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アクティビティ

旅館の朝食を食べ、身支度を終えた俺たちが次に向かったのは、アクティビティの体験施設だった。

カヌー体験とボルダリング体験を選べるのか……

どっちでもいいな。余った方でいい。


「おや、センさんもボルダリングですか。……撮影していいです?」

「……やめろ」

「あ、僕も一緒っすね!よろしくっす!」


広報担当の近藤さんと松下だ。他にも数人いるな。

ボルダリングか……

正直、今の体なら登るだけなら難しくなさそうだ。

施設のスタッフの注意事項を聞く。

順番に二人ずつ挑戦していくのを下から眺める。

あ、松下が腕を震わせながら悲鳴を上げているな。

登れても2、3メートルほどか?そのあたりで皆ギブアップしていく。

……俺の番か。


「センさん、頑張ってください!僕の分まで!」

「お写真、撮らせていただきますねー!」

「……好きにしろ」


手にチョークをつけて壁を見上げる。

ルールとか知らないからな。まあ適当でいいだろう。

目についたホールドを雑につかむ。


「う、わぁ、すごい」

「身軽ですねぇ……探索者ってこんなに行けるものなんでしょうか」


ひょいひょいと適当に登る。

気づけばもう天井か。

結構全身の筋肉を使うんだな。

一度下を見てから降り始める。

途中で面倒になり、適当な高さで飛び降りた。


「すごいですね!もしかして経験者の方でしたか?」

「ん、いや。初めてだ」

「あー、スタッフさん、この人探索者なんですよ」

「ああ、なるほど……いや、でもいくら探索者とはいえここまで……」


何か考え込んでいるスタッフ。

まあこんなもんだろう。

他の社員と交代し、椅子でくつろぐ。

確かにモモだったらこの壁は登れないだろうな。行けても2メートルだ。


その後しばらく社員の挑戦を見守っていると、カヌー体験の班が帰ってきた。

皆髪の毛が濡れている。


「はー!楽しかった!そっちはどう?」

「まあまあだ」

「松下くんがムキになっちゃって……まだ挑戦中ですね」


休憩スペースで全員が終わるのを待ち、施設を出る。


「……んで、これ、見てくださいよ!センさんの雄姿!ひょいひょい登ってましたよ!」

「うわ、重力どうなってるの、これ」

「……速くないか?」


近藤さんが撮った動画を皆がのぞき込む。

……やっぱり撮ってたのか。


「これ、会社のホームページにあげさせてください!」

「……いいけど」

「ほんとですか!やった!」


また広報に使われている。もう慣れたが。

俺は見ていないが、会社のSNSにも俺の写真や短い動画がアップされているらしい。


「よおーし、次は観光だね!お土産買おう!」


ミナの声を合図に、それぞれ自由に散っていく。

この自由行動が終われば旅行の行程は全て終了する。

お土産か。家族の分くらいは何か買うか。


「お、セン。何買うんだ?」

「適当なお土産」

「家族にか?」

「ああ」


レオも同じ土産屋にいたみたいだ。

なんとなく一緒に周る。


「お前、今一人暮らしだろ?実家にはよく戻るのか?」

「たまにな」

「ふうん。お前の母さん、見舞いにも来てくれていたしなあ」


最近はあまり帰っていないが、そこまで遠いわけではない。

また今度帰るか。土産は……お菓子か何か買うか?

特に何かを言うでもなく、それぞれ買うものを決めてレジへ向かう。

店を出てぶらぶらと通りを歩く。


「しかしあれだな、セン。お前のことだからこの旅行には来ないんじゃないかと思っていたんだよ」

「……」

「でも昨日はモモも元気そうだったし、ちょっと安心したよ。」

「そうか」


桃の方は時間が解決すると思うが、やはり多少なりとも心配を掛けさせていたのかもしれない。

……まあ、いい気分転換にはなったかもな。

少なくとも、断らなくて良かったと、そう思う。


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