日常
今日は桃で出社する日。
オフィスカジュアルに身を包み、会社のドアを開く。
「おはようございます」
「おはよー!モモ。噂をすればだねぇ」
「え?噂って?」
なにやら皆が1つのパソコンに集まって何かを見ている。
後ろからのぞき込むと、先日の初配信の切り抜き動画が映っていた。
「うわ、マジで意味わからん動きしてる」
「てか全然コメント拾ってなくて視聴者に怒られてるっすね」
「蜘蛛脚の所の再生数すごいぞ?」
わいわいと賑わう社内。
自分の言動に字幕や効果音がつけられている。
……なんか、むず痒いというか、気恥ずかしいというか。
「そ、そんなに見なくても……」
「えー。Aランク様の探索なんて普段滅多に見れないんだから、ちょっとくらいいいじゃん」
「人気者になったなぁ」
「やめてくださいよ……変な感じするし恥ずかしいです……」
社員の皆は構わずに盛り上がっている。
はあ、もしかしてこれずっとこんな感じなのかな。また配信しろって言われてるし。
そそくさとその場を離れ、椅子に座る。
「お、なんだお前ら。仕事しろよー」
「あ、社長。近藤さんがセンの配信の切り抜き動画を作ってくれたんですよ」
「ほう?どれどれ……中々いいじゃないか」
「登録者数爆伸びです!センさんには感謝しかありません!」
社長まで見始めちゃった。
自分の姿を客観的に見るとむずむずする。皆の話を聞いてるだけで恥ずかしくなる。
ああ、もう。そんなに盛り上がらないでよ……
いたたまれなさを感じながらPCを開く。
けれど集中なんてこれっぽっちもできない。
少し赤らんだ顔を手で覆い隠し、ため息をつく。
「モモー!次の配信も楽しみにしてるね!」
「もう……勘弁してよぉ……」
これはしばらく言われ続けるだろうなぁ。
新たな日常はすぐに慣れそうにない。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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