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126.異変

『ナナキーナは、エクエウのリーダー。次がロットティーン。エクエウの二番手。我輩が相手をする敵の名。・・・サリシュ。ロットティーンは、ウユだ。ウユが、ロットティーンの生まれ変わりだ』

「えっ、すごい! あ、だから長いこといじめて遊んでいるのね?」

ウユは、ローヌの情報機関『BB』に入った勤続年数7年は経っている若い女性の事だ。


『馬鹿者が、そんなセコイ事ではない。楽しく交流しているだけだ。邪魔をするな』

「敵なのに気に入ってるのね? ウユを」

ウユにとっては、ただただ長い期間新人扱いでからかわれているだけなので、限りなく迷惑に思うことだろう。


『お前たちを見ていると、クォルツとエクエウが共存し仲良く暮らしていた時代を思い出す・・・。それがあれほど憎悪に燃える関係になろうとは』


「今は仲直りしたい気分なの?」

『グハハ』

若干感傷的になっていたケルベディウロスが低く笑った。


『仲直りしようにも、もう全てバラバラではないか。お前たちは何も覚えてはいない。仲間たちは小さき世界に取り込まれて意思疎通のできない姿となった。皮肉にもエクエウが、エクエウだったお前たちは、今このように話ができるがな』

「トートセンクさんがいるじゃない」


ケルベディウロスが黙り込んだ。


「仲直りすれば?」

『・・・サリシュ、お前は、お前という奴は、我輩たちを置いて・・・すっかり真なる世界を忘れ・・・先に生まれ変わり・・・そして残った我々にむごい事を言う』


「えぇ? だってそういっても分かんないもの」

そう言ったサリシュに、隣の夫が軽くため息をついた。

「サリシュ」

小さな声でたしなめられる。


サリシュは困った顔で夫を見た。なにをたしなめられたか分からない。

だって本当のことだもの?


夫はまた少しため息をついて、別の話題になるように口を開いた。

「・・・ケルベディウロスさん。ナナキーナというリーダーはその後どうなったのです」

『・・・ナナキーナも、見つからない。これが我輩にとっても謎だ。二番手であるロットティーンは、他のものと同じように生まれ変わった。同じくクォルツの二番手の我輩は、このような形で難を逃れ、小さき世界に取り込まれてはいない。だが、それぞれのリーダーは・・・双方の種族で、最も力のある者は、どうなったのだ? 我輩の手の及ばないところにいるのか?』

ケルベディウロスが唸るように話す。

『長く探して見当たらぬ。真なる世界に留まっているのかとも思うが、やはりその様子でも無い』


またふと黙る。そして、ケルベディウロスが促した。

『・・・エクエウ。そろそろお前が話す番だ。・・・互いのために。・・・必要であれば・・・』

ケルベディウロスが時間をかけて、口にした。

『サリシュの提案に乗り・・・だが、軽く仲直りとは言わぬ・・・だが双方歩み寄ろうではないか』


しばらく待つ。


「・・・返事、ないわね?」


それでもまだ待ってみたのに、トートセンクたちからの返事が来ない。


セフィリアオンデスの答えすらないのはさすがに変だった。

ケルベディウロス、サリシュたちは困惑した。


実はトートセンクとセフィリアオンデスが、それどころでは無い状態に陥っていた事など、知る術もない。


***


「か、からだが重いっ!! なんでだっ」

セフィリアオンデスが地面に突っ伏すようにして呻く。


おかしい。どう考えても、ヘンだ。


トートセンクは、今、周辺にはいない。

セフィリアオンデスの異変に気付くと、飛び去ったようで・・・たぶん、またセフィリアオンデスのエネルギーが尽きたと思い、慌ててエネルギーを取りにいったのに違いない。


あのやろー、人をさんざんヤリで脅かしといて・・・やっぱり倒れると心配なんだね

と、セフィリアオンデスは思う。


何があったかと言うとだ。

トートセンクが、セフィリアオンデスが話に水を差した事について、『礼儀が無いのはお前の方だ』と真顔で、確実に怒ったわけで。

当然セフィリアオンデスも『言っとくけどね、だから礼儀なんて関係ない、大切なのはどれだけ互いを尊重して分かり易く話すかだろ!?』的な内容を、トートセンクに触発されるように怒ったわけで。


ちなみに、石にケンカ内容が届いては迷惑だろうという配慮だけは同じだったようで、双方石から距離をとって小声ながらも威嚇しあった。


そのうち、ずっと一人きりだったためだろうか、怒りの表し方のバリエーションが少ない様子のトートセンクが、怒りを示すために自らヤリを生み出しセフィリアオンデスに向けたのにはセフィリアオンデスも激昂したが、真面目に狙って打たれても非常に困るというか生命の危機なので、セフィリアオンデスはその威嚇網から抜け出すために周辺をチョロチョロ走り回るはめになったのだった。

とはいえ、場所が場所・・・・第五世界の住人の体が残っている(半分崩壊しているが)ところのため、あまり激しく走り回るわけもいかず、あまりにも青い石から遠く離れると、さすがに向こうで交わされている会話も聞き取りづらくなるだろうから、まぁ色々気を使いながら逃げ回っていたのである。


が。

突然、ストーン、と、この自分がしりもちをついてしまっていたのだ。


ん? と思った瞬間、体全体に、だるさを感じた。

なんだろ? と思った頃にはぐらっと平衡感覚が狂い、思わず地面に臥せっていた。

「・・・おい! しっかりしろ! ・・・・待っていろ!」

とトートセンクの声が聞こえ。

音沙汰が無くなったので、多分、トートセンクはエネルギーを取りにいったのだ、と、思う。


「うー。変だ」

セフィリアオンデスはとにかくだるい体をがんばって起こそうとしながら呻いた。言葉を口に出した方がまだ元気がでる気がする。


コレ、エネルギー切れとか、そんなんじゃない。あの時とはなんか感覚が違うし。

くそぅ、体が重い。

なんでだ。大地の感覚も無い。

なんで?


違う、この大地がヘンなんだ。この部分だけ、なんか大地っぽくない。


そっか、私たち、大地からもエネルギー貰って生きてるから・・・大地から切り離された感じがする、エネルギー来て無いから体が重いのか。


この部分だけ。ここだけヘンだ。


助けてートートセンク。まじキツイここ。とりあえずこの部分からどっかに引きずり出して欲しいー。


が、ヤツは今ここにはいない。


「くそぅ負けてたまるか・・・!!」

とにかく自力でも努力しなくちゃ。


セフィリアオンデスはものすごく頑張ってずりずりと動く。あきらかに異質なその大地部分から抜け出るべく。

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