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目的

急に現実に引き戻される。

全身が汗ばむ。

深呼吸をして、力なく頭を振る。

……素敵な夢、ね。

夢の中……桃の心は完全に無防備だった。

過去の経験を味わわせて心を折る魂胆か?


「フフフフフ……いかがでしたか?とっっても、素敵でしたでしょう?ああ、残念です。私はあなた様の夢を見ることはできません……本当に、残念ですよ。どんな夢をご覧になったのでしょうねぇ。」

「……」

「さ、では続きをお願いしますね。夢の続きへ、行ってらっしゃい」


入れ替わり二人組がまた注射器を持って近づいてくる。

……このまま何度もこれを見るのか。まずいな。

俺はともかく、桃の心が耐えられるか……

そして桃の心が耐えられ無くなれば、俺も動けなくなるだろう。

少なからず今も桃の影響は俺にも来ている。

手慣れた様子で注射を打たれる。

対策を考える暇もなく、意識が遠のく。



sideアークマテリアル


「目撃情報?」

「はい。篠山さんらしき人物が白い装束の集団と交戦しているのを見たという方がいらっしゃいました」

「じゃあセンはそいつらに誘拐されたの?」

「今のところ、その可能性が高いでしょう。それと、今までの失踪者のいなくなった地点から推測して、おおよそですが犯人グループの本拠地を特定しています」


僅かだが、センの足取りが掴めた。

センが失踪してから5日。警察の捜査も進み、分かったことも増えてきた。


「犯人は誰かわかったんですか?」

「恐らく。今挙がっているのは『真導の会』という宗教団体です」

「『真導の会』?聞いたことねえな」

「人々を導き、世界を支配する神を降臨させ、信仰している、らしいですねぇ」

「ルナ、知ってるの?」

「話だけなら……少し」


ルナが語りだす。


「人々は正しい道を歩んでいない。だから、世界を支配し、人々を正しく導ける。そういう神を創り出そうとしていると聞いたことがありますねぇ」

「神を、創る?」

「ええ。そうですねぇ……強い想いを乗せ魔力で包むと、無垢の意思、と呼ばれる小さな魔力体が生まれます。これは普通に作ると数秒で霧散してしまうのですが……」

「ああ。魔力を扱う者なら誰もが通るものだな。ざっくり言うと、普通はそれに属性をつけて魔法として発動する」

「……その無垢の意思に人々の意識、信仰などを埋め込む、という実験が過去にあったんですが……」


ルナとノアは顔を曇らせる。

その場にいた全員がルナの言葉に注目している。


「結果は、大惨事でした。暴走した意思の塊が魔力を放出し、周辺一帯を消し飛ばしたとか……」

「……それが、『真導の会』と何か関係が……?」

「はい。まさに『真導の会』はその実験を行っているという噂があるんです」


思わず息をのむ。

そんな危ない団体だなんて……

その話の真偽がどうかは分からないが、どちらにしろセンが危険な目に遭っている可能性が高い。


「……本部から連絡が来ました。アークマテリアルの皆さん、協力要請です」


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