襲撃
警察との協力から数日。特にあれから進展は無い。
新たに思い出すことも無く、警察からの連絡も来ていない。
まあ、そんなすぐには分かるものではないのだろう。
ぼんやりと考えながら会社への道を歩く。
大通りから外れ、少し人通りが少なくなる。
まあ、考えていても仕方がない。いつも通りダンジョンに潜るだけだ。
突然、ドン、と肩のあたりに衝撃が来る。
思わず手を当てると、手に血が付く。
同時に、体の感覚に違和感が走る。
「……撃たれた?」
痛みはあまりない。
咄嗟に禍津蜘蛛の力を使う。
感覚へ意識を高め、周囲を探っていく。
「見つけた」
いくつか先のビルの屋上に誰かいる。
足が動かないな。
蜘蛛脚で拘束するか。
狙撃手の周りへ蜘蛛脚を生やし、ぐるぐると巻き付ける。
「あとは……三人か」
近くに怪しい動きが三つ。素人の動きではないな。
……手足の感覚が無くなってきた。
銃弾に何か細工でもしていたのか?
思わず膝をついたところに三人が躍り出てくる。
「目標、捕獲せよ」
「……誰だ」
襲い掛かってくる覆面の三人。
こいつらも拘束するか。
狙撃手と同じように蜘蛛脚を出し、その場に拘束する。
「ッ、想定外だ!」
三人を拘束した瞬間、リーダー格が叫ぶ。
「退却!」
「させない」
蜘蛛脚をさらに巻き付け、完全に身動きを封じる。
「総員、自害しろ!」
「何?」
拘束していた狙撃手と覆面の三人は突然苦しみだしたかと思うと、抵抗をやめた。
拘束したまま様子を見るが、ピクリとも動かない。
まさか死んだか……?
「証拠隠滅か?なんなんだ、いったい……」
感覚が薄れ、震える指でなんとか警察へ通報する。
体がうまく動かないためその場で座り込んでいると、パトカーがやってきた。
「大丈夫ですか!?いったい何が……」
「ん、ああ。ちょっと体がうまく動かない。感覚がおかしい」
「救急車呼びますね。それで、この者たちは……」
今しがたあったことを説明し、ビルの上の狙撃手の位置を教える。
やはり覆面の三人はすでに息を引き取っていた。
狙撃手も同様に亡くなっており、そばにはライフルが落ちていたそうだ。
しばらくしてやってきた救急車に乗り、病院で治療を受ける。
思った通り銃弾には神経毒のようなものが使われていたようだが、すぐに死ぬものではなさそうだった。
……あいつら、捕獲せよと言っていたな。
俺を捉えてどうするつもりだったんだ?
頭によぎるのは真導の会とノヴァリンク・ファーマ。
しばらくは警戒して過ごすしかないか。




