起床 sideミナ
「う~ん!よく寝た!」
ぐっと腕を伸ばして体をほぐす。
周りを見るとルナ以外はまだ布団の中だ。
「うふふ、おはよう、ミナ」
「うん、おはよう。さすがルナ、早起きだねー!」
あたしは案外朝に強い。すぐ起きられるし、朝からごはんをもりもり食べられる。
とりあえずまだ寝ている二人……田島さんとモモを起こすか。
布団から出て障子をスパン、と開ける。
日の光が部屋へ差し込む。
顔に光が当たり、まぶしそうにして呻く田島さん。
「はーい、朝だよー。起きて―」
「……うぅ~ん」
揺り起こすが中々起きない。
こうなったら……
「えーい、起きろぉー!」
布団を思いっきり剥がす。
容赦なんてしない。早く起こしてごはんにありつかなくては!
「うわーん、ミナさんの鬼ぃぃぃ……」
「もー、そんなこと言って、ホントは起きてるんでしょ?」
しぶしぶといった様子でやっと起き上がる。
よし、あとはモモだけ。
モモは顔を布団に埋め、髪の毛だけ少しのぞいている。
「モモー、起きて―」
「モモさん起きてくださいー。私だけ起こされるなんて許しませんよー」
「……」
これはしぶとい。熟睡してるな。
……剥がすか。
「田島さん、そっち持って。あたしこっちめくるわ」
「あ、了解です。……せーのっ」
えい、と掛け声を合わせて布団を剥ぎ取る。
さて、モモは……あれ?
「えっ!?センさん!?」
「いつの間にぃ!?」
そこにいたのはモモではなくセンだった。
光が当たり、白い肌がやけに目につく。
浴衣が少しはだけていて、いつにもまして無防備な……
って、いかんいかん、何を考えているんだ、あたしは……
「っ、セン!起きてってば!」
「……はっ、そ、そうです、起きてください!」
「……ん」
ゆっくりと目を開くセン。そのまま体を起こす。
あ、寝癖。
ぼんやりとこちらを見てくる。
普段と違って隙がありすぎる。
……なんかさっきから妙な色気がある。
「……ああ、ミナか……」
「え?」
そういえば目が悪いって昨夜言ってたっけ。
……なんか、ムカつく。なんであたしがちょっと恥ずかしくなんなきゃいけないのさ!
ちょっとした意趣返しで机にあった眼鏡を手に取る。
「あ、眼鏡」
「……えい」
ひょい。
すかっ、とセンの伸ばした手が空を切る。
「……おい」
「へんだ、こっちまで取りにおいでー!」
眼鏡を掲げて部屋の端へ逃げる。
センは立ち上がり、こちらへ歩いてくる。
が。
「……返せ、あ」
ぼすん、と布団の上にセンがこける。
うわ、顔からいった……布団があってよかった。
……そんなに目が悪かったの……?
普段のセンからは考えられないほどドジな動きだ。
「センさんが……こけた……」
「……返せ」
「あ、う、うん。ごめん……」
こけたまま手だけを伸ばしてくる。
その手にそっと眼鏡を置いてみる。
体を起こし、眼鏡をかけるセン。なんか雰囲気変わるな……
「さ、皆さん。もうすぐ食事の時間ですよぉ。準備してくださいねぇ」
「……ああ」
「はぁーい」
「あ、着替えなきゃ」
皆と一緒に身だしなみを整えていく。
センはまだぼーっとした表情だ。
「ね、セン。髪の毛けっこう寝癖ついてるよ」
「ん、そうか」
鏡の前で並んでブラシを使う。
「……全然直ってないよ」
「そうだな」
いくら梳いてもぴょこんと飛び出す髪の毛。
突然、センの体が縮む。
モモになってそのまま髪を梳き続ける。
梳き終わると再びセンに戻る。
頑固だった寝癖はきれいに無くなっていた。
「え!?何その裏技!それで寝癖無くなんの!?」
「ああ」
「最強じゃん……」
魂の分化ってそんなことできるんだ……
というか本人はちょっとした便利技くらいにしか思ってないよね。
世の研究者が見たら気絶するよ……
っと、やばいやばい。早くあたしも準備しなくちゃ!ごはんに遅れちゃう!




