夏
「あつい……」
「あついな……」
「……」
ここ数日で急に気温が上がり、一気に夏を感じ始めた。
まだダンジョンの方がひんやりしていて良かったな。
帰って地上に出た途端これだ。
エアコンの風を感じながら休憩室のソファに沈む。
「ちょっとー、センくん一番涼しい所陣取ってないか?」
「……ああ」
「僕らも暑いんすから、ちょっと場所変わってくださいよー」
「……嫌だ」
あの事件以降、以前よりも他の社員と関わることが増えた。
社長の気遣いか、桃で出社して事務作業を行うことも多くなった。
「あ、そういえばセンさん、社内掲示板見ました?」
「……見てない。何かあるのか」
「今度、社員旅行あるんすよ。今年の場所は海辺のリゾートらしいっす。」
「強制じゃないけど、うちは毎年ほとんどの人が参加するぞ」
「旅行か」
海……久しく行っていないな。
面倒だが、断る理由もない。
「詳しいこと確認してきたらどうだ?そしてその場所を明け渡せ……!」
「あ、僕も狙っていたのに!」
半ば追い出されるようにして掲示板を確認しに行く。
どれどれ……
ふむ、一泊二日で海水浴に観光。旅館に泊まるのか。
「あ、セン。旅行の連絡見てるの?絶対行こうね!」
「私達も参加するんですよぉ」
通りがかったミナとルナも行く気で満々だ。
桃で行くか俺で行くかは、その日の体調次第だな。
まだ桃だとたまに精神的に辛くなる日がある。
そうだな……気晴らしも兼ねて行くのはありかもしれない。
「水着もちゃんと用意してよね!」
「うふふ、せっかくの海ですからねぇ」
「……考えておく」
泊りで遊びに行くのは本当に久しぶりだ。
教員の時はそんな時間は取れなかったからな。
……水着、適当に買うか。




