゃなきゃみんな生活していけないからね」
マスターと呼ばれる大男のその言葉に何も言えなくなっていると後ろに立っているマリアが堪らず助け舟を出した。
「お兄ちゃん! ちゃんとナターシャさまからの手紙って言わないと」
「ん? ナターシャ様? ......それは聖騎士様の手紙なのかい?」
「そうだ、ナターシャさんからこの手紙を出すように言われた。緊急のことなんだ」
「......二人とも入りなさい」
マスターは受付の傍にある扉を首から提げている鍵で解除するとゆっくりと扉を開け、受付の中に招き入れた。
「さぁ、こっちだ」
二人が入ると入って来た扉を施錠し、今度は置くに続く扉を開けると奥へ進んでいく。
ルークとマリアは状況を読み取ることが出来ず、訝しげな表情を浮かべながら、マスターの後ろに付いて行く。
「歩いたままで申し訳ないが私の名前はバジル・アルバートンと言う」
「俺はアルク」
「私はマリア」
「君たちと聖騎士様の関係を聞いてもいいかな?」
「親父と友達だったって言ってた」
「ふむ......手紙を拝見しても?」
廊下を歩きながら、ルークから手紙を受け取ると、封をされている、模様を見る。
「この模様、間違いない。この手紙の内容や君達の聖騎士様との関係は聞かないでおこう。――ここだ」
手紙をルークに返すと、突き当たりにある扉を開け、室内に入っていく。
そこにあったのは筒状の何らかの装置。
バジルはその装置の中心にあるカバーをスライドする。
「転移魔法は極めて高位の魔法。それを変わりに行うのはこの魔法道具だ」
「じゃあこれでどこでも手紙を届けることが出来るのか?」
「いいや、この魔法道具は距離に制限がある」
「ダメじゃん!」
「それは問題ない。他の場所に点在してある冒険者組合に届く。そして、最終的に目的の場所の近くにある冒険組合にへと届き、組員が早馬でその手で直接渡すと言うことになる」
「なるほど、何回も転移させて届けるってことですね」
「そうだ。ここに手紙をおいてくれ」
言われた通りルークは手紙を置くと、バジルがカバーを閉じ、レバーを下に下げる。
「少し光が強くなる。直接目で見ないようにしなさい」
二人はバジルが魔法道具に背中を向けるのを真似ると、徐々に光が増していき、部屋中が明るくなる。
太陽のように眩しいその輝きに直接見てないにも関わらず、あまりの眩しさに瞼を閉じる二人。
しばらくするとその輝きも収まっていき、部屋はいつものような明るさを取り戻した。
「――さぁ、確認してくれたまえ」
バジルはカバーを開け、手紙のないことを二人に見せる。
「すげぇ......」
「うん」
無意識に感嘆の言葉がこぼれるルークとマリア。
バジルの声に同時に頷き、手紙が転移したのを確認するとバジルはカバーを閉じ、部屋の扉を開いた。
「これで作業は終わりだ。四時間ほどで手紙は届くだろう。君たちも早く聖騎士様の所に戻り、このことを伝えなさい」
そこまで送ろうと先に扉から出て行ったバジル。
来た時と同じようにバジルの後ろを付いて行く。
「なぁ。あの手紙ってどこに届くんだ?」
「聖騎士様に聞いてなかったのか? 聖騎士様が手紙に宛名のない時、それは極めて緊急事態のサインなのだ。だから、直ぐにその手紙は聖騎士の本拠地である聖都オルトリニアに送られ、しかるべき対処がなされる」
急いでいたあまり、何も聞かずに手紙を持って飛び出したため、二人の頭には疑問が多く残っていた。
廊下から受付までの短い距離を歩く中、ルークは出来るだけ疑問を解消しようと色々なことをバジルに聞いた。
「十崩器か......私は職業柄そう言った魔の物を多く見てきた。昔、一度だけ十崩器の一つを見たことがある」
「一度だけ?」
「あんなものは人生に一度お目にかかるかどうかの代物だ。......その十崩器があの手紙に関係しているのかは聞かないでおく。それと、聖騎士様の指示がない限りあまりまわりに情報を話すんじゃないぞ?」
バジルに諭された二人はそれ以上質問するのをやめ、冒険者組合を出るまで口を開くのを躊躇った。




