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災害

センを鎮圧せよ。

命令が下される。


「っ、こんなに無防備なんだ。俺が倒す!化け物だろうが関係ない!」


1人の剣士がセンのもとへ走る。

大きく剣を振りかざし、センに切りかかった。

スイ、と横に避け、剣士へ手を向ける。

再び轟音が鳴る。施設の壁ごと吹き飛んでいく。


吹き飛んだ剣士の後へ続くように探索者たちが次々と襲い掛かる。

様々な武器がセンの体を貫く。

しかし、よく見ると体へ当たる直前で空間が歪み、届いていなかった。

衝撃波を放ち、探索者たちを吹き飛ばす。


「センの戦い方じゃない……それに魔力を塊のまま放つなんて。人間業じゃない」

「中に何かいるのか?」

「何かって!?」

「恐らく、『真導の会』によって作り上げられた無垢の意思が入り込んだのでしょうけれど……」


あのセンの体を操っているのは何なのか。

そしてセンは無事なのか。

何も分からないまま時間が過ぎる。


「考えていても仕方がない。俺が相手をする」

「っ、レオ!でも……」

「あいつをこのまま放ってはおけない。何とか隙を探す」


そう言ってセンの前へ駆けていく。

センは、じっと足元を見ている。無表情で何を考えているかは分からない。

不意に足元へ手を伸ばし、落ちていた剣を拾う。


「セン!いい加減、目を覚ませ!」

「……」

「くそ、ダメか」


レオがセンへ切りかかる。

センは先ほど拾った剣を使い、レオの剣を受け止める。

そのまま剣を振り、レオに反撃をする。


「っと、急になんだ?剣なんか使って……」


何度か剣を打ち合う。素人みたいな振り方だ。

まさか、とレオが何かに気付く。


「学習、してる……のか?……剣の使い方を真似ている?」

「……」


徐々に鋭くなる剣筋。だんだん見覚えのある動きになっていく。


「あ、あれ。レオの剣捌きと似てる?」

「戦闘方法を学んでいます……これは、早めに決着をつけなければ……」

「ああ。誰にも止められなくなる。歩く災害となるだろうね」


ついに、センの剣がレオの動きを超え始める。


「ぐ、おい、剣で俺に勝とうっていうのか?……上等だ……」

「……」


相変わらずセンの金色に輝く瞳は何も写さず、ただレオを攻撃する。


「……ん、なんだ。今のは」


不意に違和感を覚える。

剣筋が少し、ほんの少しブレたように見えた。

打ち合っていると、何度かに一回。妙な剣の動きをしている。

まただ。致命傷になるはずの軌道だけが逸れる


「……まさか!……いるんだな、そこに!なあ、セン!」

「……」

「どういうこと!?」

「まだ中にいる!抗ってるんだ!」

「意識がある……ならば!」

「センさん、気を確かに!」


まだセンの意識は残っている。その言葉を聞き、口々にセンを呼ぶ。

レオの体の傷が増えていく。

これ以上はレオでも耐えられない。

ついにセンがレオの剣をはじき返す。


「っ、しまっ!」


隙を晒したレオの首元へ吸い込まれる。


「あ、だめっ―――


『モモ』!」


ミナの悲鳴が響く。

レオは目を閉じる。


だが。

……いつまでたっても死の瞬間が来ない。

センの体の動きが止まった。

見ると、センの剣は剣先がカタカタと小さく震え、レオの首の直前で止まっている。

センの瞳が揺れる。


「今だ!」

「センとモモを、返して!」


ミナが叫びながら、センへボウガンを放つ。

センは避けることなく、体に矢が刺さる。

ガランと剣を落とし、地面へ倒れこむ。


シン、とあたりが静まり返る。


「……は、助かった、のか?」

「倒れた……」

「ミナ、何か矢に細工を?」

「麻痺毒の矢を撃ったんだけど……」


慌てて睡眠魔法を撃つノア。

センが意識を失うとともに、体の膨大な魔力反応が薄まり消えていく。

警察がセンを取り囲み、鮮やかに身柄を拘束、保護する。


「目標、確保!撤退します!」


警察の号令で緊張の糸が緩む。

ひとまず、センは無力化され、体も戻ってきた。

目を覚ますのがいつになるかは分からないが、センは戻ってきたのだ。


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